メインコンテンツにスキップ

ハロウィンはなぜオバケや幽霊など、あの世のもので演出されるのか?幽霊が持つ役割とは?

記事の本文にスキップ

30件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 渋谷界隈では既にザワザワしていたけれど、正式なハロウィンは10月31日だ。

 アメリカ東部ではこの日の18:00に子供たちが様々な仮装をし、袋を持って近所の家を「トリックオアトリート」と言いながら回り、お菓子を回収する。

  基本的にハロウィンは、不気味なオバケや幽霊など、あの世に関するもので家を飾り付けたりするのだが、それは限りある人生をどのように生きるかという大切な教訓も伝えているのだそうだ。

ハロウィンの起源

この画像を大きなサイズで見る

 ハロウィンの起源はケルト人のサウィン祭りにまで遡る。

 ケルト人は1年が光(=夏)と闇(=冬)で分けられていると考えており、サウィン祭りはその闇の始まりを祝うためのお祭りだ。また生きている者の世界と死者の世界が重なり合うために、幽霊が出やすい時期とも信じられていた。

 601年、北ヨーロッパのキリスト教布教を進めるために、教皇グレゴリウス1世は布教活動ではなく、異教徒の祭りを禁止するよう宣教師たちに命じた。

 このために、やがてサウィン祭りは、キリスト教で死んだ人間に話しかけてもかまわないとされる死者の日と諸聖人の日にすり替えられた。

 諸聖人の日(All Saint’s Day)は、万聖節(All Hallows’ Day)とも呼ばれる。そして、万聖節の前夜(All Hallows’ Evening)が訛って、ハロウィン(Hallowe’en)となった。

キリスト教の幽霊

この画像を大きなサイズで見る

 その後も異教徒たちは霊魂を信じ続けたが、それらは初期キリスト教の教義の一部にもなった。

 グレゴリウス1世は、幽霊が見える者は死者のためにミサを捧げよと提案している。彼の見解では、死者は天国へ旅立つために生きている者の手助けを必要としていた。

 中世において、魂が煉獄にとらわれて炎で浄化されるという考えは、教会による免罪符の販売を促進する結果につながった。

 教会にお金を払えば、罪の罰を減らすことができるというわけだ。幽霊を信じている人間はたくさんいたので、教会にとって免罪符の販売はおいしい商売であった。

 こうした考えは宗教改革にもつながった。なにしろマルティン・ルターの「95ヶ条の論題」は、ほかならぬ免罪符の販売に対する抗議が主な理由で書かれたものなのだ。のちにプロテスタントが普及した国では、幽霊は”カトリックの迷信”とされた。

 しかし幽霊の存在についての議論はなくならず、それは科学の手に委ねられるようになった。19世紀までに、心霊主義という新しいムーブメントが起こり、降霊術やウィジャボードあるいは心霊写真といった手段で死者との会話が試みられるようになる。

この画像を大きなサイズで見る

・偽霊媒師が作り上げた降霊の様子を写した奇妙な古写真とその種明かし : カラパイア

 心霊主義自体は第一次世界大戦後になりを潜めたが、その手法自体は現在でもよく知られており、たとえば科学的に幽霊を証明しようとするゴーストハンターたちが使っている。

幽霊の広大な世界

この画像を大きなサイズで見る

 幽霊はなにもキリスト教圏だけの話ではない。ほとんどの社会で幽霊の概念が存在する。台湾などでは9割が幽霊を見たことがあると答えるほどだ。

 日本、韓国、中国、ベトナム、台湾などのアジア諸国には、あの世から霊が帰ってくるとされる”お盆”に相当する日がある。

 その多くが関係している仏教の「盂蘭盆経」には、釈迦の弟子の1人が餓鬼道に落ちた亡き母を救う方法を教えられたという話が書かれている。

 多くの文化圏と同じように、台湾の幽霊には良い幽霊と悪い幽霊がある。良い幽霊は祖先や家族の幽霊で、お盆の時期は家に招かれる。しかし悪い幽霊は、生きている人間を祟るとされる。

私たちの生活のなかでの幽霊の役割

この画像を大きなサイズで見る

 ある学者が話しているように、幽霊が祟るのにはちゃんとした理由がある。

 それは未解決の殺人事件だったり、葬式が行われなかったり、避けられたはずの悲劇だったりといったものだ。

 こう考えると、幽霊は常に正義を求めて化けて出てきているとも言える。正義の訴えは個人からも、社会からもある。

 たとえば、アメリカでは、かつての黒人奴隷や殺された先住民たちの幽霊が目撃されている。

 このように、幽霊は倫理の影を象徴する。幽霊の目撃事例は、倫理や道徳が命を超越しており、その乱れはずしりと心にのしかかるのだということを思い出させてくれる。

 幽霊の話は希望でもある。

 つまりは死んだあとにも生があるということであり、亡くなった人に再会できるということであり、罪を償うこともできるということでもあるからだ。

 今年のハロウィンでは、嬌声がひびくお祭り騒ぎのほんの合間に、幽霊が呪われた過去のなかで果たす役割を思い出し、それが道徳的な生活へと導いてくれるのだということに感謝してみてもいいかもしれない。

References:Why Believing in Ghosts Can Make You a Better Person/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 30件

コメントを書く

  1. >幽霊は常に正義を求めて化けて出てきている
    これ、ちょっと面白い。自分的にはすごい斬新な考え方。

    自分は、幽霊は「居たら面白い派」なんだけど、
    己の良心に照らし合わされた結果の現象として受け取る/解釈するっていうスタンスは
    なかなか興味深いねぇ

    • +16
    1. ※1
      よく良心の呵責として見る幻覚って説明もあるよね
      悪戯をした子供の前に無くなった親族が現れて諌める話とか、入ってはいけない場所で幽霊に追い返されるとかの類
      殺人犯の夢枕に被害者が出続けて恐怖で自首した実例なんかも聞いたことある
      実際に居るかどうかではなく、精神的な装置として脳が見せるものなんかな それを聞いた人にとっても

      • +11
  2. 基軸や時期が違うだけで人間の発想って似てると思うよ。
    北海道の七夕とか、お盆とか、
    あと子供が何か各家庭巡って何かを貰う的な風習は結構ある。

    • +4
  3. もし幽霊がいるなら、乗り物の霊もいそうなのであの世が楽しみ
    今は無き多くの車両をあの世で見れるなら、死後も飽きません

    • +3
    1. ※3
      霊と日本的な「万物に宿る魂」、いわゆる付喪神とは少し違いがあるように思えますw
      神道では魂は霊界に往くのではなく、近隣の神とひと柱になるようですし。

      • +2
    2. ※3
      もう廃線になった場所を深夜に当時の電車が…とか、
      戦時中の滑走路だった場所に深夜未帰還の戦闘機が着陸する…とか、
      そうゆう幽霊が迷い出てくるんだな。

      • +2
  4. 正直な話(`・ω・´)
    日本人はやらなくていいと思います
    だって関係ないし
    それに暴徒と化してしまったので
    なおの事やるべきでは無いです
    そもそもただの商売になってるし

    ただマナーを守ってささやかな感じで
    やればいいんだと思います(´-ω-`)

    • +5
  5. どう生きるかを学ぶ祭りだったのか
    その為に自分がお化けに扮したりホラー風味で飾ったりってなるのが何か面白いな
    長い年月のうちに扮装とかが残ったって感じなんだろうけど、キリスト教圏じゃ一応その辺の理屈残ってたりするのかな

    • +5
  6. 渋谷は悪霊予備軍の巣窟って事か。
    あいつら死後も悪さしそう。

    • +11
  7. 藁で大きな竜を作って燃やすとかとんど焼きみたいだな

    • +2
  8. 要するに死んでしまった者への良心の呵責を打ち消すためのものってことか
    ちゃんと弔えば、うなされることもない

    人間に備わってるそんな心理機序が、なんで進化の過程で必要になったかは気になるところ

    • +3
  9. 花見だって中国から伝わった風習で本来見るのは梅だし、
    ハロウィンも元がどうたらなんて気にせず楽しめば良いのさ

    • +1
  10. 霊とは何か、魂とは何か。
    何であるにせよ、この世界で体現させるには
    物質である必要がある訳だから粒子の塊なのかな。

    • 評価
  11. 渋谷のアレは悪霊というより
    餓鬼というか魑魅魍魎というか…

    • +12
  12. 心霊的な物事は実際に体験してみないと理解出来ないし体験してしまうと否定できなくなる
    その体験自体も脳が見せた幻覚や幻聴だと言われてしまえばそれも否定できないけどあの「これは尋常じゃない」っていう感覚はなんとも表現しづらい

    • +1
  13. 元悪魔崇拝者である有名牧師ジョン・ラミレス氏によれば、「ハロウィンは決して祝ってはいけない」のだという。ハロウィンを祝うと、家族が末代まで祟られるそうです。

    • +2
  14. 「CBN News」がフェイスブックを使って最近行った調査では、クリスチャンの13%しかハロウィンを祝うことに同意していない。

    • +2
  15. こういう舶来物のイベントを次々とお祭り騒ぎに変換してしまう日本人。そういう明るさは好きです。でもその原点に思いを馳せるのも大切だね。

    • +5
  16. 古今東西、お祭りというのは日常のルールが一時失効する時空間だと思うよ。非日常のなかで日常によって抑圧されてきた様々な事どもを発散、開放する場所と時間。お盆も祖先の霊と交流する不思議な時空間だものね。そういう意味で渋谷のバカ騒ぎは、正しいお祭りの伝統に従っているわけだ。

    • -2
    1. ※22
      迷惑がかからない違う場所でならなー。
      田舎の町おこしにできたら良かったのになー。

      • -2
  17. 死後にも生があるとか嫌すぎるので幽霊は信じたくないな…自分がそうなるかもしれないなんて想像は誰もしないのだろうか。恨みがあってとか心残りがあってとかで成仏できないとか哀れすぎるでしょうに。

    • 評価
    1. ※23
      それ分かる、死んだら無になりたい
      でも逆に幽霊になってみたいって気持ちもある
      幽霊はいない派ではあるけど存在して欲しいって思ったり

      • 評価
  18. ハロウィンなのでHelloweenのHalloweenを聴きます。

    • +3
  19. 日本のハロウィンは最悪、暴徒なんて一部なわけだけど
    日本の文化に合わないものを無理やり入れてるから収集がつかない状況
    お祭りで騒ぐ連中もいるけど日本古来のものは
    ルールやそれなりの対処方もある
    ハロウィン=無礼講って勘違いしてる人多そう

    • -2
  20. 渋谷の暴動は酷いけど川崎ハロウィンは整然としてた
    ただガチ仮装者ほど冷たく不愛想でかなり不快だったな
    一気に白けた

    • +1
    1. ※29
      ガチ勢とってハロウィンはお作品の発表会でしかなく
      コミュニケーションを蔑ろにしている傲慢な人が多い印象
      ケチケチと細かいルールにうるさく仲間とだけつるむ傾向

      • 評価
  21. ハロウィンの起源についてはボーッと生きてると叱ってくる5才児の番組で4も言ってましたな
    因みに書いておくと渋谷で出没してたは出がらしのゴミがほとんどでして
    ちゃんとした人はちゃんとしたイベントなどでモラルを持って楽しんでたようですよ
    地味ハロウィンとか見てて笑えるアイデアコスプレもあったしそういうのは大歓迎だなあ

    ただ日本には”お盆”という先祖の魂をお迎えする行事が有るのだからそっちも重視しようよとは思う

    • 評価
  22. 幽霊は
    本能さんが大喜びなので良いじゃない
    自我も霊も同じだよね
    錯覚にしてしまうと「わたし」が消えることになる
    これは深刻な問題なんだよね

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。