image credit:Colossal
世界各地でゲリラ的活動をしている覆面アーティストのバンクシーは、風刺的でユニークな作品を手掛けるアーティストとして有名だ。今年5月には、イタリアで開催された国際美術展に招待されなかったことを皮肉った作品を動画で公開し、話題になった。
また、去年10月には彼の代表作「Girl with Balloon(少女と風船)がサザビーズのオークションで落札された直後、額に仕掛けてあったシュレッダーによって半分裁断されてしまうというショッキングな事態が発生し、こちらも世界的ニュースとして伝えられた。
次から次へと突拍子もなく、新たなレベルにチャレンジし続けるバンクシー。今回は、イギリスのロンドン南部で「ディストピア風ショールーム」をオープンしたことで、早くも話題になっている。
一晩のうちに築かれたバンクシーのショールームは、本人のインスタアカウントでも紹介されているが、単なる風刺的アートのディスプレイではなく、どうやらバンクシー自身の商標権を守るためにオープンしたようだ。
GrossDomesticProduct™ - Banksy Installation
期間限定でバンクシーのディストピア風ショールームがオープン
ロンドン南部クロイドンのサリー通りに、突如バンクシーのショールームが出現した。オープン期間が10月1日から2週間のみというこのショールームは、廃業した店舗スペースに設置されており、巨大なガラス窓を通してのみ作品を見ることが可能で、実際に中に入ることはできない。
「Gross Domestic Product(GDP 国内総生産)」と名付けられたショールームの中を外から見てみると、「コーンフロスティ」で有名なトニー・ザ・タイガーが、リビングルームのカーペットとして犠牲になっていたり、
小さな木製の人形が貨物トラックの中から手を出す密輸業者に赤ちゃんを引き渡していたり、
image credit: youtube
多くのカメラがベビーベッドに向けられていたり、
山積みになったライフジャケットがウェルカムマットになっていたりと、意欲的なライフスタイルを提供するには程遠い、資本主義のディストピアの世界が描かれている。
その他にも、イギリス人ラッパーのストームジー(Stormzy)が、今年の音楽イベント「グラストンベリー・フェスティバル(Glastonbury Festival)」で、ヘッドライナーとしてパフォーマンスした際に着ていたバンクシー作ユニオンジャックの防刃ベストや、
ロンドンの文化施設バービカン・センターで展示されているジャン=ミシェル・バスキアの作品にヒントを得たとされる観覧車などもある。
image credit: youtube
しかしそれこそが、バンクシーの今回のテーマとするところで、このショールームは強制的な移民問題、動物の搾取、監視社会といった世界の主要な問題を風刺的に批判するためのステージとなっている。
ショールームオープンの目的は商標権を守るため
バンクシーは、このショールームの背後にある推進力は「商標権争い」だと明かしている。あるグリーティングカード会社が、バンクシーの名称を使用する法的申請を行ったのだ。もし、認められればカード会社はバンクシーの名を使って、偽の商品を売ることが可能になる。
バンクシーの弁護士マーク・スティーブンス氏は、このように述べている。
バンクシーは、彼自身の作品を商品としては販売していないため、難しい立場にあります。そこで今回、バンクシーは「商標を積極的に使用している」ということを示すために、このプロジェクトを思いついたそうだ。いわば、この店は彼の法的措置の場となっているのだ。
法理は非常に明確で、商標権者が名称を使用していない場合は、それを使用する人に譲渡することが可能なのです。
image credit: youtube
一部の作品を公式サイト上で販売予定
現在準備中の公式サイト『Gross Domestic Product』では、ショールームに展示されてある作品の一部の販売が、間もなく可能になるということだ。販売作品のラインナップは、警察機動隊が使用する暴動鎮圧用ヘルメットで作られたディスコボール、レンガで作られたハンドバッグ、またバンクシーの署名入りで一部使用済みのスプレーペイント缶など、ユニークなものが勢揃いする予定となっている。
image credit: youtube
今回のプロジェクトに関する声明の中で、バンクシーは次のように話している。
誰にでも買える価格を考えて、作品の販売価格は10ポンド(約1300円)からにしたが、アイテム数は限られている。商標権争いといっても、自分の作品の収益を手にすることを目的とせず、アーティストとしてプライドをかけたユニークな方法で自身の作品を守り抜くバンクシー。「そういうところが彼らしい」と思うファンも多いことだろう。
全ての作品は、イギリス製ハンドメイドもしくは各地でリサイクルされた素材を使用したものだ。
展示品の収入は難民へと寄付される予定だ。また、人形セットの販売収益は、イタリア政府が押収した移民救助船を再購入するためのサポート基金となる。
私は、今でも娯楽や学術研究、また活動のために私の作品をコピーして使用する人がいることを気に留めていないが、名前だけを勝手に利用されることは望んでいない。
現在クロイドンの一角には、バンクシーが手掛けたディストピアな世界をガラス窓越しに一目見ようと、多くのファンが詰めかけているという。
References:Colossalなど / written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
バンクシーがイタリアで開催中のヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展を皮肉った作品を動画で公開
焼け焦げた城、シンデレラの死体。”悪夢”のディズニーランド、バンクシー監修の「Dismaland(ディズマランド)」が期間限定でオープン(イギリス)
バンクシーが自らの絵をニューヨークの路上で1枚60ドル(約6千円)で販売するというゲリラセールを開催。はたして何枚売れたでしょうか?
謎の覆面アーティスト、「バンクシー」のイギリス・ブリストル美術館でのシュールな展示物
僕の名前をハウス(班名)に使ってくれてありがとう!バンクシーが小学校の校舎の壁にゲリラアート。子どもたちもびっくり!
コメント
1. 匿名処理班
中の人が入れ替わって関わる人間も増えてからすっかり商業主義やねw
2. 匿名処理班
西欧社会では、社会的メッセージを訴えるのに芸術家をアイコンとして利用しているような所があるんじゃないかね。ウォーホールとか、バンクシーとか、その時代の社会の問題を敏感に感じ取る人間を先導者にして、皆でワイワイ騒ぐみたいな。そこに金持ちが群がって作品の値段を吊り上げたりするのは、醜悪だと思うね。
3. 匿名処理班
何がディストピアなのかよく分からん
4. 匿名処理班
あくまで芸術と言う表現方法にこだわり、敢えて多くを言葉にしない点もバンクシーの魅力の一つだと思っていたのだけれど…
5. 匿名処理班
イタリアの船って、違法に移民を運んでたやつか。
違法行為を助長するような活動はやめてもらいたいよ。って、前もこんな事書き込んだなあ。
6. 匿名処理班
なんでもディストピアって言えばいいってもんじゃない気がするがね
7. 匿名処理班
バンクシーの商標権?そんなものはくれてやる。バンクシーという名前に意味はない、作品こそが自分を表している。とか言ったらカッコよかったのに。
これじゃあビジネスでやっていますって暴露したようなものだよ。
8. 匿名処理班
印旛沼のバンクシーは本物なのか?
9. 匿名処理班
国際美術展に招待されたかったのかよ
10. 匿名処理班
マスゴミが持ち上げて大々的にバンクシー凄い!素晴らしい!と持ち上げた結果、意識高い系の金持ちが大金出して買うようになったんだからなぁ
マスゴミが宣伝するまではバンクシーの考えに沿ってたんだろうけどバンクシーアートを金持ちが大金出して買うようになってからは、バンクシーの気に障ったんじゃない
だからオークションで高額で落札された作品集を落札者の前でシュレッダーに書けたりして嫌がらせをしたんだろ
どちらにしろバンクシーには、1ドルも入って来ないしやってやれとやっちゃったんだろうな
今回の作品展は、嫌味の表現でもあるんじゃないかな
11. 匿名処理班
>>6
子供を売る親がいる一方で子供を監視カメラで監視しておけば安心と子供の側には居ない親も居る、どっちも違うんじゃないかと言うことを言いたいんだなと忖度してみる
12. 匿名処理班
※7
こんな意味不明で記事も読んでないようなコメントが+7も付くんだ
バンクシーの名前使った偽商品で詐欺ることを防ぎたいだけでしょ
13. 匿名処理班
10年後には忘れらえてしまいそう