
経年により蓄積された分子レベルの損傷により、血管が固くなったり、筋肉が衰えたり、視界がぼやけたり、記憶力が乏しくなったりと、体は徐々に衰えていくが、果たしてそれは地球上だからなのだろうか?宇宙空間だとどうなるのだろうか? これまでの研究によると、地球上では老化を感じ始めるのに数十年かかるが、宇宙空間にいる人間は、まるで早送りでもされてるかのように老化を感じることがあるという。
宇宙飛行士たちは、筋肉が衰え、関節が硬くなり、腸が過敏となり、歯がもろくなる。視界は狭くなり、肌はシワとなり、血管が硬化するといった老化に見られる体の変化を1回の宇宙飛行で経験する。
実年齢以上に体の衰えを感じた宇宙飛行士だが、地球に帰還すると、年齢相応のところにまで戻れるのだそうだ。いくつか戻らない特徴もあるそうだが。

筋肉を例にとると、老人の筋肉は歳をとるにつれて量が減りやせ衰えていく。その為動きづらくなり、動かない状態でいると、更に筋肉が衰えていく。宇宙飛行士の筋肉も、無重力下ではほとんど使われることがないため同様の反応を見せる。そのため宇宙飛行士が宇宙滞在を延長するときは、特殊な運動器具を使って筋肉が衰弱しすぎるのを防いでいるのだ。

無重力下では骨格が体重を支える必要がないため、新しい骨細胞の生成量が減り古い細胞の分解・吸収量が増える。しかしこれは、一度地球に戻れば正常な骨量に戻ってくれるのだそうだ。

via:howstuffworks/ 原文翻訳:such宇宙空間での老化に関しては、まったく逆の研究結果もある。
Sources:
http://spaceresearch.nasa.gov/research_projects/shaken.html
http://spaceflight.nasa.gov/station/crew/exp7/luletters/lu_letter13.html
http://www.mayoclinic.com/health/aging/HA00040
http://weboflife.nasa.gov/currentResearch/
http://www.nsbri.org/HumanPhysSpace/index.html
http://health.howstuffworks.com/wellness/aging/aging.htm
2012年、東京都健康長寿医療センターや宇宙航空研究開発機構などのチームが宇宙空間で行った線虫の実験によると、宇宙にいた線虫は、地上の線虫に比べて、神経や内分泌にかかわる遺伝子の機能が低下し、加齢に伴って蓄積するたんぱく質の量も減っていたという。
特に機能が落ちた7遺伝子を線虫の中で働かなくする実験を地上で行ったところ、通常約80日の寿命が最大20日ほど延びたそうだ。宇宙での11日間は、地上の10日間に相当したとみている。 線虫の場合には遺伝子が休眠状態となり、宇宙にいたほうが寿命が延びたということなのだが、この実験は人間に対して行われたわけではないのでそのまま人間に適応できるかどうかはまだわからない。

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コメント
1. 匿名処理班
線虫の結果ではなんとも……。ですが、あらゆる名目を打ち立ててでも、宇宙に希望を託すのはロマンがありますね。解明が進む度に、好奇心ってすごいなあと感心してしまいます。
最近、ファンタジー寄りでないSFの面白い作品が多いですが、それだけ宇宙科学が身近に感じられるようになって来たんでしょうね。
2. 匿名処理班
つまり、遠心力で1Gの負荷を加えれば特殊な訓練を必要とせず長期の滞在も可能と
3. 匿名処理班
「高速で移動する物の中では時間の進みがゆっくりになる」ってのは相対性理論だったか
4. 匿名処理班
人は土からはなれては生きられないのよ
5. 匿名処理班
深海や洞窟の変化の無い環境の方が長生きするということか
6. 匿名処理班
火星に行くとかやっぱ無理なのか
7. 匿名処理班
「ドラえもん」かなにかに無重力ベッドみたいな物があって、偉く寝心地が良さそうだ、と子供の頃から考えていて、おっさんになるにつれて羨望にすらなってきた。
だがまあ、こういうのを見るとしょうがねえなと思う。
地球人はストレッチしつつ、あんま器具を買えということだな。
8. 匿名処理班
逆に重力の強い環境下ならば若返るということだな
9. 匿名処理班
しかし遠心力が本当に重力の代替になるのだろうか
10. 匿名処理班
これ、無重力の影響だけじゃなく、被曝の影響も大きい感が
11. 匿名処理班
「老化」って言葉に気を取られるとアレだけど、結局重力のある環境が前提の生物は無重力環境じゃうまく生存できないってことだよね。
将来的には人工的に重力環境を再現する技術が発達するのか、はたまた遺伝子工学やサイバネティクスで無重力でも問題ない人体を手に入れる日が来るのか。
12. 匿名処理班
※11
>>結局重力のある環境が前提の生物は無重力環境じゃうまく生存できないってことだよね。
そうとはまだ言えない部分がある。植物に関して言えば重力は重要な成長のファクターではないことが分かっている。むしろ無重力空間では植物の成長は非常に早くなることが知られていて、長期宇宙旅行では野菜の栽培をすることで食料を確保する方法が研究されている。
動物も成長過程では重力は大きなファクターではない。かつては生物の発生過程では重力が重要だと思われていたけれど、植物同様なんら影響が無いことが分かった。ただし、本文にもあるように、骨・歯が脆くなるという症状は抑えられない。これらは重力がなければ必要ないものなので、宇宙で育つ動物は軟体動物のように進化するだろう。
13. 匿名処理班
体組織の一部だけ寿命が伸びても、全体としての機能は劣化しそう
14. 匿名処理班
高速で移動する程時間の進み方が遅くなり、
代わりに宇宙では、老化のスピードが早く成り、つり合いがとれる。
15. 匿名処理班
とりあえず人のままでは宇宙は厳しいので
引っ越した星の環境を見てから体を作れるように、意識や知能そのものは人体を捨てる必要がある
現に観測や計算には人体を必要としていない
今ある道具は人が使うことを前提に設計されているだけ