メインコンテンツにスキップ

ヨウムはやさしい。見返りを期待せず仲間を助ける利他的な行動を確認(ドイツ研究)

記事の本文にスキップ

34件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Varvara Kalashnikova/iStock
Advertisement

 自分に何のメリットがなくても仲間を助けようとする利他的な行為は動物界でも確認されている。サルや犬、クジラやアシカ、吸血コウモリだってそうだ。

 そして今回、鳥類でも最も賢いと言われている、大型のインコ「ヨウム」にも仲間を思いやる行動が確認された。

 特に見返りが期待できるわけでもないのに、パートナーがエサを手にできるよう自発的に助ける姿が観察されたという。

オウム目インコ科の鳥に利他性を確かめるテスト

 頭の良い鳥といえば、まずカラスが思い浮かぶかもしれない。実際、カラス科の鳥はかつては霊長類にしかできないと思われていた知的な作業をやってのける。

 だがオウム目の鳥もカラスに匹敵する賢さを持っている。例えばオウムは自分で道具を作り、遊び心たっぷりな創造性を見せてくれる。さらにヨウムにいたっては、人間の子供を上回る知能を見せることもある。

 さらにヨウムは、人の言葉を真似るだけではなく、言葉の意味を理解して人間とコミュニケーションをとる能力があると言われている。

 そして今回、利他性を確かめるテストに挑戦したのは、オウム目インコ科のヨウムとヤマヒメコンゴウインコだ。

この画像を大きなサイズで見る
Hans Braxmeier from Pixabay

引換券でエサを交換する実験

 実験では、引換券(金属ワッシャー)とエサが交換できることを鳥に教え、さらに他の仲間との関係を調査。その上で、仲のいい仲間またはそれほど仲の良くない仲間とペアにして、そのときの行動を観察してみた。

 なお、ペアは次のような状況に置かれていた。

 それぞれは透明な仕切りで区切られる。仕切りには穴が開いており、そこからペア同士で物を交換することができる。

 区画の片方には、人間の実験者に引換券を渡してエサと交換するための窓口がある。どちらの区画からも引換券で交換できるエサが見えるが、実際に交換できるのは窓口がある片方だけだ。

この画像を大きなサイズで見る
Anastasia Krasheninnikova

エサの引換券を仲間に渡したヨウム

 ヨウムもヤマヒメコンゴウインコも引換券でエサを得られることまではすぐに理解した。しかし引換券をペアの片方にだけ与えてみると、仲間にそれを渡したのはヨウムだけだった。

 驚いたことに、じつに8匹中7匹のヨウムが最初の実験からいきなり引換券をパートナーに渡したのだという。

 ヨウムはこれまで同じような状況を経験したことはないし、その後でお互いの役割が交換されることも知らない。したがってヨウムは特に直接的な利益や見返りを期待することなく、相手を助けていたということになる。

 なおヨウムはパートナーとの仲の良さとは関係なしに引換券を渡していたが、仲の良い相手とペアを組んだときの方がたくさん渡したそうだ。

「はっきりとした直接的なメリットが何もないのに、見知った仲間が目的を遂げられるよう自主的かつ自然発生的に助けるヨウムの姿が観察されました」とドイツ、マックス・プランク鳥類研究所のデジレー・ブルックス氏は話す。

この画像を大きなサイズで見る
Anastasia Krasheninnikova

 一方、ヤマヒメコンゴウインコではそうした行動がほとんど見られなかった。ごくまれにそうしたとしても、人間が現れたときに穴から落とすだけだった。

 このことから、コンゴウインコは引換券を人間に渡そうとしていたのではないかと推測されている。

ヨウムは仲間が自分より良い思いをしていても羨ましがらない

 なお別の最近の研究では、もうひとつ面白いことが観察されている。

 ペアにしたヨウムの片方が自分よりも良いエサをもらったのを見ても、特に羨ましがっているような様子がなかったというのだ。これは、同じ状況で苛立ちを見せるチンパンジーとは対照的だ。

 研究グループの1人によると、こうした違いは、ヨウムが一雌一雄(一夫一妻)であることと関係があるかもしれないそうだ。

 ヨウムは1匹のパートナーと深い絆を育み、お互いに依存する。つがいは一つのユニットとして機能しているので、ときおり片方が良い思いをしても特に問題はないのだ。どうやら、このことがヨウムの寛容さの秘訣であるようだ。

 この研究は『Current Biology』(1月9日付)に掲載された。

References:eurekalert/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 34件

コメントを書く

  1. 人間は自らのうちに見つける美質を人間性と呼んできたけれど、こうしてだんだんと他の生き物たちへの理解が進んだ先にはその呼称が自らちょっとテレくさくなっちゃう日もくるんじゃないかしらん

    • +34
  2. ヨウムは仲間が自分より良い思いをしていても羨ましがらない
    ↑人ある意味人間より知性があるな、そしてやはり人間はチンパンジーに近い

    • +37
  3. 見返りの構造は意外と複雑だからねぇ
    まわりまわってそこで得する為にさっきの行動かぁ~なんてのは人でも良くあるし
    これだけで利他的であるとは思えないかなぁ

    • -6
  4. 動物、特に鳥なんかは群れでいること自体にメリットがあるからだろ

    • +5
  5. ヨウムと聞いて、巨人ヨームと妖夢を思い出したのは俺だけじゃないはず。

    • -2
  6. 昔さ、近所の大き目のPETショップにいたヨウムと仲良くなってさ、俺がケージに近づいていくと向こうから寄ってくるようになって、まぁヨロシクやってたんだけど。「一緒に暮らしたいけど198000円はちょっと厳しいなー」なんて思ってたある日、いつもみたいに近づいて来て、小声で「ねぇ、出してよ」って言った時にはびっくりしてオシッコ漏らしそうになったね、回りの店員とかに気付かれないようにそっぽ向きながら、囁いたんだよ、その仕草は、まるっきりの人間だったよ。そのあとすぐに他の人の所に行っちゃったんだけど、あいつもしかすると、俺が金なくて迷ってる事まで感じ取ってたのかも。

    • +38
    1. ※8
      そっぽじゃなかったかもよ? 鳥が一番見やすいのは真正面じゃなくて横だから。

      • +16
    2. ※8
      そのときのヨウムです。
      半値でもいいって話もしたんですが

      • +4
    3. ※8
      普通なら荒唐無稽な作り話扱いなんだろうけど、ヨウムを飼ってる身としては、信じる。
      あいつら頭いいだけじゃなくて感情がすごい複雑。
      寂しかったら自分の羽を抜いたり、本当は甘えたいのに噛み付いてきたり。

      • +14
      1. ※22
        鳥に限らず動物って頭いいよね
        人間がやっていることを人間か考えている以上に理解していると思う
        ペットが人間語話し始めたらヤバイ人多いだろw

        • +3
    4. >>8
      買わせるために店員が仕込んでたんじゃ…
      近付いた人間全員に言ってたりして

      • +2
      1. ※32
        ありがとう、そう思うことにするよ。

        • +1
    5. ※8
      ヨウムを家族にしたいんだが 私は独り者の上に還暦過ぎてるので彼らを看取れない
      一緒になるなら若いうちだよ

      • +7
  7. 交換券が手に入る方に窓口があったらどうなってたのかな。使い道がないから相手にあげてるだけで自分でも餌と交換できたら自分で使っちゃいそうな気がする…。それかまず自分が食べてお腹いっぱいになったら余った引換券渡すとか。

    • -3
  8. 鳥さんは、利他的というよりも、パートナーがとにかく大好きなんだよね。
    「相手がどう思っていようと」という意味にでは利己的といえなくもないよ。

    • +22
    1. ※11
      受け取ってくれない人間にも餌吐いてくれるもんね…w

      • +3
    2. >>11
      好きすぎてゲロ吐くもんな(厳密にはゲロではないが)

      • +4
  9. この実験、サンプルの個体数はどうなんだ?
    種類で特性を決めつけてるように読めるけど、「個性」を除外できるだけの個体数で実験してるんだろうね…?

    • +2
  10. ヨウムのアレックスって皆さんは覚えているかなぁ
    素晴らしい知能を持ったヨウムで
    初めてアップルをあげたら
    『バナチェー』と答えたそう。
    教授が何故?と訊いたら
    『香りがバナナで味がチェリーに似ているから』
    自分で造語を作ったのが
    本当にすごいとびっくりした記憶がある。
    亡くなる前日、教授に
    『愛しているよ、また明日』と言ったそうです。
    ヨウムって素晴らしいよね。

    • +38
  11. 動画はこちらが見やすい
    ttps://www.afpbb.com/articles/-/3262975
    人間もこういう方向により知性が働けばいいのになぁ。悪知恵働く者がのさばるこんな世の中じゃPOISON

    • +1
    1. ※20
      鳥が自然環境においてどのように群れを組織しているかに関連している可能性があると、研究チームは示唆している。

       最大で1200個体にも上る巨大な群れで生活するヨウムは、10~30個体のはるかに小さな集団で生活するコンゴウインコよりも高い社会的認知能力が必要となることが考えられると、スイス連邦工科大のブルックス氏は語る。

      ※5

      • +1
  12. 何十回か同じことやればエサもらってないほうのヨウムだってさすがにブチぎれると思うよ

    • +2
  13. 「人間も動物の一種」意外とこれを受け入れられない人は多いのよね
    そんな人の常套句が良くも悪くも「人間のみが」「人間が最も」w

    • +8
  14. 全ての生物は利己的で、人間から見ると利他的に見えても紐解いていくと種の存続のための利己的行為だと生態学では教わったけどな
    餌のお裾分けから自殺を伴ってまで仲間を助ける(ように見える行為)まで、感動ストーリーを片っ端から教授に潰されていった思い出

    • 評価
    1. ※29
      ※30
      進化はあらゆることに意味を与えるけど、あくまで個々の個体はやりたいからやってるだけであって、そのスケールで見れば利他的行動を行ってると言えると思う
      逆に言えば、そういう優しさとも形容できることが優性であるということなので、この世界において種レベルで見たとき、優しいってことは強さなのかもしれない

      • 評価
  15. そりゃ、そうやって種を繋いできたからなんだろうな
    利他性がないと思い込む方が案外誤りかも

    • +3
  16. このヨウムたちは野生の個体を捕まえてきたものなのかな?
    もしそうだとすれば、突然拐われて不安もあるだろうに、そんな状況でも他者を気遣えるってすごいなあ。
    人間に置き換えても相当な人格者なのでは…。
    元から飼育下にあったとしても十分にすごいけれど。

    • +3
  17. 鳥って(種類によっては)めちゃくちゃ頭がいいんじゃないかと思ってるの
    あまり頭が良いとは言われていないあのスズメだって本当はすごく頭いいよ

    • +6
  18. 人間も建前的には一雌一雄なんだけどヨウムとの違いよ
    ヨウムさん聖鳥ですわ

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動物・鳥類

動物・鳥類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。