
アクロバティックな動きを披露したり、見事な芸術作品を作ったり、奇抜な容姿だったりと、ユニークな連中ばかりだけれど、どれも昨年までは学術世界においては無名だった生き物たちばかりだ。
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1. トンボ返りする蜘蛛

学名:Cebrennus rechenbergi
生息地:モロッコ、エルグ・シェビ砂漠
何者か?:モロッカン・フリック=フラック・スパイダー
生息地:モロッコ、エルグ・シェビ砂漠
何者か?:モロッカン・フリック=フラック・スパイダー
この敏捷なクモ形類動物は、体操選手の技を使って危険から逃走を図る。危険が身に迫ると、最初は威嚇姿勢をとり自分をできるだけ大きく見せようとするが、それでも危険が去らないと、トンボ返りを織り交ぜながら逃げ出す。科学者の見た所、このトンボ返りによって2倍は速く走れるようだ。地形を物ともせず、平らな地面はもちろん、丘の上りでも下りでもトンボ返りを繰り出す。
Cebrennus rechenbergi - the flic-flac spider
だが、これで逃走を図るよりは、まるで攻撃こそ最大の防御とばかりに危険に対して猛然と突進するほうが多い。生息地である荒涼とした砂丘には身を隠す場所がないため、逃げても無意味なのだ。さらに、高温の砂漠において、こうしたエネルギー消費を長時間続ければ命取りになりかねない。そのため、トンボ返りは最後の手段なのだと考えられている。ちなみに学名が付けられる以前に、ある生体模倣ロボットのモデルにもなっている。

2. 地獄からのニワトリ

学名:Anzu wyliei
生息地:アメリカ、ノースダコタ州およびサウスダコタ州
何者か?:羽毛恐竜
生息地:アメリカ、ノースダコタ州およびサウスダコタ州
何者か?:羽毛恐竜
鳥と恐竜の特徴を兼ね備える。ティラノサウルスやトリケラトプスと同時代の恐竜である。6600万年前の白亜紀に、北アメリカで生息していたと考えられている。巣に産卵し、雛が孵るまで上に座って温めていた。また、鳥の特徴として、羽毛、中空の骨、オウムのような嘴の備わった短い吻が挙げられる。雑食性で、氾濫原の植物、小動物、そしておそらくは卵などを食べていたと思われる。

3.海底に砂のミステリーサークルを作るフグ

学名:Torquigener albomaculosus
生息地:日本、奄美大島
何者か?:アマミホシゾラフグ
生息地:日本、奄美大島
何者か?:アマミホシゾラフグ
奄美大島沖の海底には直径1.8mほどのミステリーサークルのような円形幾何学模様が現れることがあり、20年近くも科学者の頭を悩ませてきたが、ようやく新種のフグの作品であることが判明した。このフグのオスは砂の中を動き回り、たった1度の産卵場所としてこの城を築き上げる。

メスの頬を甘噛みするオス。こうしてメスの産卵を促す。


4. サンゴのような植物

学名:Balanophora coralliformis
生息地:フィリピン、ミンガン山
何者か?:塊茎植物の変種
生息地:フィリピン、ミンガン山
何者か?:塊茎植物の変種
この寄生性植物は、地面の上に枝を広げながら伸びていく。 根によって寄生し、近縁の塊茎とはかなり異なるサンゴのような姿をしている。

5. 殺人母ハチ

学名:Deuteragenia ossarium
生息地:中国東部、古田山国立自然保護区
何者か?:捕食性カリバチ
生息地:中国東部、古田山国立自然保護区
何者か?:捕食性カリバチ
体長15mmで、子供を守るためにユニークかつ危険な方法をとる。すなわち、木のうろの中に土壁で区切られた巣を作る。各部屋には幼虫の餌となる蜘蛛を殺して入れ、卵を産み付けると部屋に蓋をし、次の部屋用の蜘蛛を狩りに出かける。だが、最後の玄関ホールとでも言うべき部屋には蜘蛛の代わりに、13匹のアリの死骸を詰めておき化学障壁とする。

6. オタマジャクシを出産するカエル

学名:Limnonectes larvaepartus
生息地:インドネシア、スラウェシ島
何者か?:インドネシアン・ファングド・フロッグ
生息地:インドネシア、スラウェシ島
何者か?:インドネシアン・ファングド・フロッグ
法則には例外がつきもので、この新種のカエルもそうした例外の1つだ。他のカエルと違い、なんと水の中にオタマジャクシを産み付けるのだ。あるとき、学者に捕まったメスのカエルが手の中でオタマジャクシを出産した。体内受精するカエルは世界に6455種存在するカエルの中でも1ダース以下であり、この新種以外は受精卵を産むか、小さなカエルを出産する。

このカエルは体長40mmで、スラウェシ島北部から伸びる半島で発見された。同地域に生息するカエルの調査はそれほど進んでおらず、この種の生息域については不明である。自然林にも、撹乱を受けた森林にも生息しているが、そうした生息域はしばしば同じ属に属する1〜5種の種が占有している。小川の落ち葉、草むら、岩などの上で見られる。
7. 謎めいた深海のキノコ型”生きた化石”

学名:Dendrogramma enigmatica
生息地:オーストラリア、ビクトリア州ポイント・ヒックス沖の深海
何者か?:新発見の門である可能を秘めた深海生物
生息地:オーストラリア、ビクトリア州ポイント・ヒックス沖の深海
何者か?:新発見の門である可能を秘めた深海生物
キノコのような見た目の多細胞動物で、”茎”の末端に口、別の末端に平べったい円盤を備える。データから推測すると、刺胞動物門(クラゲ、サンゴ、イソギンチャクなど)、あるいは有櫛動物門(クシクラゲ)に近いようだが、それぞれが特徴とする進化的新奇性を持っておらず、全く新しい門である可能性がある。
さらに、先カンブリア時代の化石にも似ていることから、一種の生きた化石とも言える。この生物にまつわる謎は学名にも表れており、DNA解析が可能となるだけの標本が採取されるまでは、分類学上不可解(enigmatic)な存在であり続けるだろう。全長8mmほどの茎と11mmほどの”覆い”を持った小さな生き物で、深度1000mの海底で発見された。
8. 歩く枝

学名:Phryganistria tamdaoensis
生息地:ベトナム、タムダオ国立公園
何者か?:巨大なナナフシ
生息地:ベトナム、タムダオ国立公園
何者か?:巨大なナナフシ
世界最長というわけではないが、全長23cmとかなりの長さを誇る。この発見は、世界のナナフシにはまだまだ明らかになっていないことが多く、他にも新種が見つかる可能性を示している。たくさんの昆虫学者が訪れるタムダオでは一般的なナナフシであるにもかかわらず、これまで誰の目にも留まらずにいた。

9. 華麗なウミウシ

学名:Phyllodesmium acanthorhinum
生息地:日本、沖縄沖
何者か?:ハナビラミノウミウシ
生息地:日本、沖縄沖
何者か?:ハナビラミノウミウシ
その美しさのみならず、衝撃的な造形でも群を抜いている。ウミウシにはヒドロ虫を餌とする種と、サンゴに特化した種があるが、この新種はその両者の”ミッシングリンク”である。腹足類の中で、優雅なラインと鮮やかな色彩で深海を美しく彩るこのウミウシほどのフォトジェニックはいないであろう。


10. クリスマスオーナメント植物

学名:Tillandsia religiosa
生息地:メキシコ、モレロス州
何者か?:パイナップル科の一種
生息地:メキシコ、モレロス州
何者か?:パイナップル科の一種
メキシコの村々では、伝統的なクリスマスにキリスト誕生を表す祭壇を飾りつけるために利用されてきた。地元ではお馴染みの植物だったが、学会に知られたのはごく最近だ。

via:esf・原文翻訳:hiroching
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コメント
1. 匿名処理班
>甘噛み
フグ可愛いな
2. 匿名処理班
1の蜘蛛、何度見ても風で飛ばされて転がっちゃってるようにしか見えなくて困る
3. 匿名処理班
フグのランクインは嬉しいね
前にカラパイアで取り上げてた、アマゾンかどっかの小さなミステリーサークルを作るクモも入選するといいな
4. 匿名処理班
ナナフシってナナフシという虫はいなくて
標準的なナナフシはナナフシモドキっていうんだってな
しかもメスだけで繁殖してオスがほぼ見つからない謎生物
5. 匿名処理班
日本からはフグとウミウシ。嬉しい。
6. 匿名処理班
フグのほっぺってこんなに伸びるんだな…
7. 匿名処理班
スレタイ見て、ジョークでさかな君でも入ってんのかと思ったわ
8. 匿名処理班
化石でも新種の発見としてカウントするんだ
9. 匿名処理班
地獄からのニワトリ、略して地鶏…
>学名:Anzu wyliei
アンズという属名なのか?
10. 匿名処理班
※10
アンズーという悪魔なら知ってる
メガテンで頭がライオンで、身体がカラス?ワシ?‥だったような。
11. 匿名処理班
※10
たぶんメソポタミアあたりの神話に出てくる「アンズー」から
とったんだと思うよ。
鳥みたいな姿の怪物なんだわ
12. 匿名処理班
※9
滅びてても新しく発見された種だからねえ
13. 匿名処理班
フグの甘噛みかわええww
14. 匿名処理班
フグですらいちゃいちゃしてるってのによお…
15. 匿名処理班
殺人母ハチ?
想像したら猟奇的すぎた・・
16. 匿名処理班
5 >13匹のアリの死骸を詰めておき
13匹って決まってるの?
数が数えられるんだろうか…そしてなぜ13
17. 匿名処理班
7番の子が一番びっくりだ
新しい動物門かもしれないって
しかしよく調べた結果近年消滅した動物門もいくつかあるし、続報に期待したいね
18. 匿名処理班
まだぞくぞくとこんなレベルの新種が発見されるんまな。宇宙すごすぎ
19. 匿名処理班
※5
ナナフシギですな
20. 匿名処理班
7の「新しい門」の可能性とはびっくり
今後の調査や精査が楽しみですね
でも9のミノウミウシは数合わせで入ってるだけだと思う
特に目新しいことはないじゃん
21. 匿名処理班
『13』がフィボナッチ数であるという意味深
22. 匿名処理班
※2
でもコレが向こうから転がって来たら全力で逃げるw
23. 匿名処理班
ふぐたん きゃわわ///
24. 匿名処理班
フグのメス幸せそう(=゚ω゚)
25. 匿名処理班
フグ甘噛みってなってるけど、映像で見るとどう見てもガッツリかみついてメス嫌がってるんですけど・・・
26. 匿名処理班
まだまだ新種はいるもんだね
俺の身の回りにも
意外といるのかなぁ
27. 匿名処理班
5.
一番奥の部屋で生まれたヤツは大変だな
力尽きて出れないとかいないのだろうか?
28. 匿名処理班
メスの頬を甘噛みするオスの画像が羨ましくて泣いた
29. 匿名処理班
※26
そうだよね。
普通に「咬んで」ででいいのね。でも、それは繁殖の過程のスタイルにすぎないので、「甘噛み」などと擬人化するのもどうかと思う。
サメなどの交尾でもオスがメスを咬むが、あれはかなり荒々しい動作だし流血したりすることもあるので、さすがに「甘噛み」と表現されないだろうけれど。
30. 匿名処理班
アマミホシゾラフグはミステリーサークル内にゴミ入ったら口に加えて外まで持ってくんだってね。
かわいい。
31. 島根大生
成る程、蜘蛛を狩るハチは、せっかく蜘蛛狩り卵産みつけても、それを寄生のハエに見つけられ、ハエの産み付けた卵に、せっかくの仕掛け横取りされると聞いた。それを防ぐための、臭い消しの蟻の死骸を使うのか。
蜘蛛系は、飢饉でも一定数生息→蜘蛛の巣にかかり殺されながらも蜘蛛を餌にする生態を獲得→それを寄生バエに狙われる→臭い消しに蟻を活用。
進化の過程や工夫が、垣間見えますね。
32. 匿名処理班
※26
♀「あー、なんか気が乗って来ないし他のサークルも探してみよっかな」
♂「行かないで!(カプ)」
33. 匿名処理班
※21
解説文読む限り、例えDNAを調べて、実は刺胞動物門のこれまで知られてなかった幼生の形態でした、とかでも大騒ぎになりそうなかおり
門レベルの話だとすると、珍渦虫さんと同じく、ほぼ単独で動物門を構成することになるのかしら
34. 匿名処理班
甘噛みフグの可愛さに心震えた…撫でたい撫でたい、ふたつまとめて!