メインコンテンツにスキップ

世界初の人工冬眠を利用した手術が行われる。血液を氷冷生理食塩水に置き換え急速冷却(アメリカ)

記事の本文にスキップ

27件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
gorodenkoff/iStock
Advertisement

 患者を人工冬眠で眠らせるという、世界初の手術がアメリカで行われたそうだ。

 手術を行った医師はまだ詳しいことを話せないようだが、銃やナイフなどで大量に出血してしまった患者にとっては、今後は生死を分ける重要な手術になるかもしれない。

出血多量で心停止した患者を救え!

 「外傷によって心臓が停止してしまったときの生存率は乏しいものです。20に1回未満でしょう」とアメリカ・メリーランド大学のサミュエル・ティシャーマン氏は話す。

 しかし、そうした瀕死の患者であっても、体を急速に冷却することで失血を食い止め、蘇生する可能性を高めることができるのだという。

 アメリカ国防総省から助成を受けてティシャーマン氏らが開発したこの手術は、「緊急保存・蘇生手術(emergency preservation and resuscitation/EPR)」といい、ニューヨーク科学アカデミーで報告された。

 その初となる実施例では、貫通性外傷、つまりは銃やナイフによって怪我を負い、出血多量で心停止にいたった患者に対して行われた。

 じつはこの手術は食品医薬品局からの特別な許可の下、患者の同意を得ないまま行われた。EPR法を試すには、患者の心臓がすでに止まっていなければならなかったからだ。そして、すでに心臓が止まってしまった患者を救おうというのならば、事態は一刻を争う。

この画像を大きなサイズで見る
Image by Chalabala/iStock

大動脈に直接挿管、冷えた生理食塩水を流し込む

 EPR法は、一般的な手術と同じ手順で始められる。傷の状態を調べ、患者の呼吸を確保するために挿管し、輸血し、必要に応じて胸を開き、直接心臓をマッサージすることで血流の改善を試みる。

 EPR法を実施するのは、こうした通常の手順を踏んでもなお効果が得られないときだけだ。その目的は、出血部位の処置を終えるまでの時間稼ぎをすることだ。

 いざEPR法の決行が決断されれば、大動脈に直接挿管して、よく冷やした生理食塩水を大量に送り込む。これによって、脳と心臓をはじめとする重要な器官にできるだけ早く冷水を流す。

Doctors put first ever human in suspended animation – TomoNews

その成果は2020年後半に公表

 なお、その成果であるが、2020年後半に公表される予定で、現時点でティシャーマン氏は詳しいことを話せないそうだ。

 ただ、一応念のためここで説明しておくと、EPR法はSF映画でお馴染みの冬眠ポッドで人体を凍結するといった類のものではない。

 冬眠ポッドのような極端な冷却を行なって生化学プロセスを低下させれば、損傷が余計に早く進行する可能性すらあるという。

 EPR法はあくまで時間稼ぎとしての手段だ。”EPR”という名称にしたのも、できるだけSFのイメージがつかないよう考慮したからなのだとか。

 ティシャーマン氏によれば、冷却は非常に骨が折れ、しかもむずかしい作業なのだそうだ。今の段階では冷却水で体を冷やしているが、いずれは細胞の活動を停止させて同じ効果を得られるような薬剤の開発をしたいと考えているとのことだ。

References:smithsonianmag / popsci / written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 27件

コメントを書く

  1. 冷やして仮死状態にすれば代謝が無くなって出血とかなく手術できるって事か
    PC修理するとき電源オフにするのと同じだね
    それを生き物でやろうとする決断がすごい
    電源オンにしても沈黙したままってのもあり得るのに

    • +8
  2. これで銃乱射も怖くなくなったのでより高性能な銃器が販売できる

    • -9
  3. これ最近普通にしてない?救急搬送された患者を冷凍して血液や心臓など生命維持は全部装置をとおして一週間くらいかけて治療手術するやり方。心停止しているってところが新しいのかな?

    • +1
    1. ※5
      これプラス評価ついてるけどソースは?
      根拠なくプラス押してるわけではないよね?

      • +1
  4. 切断してしまったパーツには効果あるんだろうか?
    洗浄ついでに急速冷却で細胞の壊死を食い止める的な。

    まぁ、心臓手術とか大事な部分で生存率が上がるのは心強いね。

    • +3
  5. テメェの血は何色だぁー!

    モヒ「俺はちょっとした手術で生理食塩水のままだから透明なんだ」

    んなわけはない。

    • +4
  6. 氷漬けにして手術するのはロシアでやってた。かなり昔に見たドキュメンタリー番組なんだけどその医者が昔(ソ連時代)はやってて今は行われていないけどやってみたみたいな事コメントしてたような。

    • +1
  7. コールドスリープ的な期待をされないように配慮してるみたいだけど
    期待せざるを得なかった(´・ω・`)

    • +2
  8. 冷却して手術しても
    蘇生難しそうだったら
    そのまま冷凍して未来へ託すんだろ?

    • 評価
    1. ※11
      いやいや現在の医学では筋肉が無くなり弱くなるので無理っす
      まずは筋肉維持し後世に残せる技術がないとな

      • 評価
    2. ※11
      遺体や脳を冷凍保存しておいて未来で再生する思想の団体、管理がずさんで腐ってたりでほとんどダメになってるらしい

      • +2
  9. 代謝が下がるってことは老化も遅くなってるわけだよね?

    • +1
  10. 患者を蘇生される時が難しいぞ。ものすごく不安定だから体位を変えるだけでも危険。
    日本では保険適応以外の蘇生術はしないはずだから助かる可能性が高くてもしないだろうね。

    • 評価
  11. 最近私、冬眠したい冬眠したいってばっか思ってるんだけど(寒くて眠いから)
    実際冬眠するってなるとこんな寒そうなことしなきゃならんのね…残念…

    • +2
  12. そのうちドクターXでネタになりそうな手術だな

    • 評価
  13. それもこれもすべて“奴ら”を生かすための実験なのだ。

    • 評価
  14. ベトナム戦争のときは重傷者を暖めてたらボロボロ死んでたって聞いたな。フォークランド紛争のときはもう冷すようになっていたとか。

    • +1
  15. 血液を生理食塩水に置換したのが低体温療法と違うところかなと。
    あと、低体温療法は低くても30℃を下回らないから、それ以下の温度にしているのも新しいのかも。確かに低体温療法なら最近よく行われているよね。

    • +2
  16. 医療系ドラマ「グレイズアナトミー」でやってなかったけ。

    • 評価
  17. 2014年に記事にしてたのがついに実行されたのか

    • 評価
  18. ちゃんと蘇生できるかどうかは別として、安楽死が認められていない国での擬似的な安楽死の手段として活用できるかもしれない

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。