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頭と体がちぐはぐな謎のカンブリア紀の古代生物。その分類学上の地位が判明(英研究)

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image credit:Rafael Martin Ledo/Consejeria de Educacion de Cantabria
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  5億500年前の地球には、正体不明の謎の小さな生物が存在していた。その生物は、異なる系統に属する動物のパッチワークのような体であった。

 頭と体がちぐはぐなのだ。

 しかし、発見から100年以上もの間知られていなかった隠された顎が新たに見つかった。このおかげで、この生き物が系統樹のどこに連なるものかついに明らかになったのである。

 その生物の名はアミスクウィア。

 古生代の海産無脊椎動物の一つである。

ヤムシ類とヒモムシ類の特徴を持つアミスクウィア

 アミスクウィアは長く平らで、柔らかい体をしており、体長は5センチに満たない。丸みを帯びた頭からは2本の触覚が生えており、また体には両脇のヒレとパドルのような尾ビレがある。

 アミスクウィアの学名『Amiskwia sagittiformis』のAmiskwiaはクリー語で「ビーバーの尾」、sagittiformisはラテン語で「矢の形」を意味している。

 これが記載されたのは、1911年のこと。どことなくヤムシ類(毛顎動物門)に似ているが、頭部付近に獲物の捕獲に使われるトゲなど、その独特の特徴のいくつかが欠けていた。

 一方、ヒモムシ類(紐形動物門)の特徴も持ち合わせていた。しかし、やはりいくつかヒモムシ類に共通の構造が欠けていた。

 その分類をめぐっては数十年も議論が交わされてきた。はたしてヤムシ類とヒモムシ類のどちらなのか? あるいは大昔に途絶えてしまった独自の系統という可能性もあった。

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5億800万年前のものと思われるアミスクウィアの化石 image credit:Luke Alexander Parry

隠された顎を発見

 今回、英ブリストル大学のジェイコブ・ビンター(Jakob Vinther)氏らは、これまでとは違う方法で化石の調査を行ってみた。化石を塩化アンモニウムでコーティングしてみたのだ。

 こうすることで、内部構造がはっきり浮き彫りになり、「頭部にある独特の要素」を観察できるようになった。

 それは、これまで知られていなかった顎であった。

 ここからアミスクウィアは、今日も見られる2つの古代の動物の中間に属するものであることが明らかになった。

 ビンター氏によると、アミスクウィアに隠されていた顎は、担顎動物にも存在する。

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アミスクウィアと似た顎を持つRastrognathia macrostoma image credit:Martin Vinther Sorensen/SNM Denmark

 体がヤムシ類のようでありながら、担顎動物のような顎を持っていることから推測できるのは、ヤムシ類と担顎動物はこれまで考えられていたよりも、もっと近い存在なのかもしれないということだ。

 実際、ヤムシ類の特徴である捕獲用のトゲは、アミスクウィアの顎から進化したという可能性も考えられる。

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image credit:sciencedirect

カンブリア紀の奇妙な動物たち

 5億4300万から4億9000万年前のカンブリア紀、動物は驚くべき速さで多様化していた。

 この現象を「カンブリア爆発」といい、奇妙極まりない姿形をした生物がまさに爆発的に大量に誕生したのである。

 だが意外なことに、そうした不思議な動物たちは今日に生きる子孫たちとそれほど異なるわけではない。

 事実、現生の小さなワームには、アミスクウィアのような古代の先祖とよく似た解剖学的特徴がそのまま残されているのである。

 この研究は『Current Biology』に掲載された。

References:bristol / sciencedirect/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 20件

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  1. サムネは布団圧縮袋に詰めた
    コアラのぬいぐるみと思った

    • 評価
  2. エウロパの氷の下にもこんな生物がいるかもしれない

    • +11
  3. ハルキゲニアもこんなやつの仲間だったんじゃないの?

    • 評価
  4. 古生物から現生動物の系統関係が類推できたのか
    マイナーな動物門ばかりだからマニアックなニュースだが

    • +1
  5. 人間が知り得た知識って、本当にひとかけらでしかないのよね。

    • +4
    1. ※7
      基本過去しか観測できない宇宙と違って原生生物との比較ができるだけまだ生物学は救いがあるかも知れない。
      我々が銀河をぐるっと一周した画を見たいと思っても、「予想を含めた想像」でしか作れず、実質それが不可能な事な事、ホントに「見えるところで判断しきゃ行けない」学問。

      • +2
  6. これが意外って言われるあたり、カンブリア紀の生物は進化の袋小路で子孫はほとんど残らなかったって言うグールドの思想がまだ根を張ってるんだな

    • +4
  7. カンブリア爆発は、外骨格の生物が多く出てきたから化石になりやすかっただけで、それ以前にもたくさん生物はいただろうという説を定期的に書き込んでおきたい

    • +11
    1. ※10
      でも、バージェス動物群より少し前のエディアカラ生物群には、
      バージェス動物群より単純な生物が多いので、やはり
      カンブリア紀に進化が加速したと思う。

      • +4
    2. ※10
      外骨格による化石の多さ云々は顕性累代とそれ以前との分水嶺であって、カンブリア紀爆発の提唱とは全く別の関係無い話

      カンブリア紀爆発は、あくまで軟体の印象化石が多数含まれたバージェス頁岩が発見(再発見)されたのが契機で、それまでの外骨格生物の化石群から考えられていたよりも、遥かに多種多様かつ異種異様(に見えただけ)だったことから、S・J・グールドによって提唱された概念
      けど、バージェス生物群(および澄江生物群およびシリウス・パセット生物群)の研究が進んだ現在は、爆発と形容されるほど極端な変化だったわけではないという見方が広がってる

      今回の発見もバージェス頁岩によって保存されていた軟体性生物の化石によるものなので、外骨格云々は全く関係ない

      • +3
  8. 「カンブリア生物=わけのわからないモンスター」ってイメージが、だんだん無くなってきてる感じがする。
    こいつの他にもハルキゲニアやネクトカリスみたいに、実は割と順当な姿だと判明したやつらも多いし、現在の深海で負けず劣らずやべーやつらが続々見つかってるというのもあるし。

    • +7
  9. カンブリア期ってなんか放射線とかの影響なかったかんな

    • -1
  10. すごいな。話に出てくる生物が知らないのばっかりだ。
    そしてそれを、ここまで詳細に分類できるように研究している専門家が、何人もいるというのがまたすごい。
    生物すごいし人間すごい。

    • +2
  11. 5億年前ならまだしも5憶500年前ってすげえピンポイントだな

    • +1

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