
image credit:ollie harridge/Flickr
地球は不思議と謎で満ちている。宇宙空間で生きていられる小さなクリーチャーから、見えなくらい黒い塗料まで、不思議はそこかしこにあるのだ。
ここでは、自然か人工かを問わず、思わず「なんだこれ?」と叫んでしまいそうなものを紹介しよう。
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1. 地球上で最も黒い物質ベンタブラック

image credit:Surrey Nanosystems
あらゆるものの中で最も黒いナノ物質、それがベンタブラック(Vantablack:日本語表記ではバンタブラック・ ヴァンタブラックとも言う)だ。2015年にサレー・ナノシステムズが開発したそれは、基質のうえで”成長”するカーボンナノチューブの集まりである。
表面に当たった光の99.8パーセントを吸収するために、人間の目ではほぼ見ることができない。まさにブラックホールだ。
・ブラックホールすぎて負傷者が!超黒色塗料「ベンタブラック」で塗られた穴に落ちた来場者(ポルトガル) : カラパイア
2. エイリアンのようなアオミノウミウシ
Sea swallow, blue angel, blue glaucus, blue dragon, blue sea slug and blue ocean slug
アオミノウミウシは学名をGlaucus Atlanticusといい、”青い天使”とも呼ばれるウミウシの一種。南アフリカとオーストラリア沿岸でしか発見されたことがない、珍しい生物だ。
非常に美しいその見た目とは裏腹に、カツオノエボシやギンカクラゲといった猛毒の刺胞を持つ生物を餌としている。
餌の毒性は体内に蓄積されているので、綺麗だからとうかつに触ったりしてはいけない。
・プルプルブルーな水中捕食世界、アオミノウミウシがギンカクラゲを食べる映像 : カラパイア
3. 雲を切り取ったかのようなエアロゲル

image credit:NASA/JPL-Caltech
エアロゲルは、ゲルとガスから作られた超軽量物質で、”凍った煙”や”固体の煙”といった愛称がある。作り方はいくつもあるが、どれも同じようなプロセスをたどる――化学物質を混ぜ、それを水分を含むゲルに入れたら、水分をすべて吸い取ってしまうのだ。
これによって99パーセントが空気という超低密度物質が出来上がる。
空気は熱を伝導しにくいため、たとえば花と炎の間にエアロゲルを置くだけで、花を熱から守ることができる。
4. キャンディーのようなレインボーユーカリ

image credit:Flickr / Carvalho
レインボーユーカリ(学名 Eucalyptus Deglupta)は、まるでおとぎ話の中の木のようだ。だが、きちんとインドネシア、パプアニューギニア、フィリピンに自生しており、実際にカラフルな樹皮を見ることができる。
この不思議な色合いは、樹皮が剥がれ落ちたときの副作用である。
外側の樹皮が剥がれた直後の内側は黄緑色なのだが、時間が経過するとだんだんと青・紫・オレンジ・えび茶色に変色する。
5. 塩で作られた地下聖堂

image credit:ollie harridge/Flickr
コロンビア、クンディナマルカにある塩の教会(Catedral de Sal de Zipaquira)は、1954年に岩塩坑を掘って作られたローマカトリックの教会である。完全に塩で作られており、シパキラという小さな町の地下180メートルのところにある。
巨大な十字架もやはり塩で、1万人を収容することができる(ただし実際にこの人数が同時に入ったことはない)。
6. エイリアンのような口を持つミツクリザメ

image credit:Dianne Bray/Museum Victoria/Wikimedia
生きた化石と言われる非常に珍しい深海のサメで、英名をゴブリンシャークという。ミツクリザメ科に属す古代のサメの生き残りであることしか判明していない。突き出た顎が特徴で、口には釘のような歯が並ぶ。動物が発生する電流を察知することができ、これに反応して顎を伸ばして獲物を捕まえる。
以下の映像を見ればその恐ろしさが伝わるはずだ。噂によると『エイリアン:コヴェナント』のネオモーフはこれがモチーフだという。
Rare Footage Of Goblin Shark With Alien-like Jaws | SHARK WEEK
7. サイケデリックな元素ビスマス

istock
理科の授業でビスマスという元素を教わったことを覚えているだろうか? なんとなく覚えていたとしても、それがどれだけサイケな代物かはまったく知らないだろう。ビスマスは外縁が内側よりも早く形成されるために、階段のような模様を作り上げる。このために出来上がる結晶構造は、虹色の四角形が組み合わさったかのようだ。
8. 火花のような青い溶岩を吐き出すインドネシアの火山
Volcano with BLUE Lava ! AMAZING
インドネシアのイジェンサ山は、火花のように青い溶岩を吐き出すことで知られている。
正確には溶岩自体は青ではなく、溶岩と一緒に放出される高濃度の硫黄ガスによってそうした色合いになるのだという。
硫黄ガスに火がつくと、それが青っぽい色に燃えるため、溶岩が電気の火花のような青に見えるのだ。
・禍々しいにもほどがある。君は青い溶岩流を見たことがあるか?(インドネシア) : カラパイア
9. 不思議と謎の宝庫、ヴォイニッチ手稿

image credit:Wikimedia Commons
240ページからなる中世の書物なのだが、そこに記載されてる文字は誰も読むことができない。1404〜1438年の間に書かれたと考えられているヴォイニッチ手稿には、見たこともない植物や入浴をする女性などの謎めいたイラストや図表が掲載されている。
これまで文章の解読やイラストの植物を特定しようと何度も試みられてきたが、すべて失敗している。
2018年1月、カナダのコンピューター科学者が、AIを利用して部分的な解読に成功したと発表しているが、まだまだ手順を改善する余地があるとのことだ。
・ヴォイニッチ手稿、AIを使って解読を試みたコンピューター科学者、その手がかりを発見したと主張(カナダ) : カラパイア
10. 到達不能極ポイント・ネモ

image credit:Cookson69/Wikipedia
到達不能極とは、陸上で最も海から遠い地点、あるいは海上で陸から最も遠い地点のことを指す。ポイント・ネモは英国領デュシー島、イースター島モトゥ・ヌイ、南極付近のメイハー島が描く三角の中心にある。
地球上で一番近い人が住む場所から1225キロ離れているために、ここに一番近くにいる人間は415キロ上空を飛ぶ国際宇宙ステーションの宇宙飛行士である。
11. 異星の風景を思わせるダナキル低地
Walking in the Danakil Depression, Ethiopia
エチオピアのダナキル低地は地球上でもっとも不思議な光景が広がる地だろう。
アファール盆地に位置するここでは、溶岩のプール、ネオンカラーの温泉、輝く塩原が点在しており、シュルレアリズムの絵画のような風景を見ることができる。
熱水地域からは有毒ガスが噴出し、プールの多くは酸性だ。
12. 海底の湖と川

image credit:Wikimedia Commons
塩水溜まりとも呼ばれる海底の湖は、周辺の海水よりもずっと塩分の濃度が高い場所である。濃度が高いせいで、周辺の海水とは別個に湖があるように見える。
湖自身の浜辺があり、そこにそれ自身の波が打ち付ける。潜水艦を下ろすと、湖の水面に浮かぶことすらできる。
残念ながら、有害なメタンや硫化水素の濃度も高いので、生身の人間が潜っていけるような場所ではない。
・猛毒が渦巻く死の湖。海の底に沈む「海底の湖」の鮮明な映像が公開される(メキシコ湾) : カラパイア
13. 地球上で一番大きな生物
Humongous fungus
クジラやアメリカスギの林やゾウは大きい。だが、地球上で一番大きな生物ではない。
質量という点ではパンドという木のコロニーであるが、単純な大きさで見るなら、オニナラタケ(学名 Armillaria Ostoyae)というキノコがその栄冠に輝く。
このキノコは米オレゴン州マルール国有林の9.6平方キロの範囲に広がっている。
初めて発見されたのは2017年のこと。DNA解析を多なった結果、すべての株が同じ生物の一部であることが明らかになった。
2400〜8650歳だと推定されており、その傘の部分は美味だそうだ。
14. 宇宙でも生きていられるクマムシ

istock
緩歩動物やクマムシと呼ばれるこのずんぐりとした生物は、まさにどんな場所でも生きていられる。普段なら泥やコケといった湿気のある場所を好むのだが、その気になればマイナス200度の低温や149度という熱にも耐えることができる。
それどころか放射線や沸騰する液体、海の一番深いところの6倍の圧力、真空の宇宙空間ですら生きていられるのだ。
15. 白い水晶がぎっしりの洞窟

image credit:Wikimedia Commons
メキシコにある水晶の洞窟(Cueva de los Cristales)の内部には、巨大な石膏のクリスタル(石膏の巨大な結晶)がそこかしこに伸びている。チワワ州ナイカの亜鉛坑から排水作業をしていた作業者によって、2000年に発見された。
輝くような水晶の柱は純度が高く、従来の技法では年代の特定ができないが、その1つから、5万年前のものと思われるバクテリアが発見されている。
2017年、ここを所有する企業によって、洞窟は再び水で満たされた。
written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
水晶の洞窟、所有者がそのうち水抜くのやめるって言ってたけどもうやめてたんだな
過酷すぎる環境で調査も難しかったようだけど、どれくらい進んでたんだろう
2. 匿名処理班
このクマムシの写真妙に可愛い
ヴォイニッチ手稿の文字頻度調べると適当に書いたわけではないらしい
3. 匿名処理班
カラパイアみてるからだいたい知ってるというね
4. 匿名処理班
>ポイントネモ
クリア後に行ける隠しダンジョンがありそうな場所だな
5. 匿名処理班
一応、一番最後のは水晶ではなくて石膏の巨大な結晶。
crystalは水晶という意味もあるけど科学では結晶という意味が一般的。
6. 匿名処理班
ポイント・ネモ、青い溶岩、水晶の洞窟。
ファンタジーの様な現実に、人間が想像し得るものは実現し得るという話を思い出した。
この場合は逆に存在し得るものだからこそ想像し得るという感じだけど。
7. 匿名処理班
ミツクリザメって着ぐるみを着た魚にしか見えん。
8. 匿名処理班
ビスマス持っているので記事嬉しい。
9. 匿名処理班
クマムシあいつ耐えよるで
10. 匿名処理班
エアロゲルを断熱材の代わりに出来たら光熱費が安くなりそうだなーと思った。
11. 匿名処理班
クマムシってネコバスに似てるような?
12. 匿名処理班
このクマムシ、ベルセルクかと思った
13. 匿名処理班
※1
15は石膏だよ。
いや貴方が間違うのも当然で、記事の中でも間違っている。
最初は石膏と書いているが、あとのほうで「輝くような水晶の柱は純度が高く…」としているから、
たぶん「クリスタル」を水晶と訳したんだと思う、この場合は『結晶』が適切。
まあ間違いじゃない、普通はクリスタルと言えば水晶、最初に知られたからね。
区別するため水晶はクォーツ・クリスタル(またはロック・クリスタル、透明度が高いのを氷と間違えたことから)という。
予断だが、日本でも区別が付かなかった話。
岐阜県恵那山ではよく水晶が取れたが(木曽山脈では時々拾える)、それを仏像の目や装飾、神社の珠用に卸していたそうだ。
当時は需要も少なく、加工が難しいので細々と昔から続いていた内職みたいなものだった。
時々「えらく硬いハリが取れる」ことがあると言われていたが、時代が下がり外国と貿易が始まるとそれがトパーズであることがわかる、トパーズは水晶より硬度が高いのだ。
それを知った男が広く販売して「とぱす長者」と呼ばれるようになったという。
あまり山に入る人も少なくゴロゴロと転がってモノを拾って歩くだけだからうまい商売だったのだろう。
いまからすると羨ましい話だ。
14. 匿名処理班
到達不能極というロマンと厨二心を刺激するワード
15. 匿名処理班
なおクマムシ氏、色々耐えられるけど簡単に潰される模様
16. 匿名処理班
巨大な石膏のクリスタル(石膏の巨大な結晶)がジワジワくる
17. 匿名処理班
クマム氏は準備(乾眠)ができていないとやれない男
18. 匿名処理班
※15
そうそう、プラナリアとかも胃を空っぽにしてないと切っても自らの胃酸で死ぬとかねw
19. 匿名処理班
石膏は結晶だとこんなに綺麗なんだね
彫像とかの不透明な白のイメージしかなかった
結晶の洞窟中の気温が50度とかあってとても長居は出来ないと聞いた
20. 匿名処理班
どんなに技術が発達しても解けない謎があるって、やっぱり地球は広くて深いな。
21. 匿名処理班
>>17
そこ重要なんだよな。
まるで、通常活動できるように書かれてるけど、乾燥状態でないと、上記の内容の通りにはならない。
22. 匿名処理班
昔トリビアの泉でクマムシに何やっても水をかければ動き出すってやってた映像はなんか面白かったな