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宇宙で育てる人工肉は本格的な肉。3Dプリンターを使って動物細胞を培養

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(著) (編集)

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Image by Felix Wolf from Pixabay
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 実験室で食肉を育てるというアイデアが真剣に考慮されるようになったのは、オランダの研究者が世界初の培養肉を開発したほんの6年前のことだ。

 動物の細胞を培養すれば、牛や豚の生命を奪わなくても、食肉を手にすることができる。細胞の養殖のようなものを想像すればいいだろうか。

 これまでも植物から作られた「インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)」や「ビヨンド・ミート(Beyond Meet)」といった代替肉はあった。

 だが、動物細胞を培養して作られた肉は、お肉に似た食材ではない。紛うことなき完全なるお肉だ。

培養肉は食肉にまつわる問題を解決

 従来の食肉については、人間の都合で無数の動物の命を奪ってもいいのだろうかという疑問がある。それだけでなく、家畜に由来する温室効果ガスは、温暖化を進める大きな要因のひとつでもある。

 しかし、動物細胞を培養すれば、そうした牧畜に頼ることなく本物のお肉が手に入る。この分野の研究が熱心に進められているのはこうしたわけだ。

 もちろん現実にはいくつもの課題がある。それでもいくつかの有望なスタートアップは、2年以内に培養肉がスーパーの棚にお手頃価格で並ぶだろうと約束している。

宇宙産のお肉

 今回の本題は、そんな培養肉があの国際宇宙ステーション(ISS)で作られたというニュースだ。未来の宇宙飛行士たちは、新鮮(?)な宇宙産のお肉を楽しめるようになるかもしれないのだ。

 イスラエルのスタートアップ「アレフ・ファームズ(Aleph Farms)」が開発した宇宙肉は、地球のウシから採取した細胞を、ウシの体内を模した栄養たっぷりの培養液が入ったバイアルの中で成長させたもの。

 バイアルはロシアのソユーズMS-15で安全にISSまで運ばれたのだが、ここは重力がほとんどない空間であるために、そこから先の調理が少々違う。「3Dバイオプリンティング」という3Dプリンターで筋肉として印刷するのだ。

 それは筋肉繊維や血管の食感まで再現された、本物そっくりなお肉だという。

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アレフ・ファームズの培養肉 image by:aleph-farms

数分で肉が。宇宙ステーションの少ない資源でも培養可能

 この生産プロセスは、筋肉に備わっている自然の再生能力をマネしており、従来の畜産業では必要になる資源がなくてもお肉を作ることができる。

 宇宙ステーションでは備蓄できる資源に限りがあるために、こうしたことは特に重要だ。

 たとえば、従来の牧畜では牛肉1キロを作るためには2万リットル近くの水が必要になる。しかし培養肉ならば、その10分の1程度で足りる。

 放牧をするための広い土地だっていらないし、何より速い。数分もあれば調理可能なお肉が仕上がるために、開発チームが「ミニッツ・ステーキ」と呼んでいるくらいだ。

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image by:nocamels

 なおNASAは今、レタス・イチゴ・ニンジン・ジャガイモなどが収穫できる宇宙ガーデンなるものも開発中だとのこと。

 もしかしたら未来のスーパーの棚には、宇宙産と印字されたラベルが貼られたお肉やお野菜なんかが並んでいるのかもしれない。

References:bioprinting / aleph-farms / nocamels/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 59件

コメントを書く

  1. 培養にコストや環境負荷が掛からないとかいう前提なの何なの

    • -11
    1. ※1
      相対的にコストも負荷もかからないのを研究してるんだぞ
      余計にコストかさむなら研究成果として発表されずに消えていくわ

      • +7
    2. ※1
      なんで君みたいのって1か0かって思考しかできないの?

      • +5
  2. ドラえもんの「野良犬イチの国」という話で
    捨て犬、捨て猫たちが幸せに暮らせる国を
    つくるために人工肉製造機で食べ物を
    確保できるようにしてあげていたけれど、
    あの技術は絵空事なんかじゃなかったんだね。

    • +5
    1. >>2
      俺もそれを思い出した。
      でもタイトルは忘れてた。

      • +2
    2. ※2
      水と空気を使って作り出すんだっけな
      ドラ好きだから真っ先にそれが思い浮かんだ
      魔法みたいだ(´・ω・`)

      • +1
  3. その設備の生産にかかる環境負荷は一切考慮しないのに、畜産に関わるあらゆる負荷は(輸送の際の排気ガスまで)計算入れるのが常識。
    でも宇宙における閉鎖空間で生産できるのならポイント高い。

    • +2
  4. 季節はずれのエイプリルフールのネタかと思ったよ

    • -1
  5. これはいいな
    家畜育てるために森林伐採したエリアに植林して自然を復活させれば野生動物の保護や温暖化防止にもなるだろう

    • +2
  6. まあ、実際に家畜を飼育するよりは、工場的に生産する方がコストが安いはず…という計算なのだと思うが、ある程度の規模が無いとコスト安には出来ない気がする。それでも、こういう方向に肉食業界は進んで行くのだろうね。畜産業は今後何年間くらい存続するだろうか?

    • +7
  7. 毎度、この手の記事はドラえもんを思い出します。

    • 評価
  8. 動かないで育った肉で必要な栄養素が賄えるなら良いけど其の辺どうなんだろうね

    しかしこうなると培養肉に命はあるかとか言い出す奴が出て来そうだ

    • 評価
    1. ※10
      電気刺激とか与え続ければ運動したのと同じ状態にできるんじゃないの?

      • +1
    2. ※10
      そもそも細胞はちゃんと命を持った生き物だ。

      • 評価
      1. ※58
        いや、そこまで行くと、細菌や微生物すらも「命あるものだ」とかいう話になるから、収集憑かなくなると思うよ?

        あと、※53リアル「君の膵臓を食べたい」ですか?

        • 評価
  9. この技術使うと絶滅した動物肉を食えちゃうだろうな

    • +9
  10. この技術が確立すれぱ火星行ってもいいかな

    • +3
    1. ※16
      直径1メートルくらいの輪切り肉に、
      周囲から大勢で齧り付くんですね。

      • +4
    2. ※16
      ハジメ人間ギャートルズで、そういうシーンが有ったな確か?

      • 評価
  11. この材料をそのまま飲んだり食べたりしたほうがロスも少なくていいのでは?

    • 評価
  12. 「あの9割人造肉が、調理次第でこうも美味しくなるとは、まさに驚愕だよ」

    • +1
  13. アメリカの農業・畜産業とかの映画みてると、ものすごい巨大な産業で闇も深いらしいので、見えない圧力が働いたりしないか心配…。

    • +5
  14. 魚肉ソーセージみたいに新種の食品として紹介すれば
    行けると思う。「アレを目指して再現してみました」
    的な商品にしてしまうとカニカマみたいに
    「似てない・違う・惜しい」ばかり言われてしまう。
    カニカマはもはやカニを名乗らなくても単体で美味しい。

    • +11
  15. 人口肉が人間襲うって漫画大昔見た気がする

    • +1
    1. ※25
      元は虫でも、食する時には虫の姿ではなくなっている気がする
      だって虫の姿のままだと食欲が湧かないじゃん?(個人差も有る?)

      • +3
      1. ※47
        印刷するときの状態ではゲル状なので、それがもともと何だったのかは、考慮されないはず。

        極端な話、「ソイレントグリーン」もありうるかもだし。

        • 評価
  16. そもそも肉の細胞って事はそれは既に生きているのでは?

    • 評価
  17. 自分が大学で骨格筋の研究をしてた10年前は、筋幹細胞は他の幹細胞と比べて数を増やす細胞増殖も分化誘導後の成熟も難しかった記憶があるが技術の進歩は素晴らしいな
    量産できるようになれば品質も価格も家畜より安定するだろうし、特に高級肉を食べたいとも思わない自分みたいな人間には嬉しいことだ
    ただ、生き物の肉には「筋線維」「血管」だけじゃなくて多少の血液や他の細胞とか筋以外からのホルモンやらのタンパク質とかが含まれてるから、それらが含まれてない肉を食べるとどうなるのか・・・やっぱ家畜からの肉を食べたいとかなるのか気になるね

    • +10
  18. 命の定義、いただきますの精神、いろいろ変わってしまうな

    あと牛さんが絶滅危惧種になりそう

    • +4
  19. 去年の春先辺りにnetfrixで配信された、「クローバーフィールド・パラドックス」では、衛星軌道に設置された宇宙ステーションの「クローバーフィールド」の中で、まんま3Dプリンタを使って「肉」を印刷るシーンがあるんだけど、その肉の原料はすいそうのなかで大量に飼育されている「ミミズ」だったりする。

    ちなみに、内容は世界のエネルギー危機を救うために、粒子加速器を使って高エネルギーを生み出そうとしていた、クローバーフィールドステーションで予期せぬ事故が起こり、ステーションは「異次元の地球」に出現した。

    という、「パラレルワールド」ものになっていた。

    • 評価
  20. 顔回 視肉というものを知っているか?(孔子暗黒伝)

    • 評価
  21. マンモスは冷凍されてたのが見つかってるから、あながち不可能じゃ無いかも

    • +2
  22. で、必要のなくなった豚や牛はどうなるの?

    • 評価
    1. ※38
      心配しなくても、『俺は本物の肉以外は食わん!』なんていう
      高級志向の人間はどこにでも居るから。
      本物の肉は、現在以上に高級&希少食材として生き残って行くよ

      • +3
  23. 問題はコストと量産性、そして重要なのはおいしさだな

    • +1
  24. 大変素晴らしい
    世界中で食肉が現実的に欲されている以上、規模の経済でコストはかなり抑えられるだろう。
    いずれ自然肉は完全に嗜好品の部類になり、生存のための食料としての肉はほとんど人口肉にとって変わるかもしれない。
    鳥も牛も豚も大量生産のものは大抵環境が酷い(酷くならざるをえない)から、それならこの人口肉でよいではないか。
    いずれ本物の血肉を食べるのは趣味嗜好の部類になっていくだろうな

    • +1
  25. これでやっと命を食らう業から解放されるのか…

    • +1
  26. 地球は大気で守られてるけど宇宙空間には放射線が飛び交ってるし放射能濃度が高い肉になるんだろうなぁ。
    食べたらガンになるよ。

    • -4
  27. どっちにしても、人類が宇宙に進出する時代になったら必須の技術になるだろう。地上だと自然に生えている草を食べさせる事が可能だが、宇宙空間では動物の餌を作り出すのが難儀だと思う。そんな事をするくらいなら、最初から完成した肉を生産した方が良いよね?

    • +1
  28. 数分もあれば調理可能なお肉が仕上がるってことは
    「うちは注文を受けてから培養」とかいうお店がでてきたりしてな

    • +4
  29. この技術使えば色んなものが再現できそうでいいね
    旨すぎて人間に乱獲されて絶滅した動物の肉を再現したり
    漫画とかでよく見るけど実在しない所謂“まんが肉”も作れるかも?
    夢が広がる!

    • +2
  30. 好きな女の子の細胞を採取して培養して食べてみたい

    • -1
  31. 早くこの技術が一般的になって欲しい
    動物を殺さなくて良い時代が早く来て欲しい

    • +2
  32. スタートレックに登場するレプリケーターへの第一歩か・・・!

    • +1
  33. この分野で一番期待したいのは無菌の生肉だよ
    刺身で食える肉がやすく買えるようになるなら大いに価値がある

    • 評価

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