
場所によっては3km以上もの厚さがある氷河が陸地を流れ、山脈や岩石を打ちつけた。実は私たちは現在も氷河期を生きている。専門的にはより暖かい間氷期に当たる。氷河の多くは溶けて衰えているが、その痕跡はいくつも残っている。ここではそうした過去の氷河が残した15の痕跡を紹介しよう。
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2. ネス湖

3. ウォールデン池

氷河が溶けるとき、崩壊した氷の塊が土と瓦礫の中に埋もれた。暖かくなると、その氷も融け出し、水が満ちた深い穴が残された。これが手付かずの豊かな自然の象徴となったウォールデン池だ。
こうした場所を釜状陥没地という。ここにはボグという湿地帯が形成されることもある。ボグでは小川によって栄養が流されてしまうため植物には過酷な環境である。その栄養不足を補うために、動物の肉を食べるようなものもいる。
4. 古代の道

古代ケルト人はAn Sli Mor(アイルランド語で大道路)というエスカーに沿ってアイルランドを横断した。また、アラスカのデナリハイウェイやメイン州のルート9を辿ればエスカーの頂上まで車で行くことができる。
5. ガイランゲルフィヨルド

6. せり上がる大地
かつて氷河の重みで押し下げられていた地は上に向かってせり上がっていく。クッション付きの椅子に座ったところを想像してみよう。クッションは体重で沈み込むだろう。立ち上がれば、きっと元の形に戻るはずだ。大地も氷床の大重量に対して同じような反応をする。0.5kmも押し潰され、氷が溶けた後でゆっくりとせり上がる。
この回復プロセスは非常にゆっくりとしており、最後の氷河期が終わった後でも続いている。これは、例えばアメリカ東海岸の住人など、一部の人間にトラブルを引き起こす。最後の氷河期の終わりに氷で沈み込んでいたカナダやグリーンランドの一部は現在浮上しつつあるが、東海岸は逆にシーソーのように沈み込んでいるのだ。結果、海面レベルが上昇し、気候変動の影響とも相まって懸念される事態となっている。
7. プリマスロック

氷河は非常に汚い。移動しながら土や瓦礫を拾い上げるからだ。そうした中にはかなり大きな岩石も含まれており、どこか別の場所で捨てられる。氷河が消えてしまうと、そうした巨大な岩石がぽつんと残され、人々を「一体なぜこんなところに?」と不思議がらせる。これは迷子石と呼ばれている。
プリマスロック以外にも有名な迷子石はある。フィンランドのクンマキヴィの姿はネットでも大いに話題になったし、イングランドのマートンストーンやカナダのオコトクスなど、面白いものはいくつもある。8. 岩を育てる農場
氷河は小石の類も残す。様々なものが混ざり合ったこれを氷礫土という。かつて氷河が存在した土地が石だらけであることが多いのはこのためだ。毎年、土壌が凍って溶けるうちに石が表面まで押し上げられる。こうした土地では、農家の人が「岩が育つ」と話すようになる。
9. 岩の引っかき傷

10. ミミズのいない森
氷河があった場所の多くでは、在来種のミミズの類がまったく姿を消してしまっている。植物や土壌、ミミズまでの一切合財が押し流され、そこは不毛の土地に変わる。そのため氷が溶けた後に森が戻ってきたとしてもミミズがいない。
植民地時代、ヨーロッパから植物やミミズが持ち込まれた。こうした虫が森林の土壌に入り込み、上層をガツガツと貪る。こうなるとある種の植物は成長できなくなる。この過程に応じて、森の姿がどのように変化してきたのかはまだ明らかになっていない。
11. ロングアイランド

12. チャネルドスカブランド(溝のあるかさぶた状地)

氷河はしばしば川をせき止め、氷のダムと湖を作り上げる。気温が上がるとダムが決壊し、ときには壊滅的な災害が起きる。氷のダムで形成された湖の1つがミズーラ湖だ。2万年前にこのダムが最も酷い決壊を起こしたとき、周囲を襲った洪水は世界中の全河川を合わせたものの10倍もの量だった。乾いた土地に流れ込んだ洪水が去った後、残されたのがチャネルドスカブランドである。
13. 奇妙な場所に生息する動物
氷床は景観をがらっと変えてしまう。おかげで妙な場所に住むはめになった動物もいる。例えば、通常は海で一生を過ごすはずの魚が湖に閉じ込められることがある。アイルランド、ケリー湖のニシン科の仲間がそれだ。
カナダ、セントローレンス川にはホッキョククジラの生き残りまでいる。シロイルカだ。最後の氷河期において、氷床がシロイルカの北部生息域の大半を覆い、彼らは南へと移らざるをえなくなった。そして、氷が消えた後でも一部はそのまま残ることにした。
14. 奇妙な場所に茂る植物
アメリカ、ニューヨーク州からバーモント州にまたがるシャンプレーン湖の植物には不思議なところがある。海岸線に特有の植物が生えているのだ。これは海が内陸にまで入り込んでいた時代の名残だ。氷河が溶けて後退すると、その一帯には海が流れ込んできた。こうして海岸の植物が生えるようになった。
15. バンカーヒル

ここでトリビアを1つ。戦いの名称はバンカーヒルにちなんだものだが、戦いのほとんどはブリーズヒルで起きた。どちらも氷河に起因する涙のような形の氷堆丘だ。その正確な形成プロセスは知られていない。確かなことは、遠い昔の氷河が人類史上最も重要な出来事を左右したということだ。
via:15 Modern-Day Signs of the Ice Age/ translated & edited by hiroching
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コメント
1. 匿名処理班
溶けた氷の中から恐竜が出てきたら玉乗りしこみたい。
2. 匿名処理班
氷河期何て無い!!全ては、極移動で説明可能!!
抑雪が降るには、水源である海水を蒸発させる熱源が必要。則ち地球上の何処かが熱くなくては為らない。全地球上が氷河に覆われる程寒冷化したならば、氷河の爪痕等存在しようがない。
3. 匿名処理班
スカンジナビア半島も氷が無くなって隆起しているらしいね、高校生のころ聞いた話だけど 多分まだ隆起し続けてると思う、
現存の氷河 過去数万年分の気象情報が圧縮されて残されているので研究してる人がいるそうな。
4. 匿名処理班
※3
アスカ先生ですね
5. 匿名処理班
※2さん
火山活動とかはどうなんでしょうか?
6. 匿名処理班
※2
ずっと「『たまのりしこ』みたいね」って認識してて、
「たまのりしこ」ってなんだろう?って思ってた
7. 匿名処理班
上高地
8. 匿名処理班
氷河の奥底には、3万年前に滅んだ超古代文明が産んだ伝説の戦士達が眠っているらしいぞ。
9. 匿名処理班
北ヨーロッパ平原なんかも氷河が削ってできたものなんだよね
氷河というのは本当にすごい力を持っているんだなあということを改めて感じるよ
10. 匿名処理班
アルプス・ピレネーより北側のヨーロッパは森林が氷床の拡大から逃げることができなかったから東アジアと比べて樹木の多様性が低い。ライチョウやナキウサギは氷河期には平地住まいだったのが温暖化に伴って気温の低い高山に取り残された。
11. 匿名処理班
氷河期の氷はどこからやって来るんだろうか?
地球が寒冷化してくると海面の水蒸気が少なくなり雨も減るだろうし
大陸を覆い尽くすほどの水(氷)はどうやって作られるんだろ?
12. 匿名処理班
(´・ω・`)何にせよ、南極大陸&緑島は只今絶讚氷河期の真っ只中ンゴ。
13. 匿名処理班
氷河が大地を削る力は川とか海の比じゃないからな
14. 匿名処理班
ボストンのバンカーヒル!
ちょうど今Fallout4やってるから個人的に何だかタイムリー。
15. 匿名処理班
ネス湖が出来たのは、中生代じゃなくて新生代ってことだな。
だとすると、ネス湖に恐竜の生き残りがいるとは
考えにくいわけだ。