
ソース: 薬で若返る高齢アカゲザルの脳 ナショナルジオグラフィックということで、不老不死に対する研究は今日もどこかでデビルマン。物忘れの激しい、生まれた時からうっかりさんのパルモの場合には、昨日どんな記事書いたのかすら思い出せないわけで、そんなニュースがあったということ自体忘れていきそうで怖いんだ。でもって忘れたくても思い出せない、都合の悪いことやショッキングな出来事の体験記録をごっそり消してくれる、そんな魔法の薬の登場だけは待ち望んでみたいんだ。そんなこと考えてたことすら忘れちゃいそうだけどもさ。
脳内の前頭前皮質は、高齢化とともに急速に衰え始める。 前頭前皮質はさまざまな高次機能をつかさどる部位で、作動記憶(ワーキングメモリー)の維持も含まれる。作動記憶とは、行動に結びついた刺激がない情報を、“心のクリップボード”に格納する機能を指す。
若い脳は作動記憶を脳内に維持するように、前頭前皮質の各ニューロンが互いに活性化する。「この関係が成立するには、脳内の神経化学的な環境を適切なバランスに保つ必要がある」と今回の研究を率いた、研究チームのリーダーでアメリカ、イェール大学の神経生物学者エイミー・アーンステン氏は述べる。
しかし、人は40〜50代に達すると、前頭前皮質に「cAMP(環状アデノシン一リン酸)」というシグナル伝達分子が過剰に蓄積され始める。その影響で、ニューロンの効果的な活性化が阻害され、物忘れや注意力散漫などが生じるようになる。アーンステン氏の研究チームは、いろいろな年齢の6匹のアカゲザルを数年間訓練して、単純なテレビゲームの操作方法を教えた。対象のゲームを覚えるには作動記憶を活用する必要がある。
操作方法を身に付けたサルの脳内に、痛みのない方法で小さなファイバーを挿入、単一ニューロンの活性化状況を記録した。生きている高齢の動物にこの処置が行われたのは初めてである。
若いサルは刺激のないときでも活性化が頻繁だったが、高齢のサルでは、刺激がないとニューロンの活動があまりみられなかった。 次に、挿入したファイバーを通して化学物質「グアンファシン」を含む薬を高齢のサルに注入したところ、cAMPの伝達経路がブロックされ、ニューロンの活動が活性化した。グアンファシンは現在、成人向け高血圧治療薬の成分として利用されている。また、高齢者の作動記憶を改善する効果の有無を確認する臨床試験も実施されている。
アーンステン氏は、「グアンファシンがサルの作動記憶を改善することはすでに判明している。サルや人間で繰り返し実験し、同じ結果が得られた」と説明する。「ただし、この薬が“脳の活性剤”として承認されても、記憶の改善がどの程度実現するかはまだ断言できない。“30代に戻れます”などと言い切ることは不可能だ」。
今回の研究に対しては、暫定的との意見が多い。カリフォルニア大学アーバイン校の学習・記憶神経生物学センターに所属する神経科学者ジェームズ・L・マゴー氏は、次のようにコメントした。「ニューロン活動の回復が記憶の改善をもたらすとは必ずしも証明されていない。薬を脳に直接注入する方法は初めてだが、すぐに臨床に応用できる段階ではない」。
カリフォルニア大学サンディエゴ校でアルツハイマー病共同研究(ADCS)プロジェクトを率いる神経科学者ポール・アイゼン氏も同様に、「新たな前進であることは間違いないが、人間の治療にどのような意味を持つのかは明らかではない。“実験対象がサルだから”ではなく、単一細胞記録は脳機能の一部にすぎないからだ」と述べる。 「そもそも根本的な問題として、高齢化に伴う記憶能力低下に対する薬物治療が必要なのか結論が出ていない」とアイゼン氏は語る。「アルツハイマー病などでなければ、記憶能力が低下しても、十分に埋め合わせできる。例えば、物忘れには単純に“メモを取る”方法が有効な場合もある」。
一方、研究チームのリーダー、アーンステン氏は、「認知機能低下との戦いは、健康な数多くの高齢者にとって極めて重要な問題だ」と主張する。「財産管理や健康維持、なにより自立した生活を送るために認知機能は欠かせない」。
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コメント
1.
アゼイン氏ずいぶん守りに入った論調だなw
2. ko
高齢化と脳の衰えってのは、ある意味幸福な組み合わせなんじゃないですかね。
日々寿命が短くなり、身体が動かなくなる中で、頭ばっかり明晰だとそれはそれで辛そうです。
寿命も脳に合わせて延びるなら良いでしょうが。
現代人の幸福感は80代で最高になる、なんて記事がギガジンだかに載ってましたが。
頭の活動が活発である事と、その人が主観的に幸福であることは比例しないんじゃないかと。
緊張感とストレスに晒されてる時ってのは主観的には凄く辛いですが、そのような状況では
記憶力や判断力、あらゆる能力が高まってたなって事は多いと思います。
高齢者の脳年齢は若返ったけど、自殺者が増えて寿命は縮んだ、みたいな結果になるんじゃないかなと。
3.
体も脳も老化を防ぐにはカロリー制限がいいとか。
サーチュイン遺伝子が云々…。
4.
※2
なるほどな
たしかに言われてみればそういう捉え方もできるね。
あと仮に脳の衰えも肉体の衰えも抑えることができる
技術が開発されたとしても
一人の人間が100才でも200才でも長く生きられ
それも20代、30代の人間となにひとつ変わらない
そんな社会になったとしたら
それはそれで爆発的な人口増加、食料難etc
様々な問題が生まれるようにも思う。
5.
※2
なるほどな
たしかに言われてみればそういう捉え方もできるね。
あと仮に脳の衰えも肉体の衰えも抑えることができる
技術が開発されたとしても
一人の人間が100才でも200才でも長く生きられ
それも20代、30代の人間となにひとつ変わらない
そんな社会になったとしたら
それはそれで爆発的な人口増加、食料難etc
様々な問題が生まれるようにも思う。
6.
でも、肉体に関してなら男性ホルモンが多ければ80歳から筋トレ始めてもマッチョになれるって研究結果があったはず
脳事態も部位によってはトレーニングによって使い続ければ衰えないし
最速20代から老化は始まるってるのだからそれを手軽にコントロールできるならそれはありがたいと思う
特に一番働き盛りの頃には記憶力、吸収力が減退域に入ってるわけだし
まぁ、別で長寿に対する弊害も色々あるだろうけど
7.
そんなことよりおれのLD持ちの出来損ないバカ頭はこれで治るのか?
教えてエロい人
8. hamsik
いくら脳を若返らせたって、みんながみんな20代の神経だったら
気持ち悪くねw
9. aaa
この記事自体が最新の脳科学を一方的にだけ紹介してるから、部分的には正しいけど
これが全てじゃないよ。
若いうちは脳の組織化に優れているから学習が早い。
歳を取ると脳の効率化に優れだすから応用や複雑なものの理解に優れる。
つまり新しいものを生み出したいなら、そのバランスが丁度いい20-30代というわけ。
しかもこの機序は一方向性だから、
年寄りの脳に若返りを施すと必ずしも理想的な若返りにつながる保証は無いぜ。
10.
サルの脳みそ食いてー
11.
Bウイルス…ハッ!
12. 分生学者d
>>2
どんなに辛くとも自らの意思を通したいオレのような変人には朗報だ。
13.
新作の猿の惑星もこんな話らしいな
14.
自然を崩すと大抵弊害が出るから・・・
なんか副作用がありそう・・・
15. rin
毛が三本足りない僕はこれさえあれば、人並に一歩近づけるかもしれんなぁ