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見知らぬ人を助ける利他的行為で体の痛みが即座に軽減することが判明

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(著)

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image credit:Pixabay
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 「情けは人の為ならず」ということわざは、「親切にすることはその人のためにならない」と間違って解釈している人も多い。だが本当の意味は「人に親切にすれば、その人の為だけでなく、自分にも良い報いとなって返ってくる」だ。

 実際にこれは真実であることが科学的な研究によって証明されている。

 見返りを期待しない利他的な行為は、肉体的な痛みの緩和、ストレスの軽減、さらには幸福感の向上にも繋がることがわかったのだ。そしてそれはすぐに作用するという。

様々な研究が示す利他的行為の良い影響

 近年の研究により、利他的な行為が心身の健康に良い影響を与えることが明らかになっている。

 例えば、ボランティア活動はストレスの軽減やうつ症状の改善、認知機能の低下リスクの減少、さらには寿命の延長にも寄与することが示されている。

 さらに、2017年の研究では、慢性的な痛みを抱える人々がボランティア活動に参加することで、痛みの軽減と生活の目的意識の向上が報告されている。

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Photo by:iStock

利他的行為はすぐに体の痛みを軽減させることが判明

 これまでの理論や研究のほとんどは、利他的な行動がもたらす長期的かつ間接的な効果がほとんどだった。

 だが2019年の研究では、「利他的行為が即座に良い作用をもたらし体の痛みを軽減することが明らかになった。

 この研究では、以下のような状況での痛みの感じ方が調査された。

  • 地震後の献血者: 地震後に自発的に献血を行った人々は、そうでない人々よりも注射針の痛みを感じにくかった。
  • 労働者の子供たちのための活動: 出稼ぎ労働者の子供たちのためのハンドブックを改訂する活動に参加した人々は、極寒の外気にさらされても寒さや辛さを感じにくかった。
  • がん患者のボランティア活動: 慢性的な痛みに苦しむがん患者が他人のために料理や掃除を行った場合、自分のために行った場合よりも痛みの度合いが軽減された。
  • 寄付者の痛みの反応: 孤児を助けるための寄付を行った人々は、寄付を行わなかった人々よりも電気ショックに対する痛みの反応が弱かった。

 これらの結果は、利他的な行為が脳の痛みを感じる部位の活動を抑制することを示している。 

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Photo by:iStock

誰かの役に立っていると感じることで痛みが軽減

 今回の研究から、脳がどれくらい痛みを感じるかは、他人に施した善行にその人がどういう意味を感じているかも大きな要素になることがわかった。

 より他人の役に立っているとその人が信じるほど、痛みを感じにくいという。

 これは、利他的な行いがその人に役割意識を与えることと関係があるのかもしれない。

 自発的な利他的行為が、ある種の役割喪失感(例えば子育て卒業や、有能な社員といった役目を失ったときなど)から起こる、ストレスやうつ病、目的意識の欠如感を軽減させるのに役立つのかどうか、研究者たちはとくに関心をもっている。

 他にも、利他的行為によって脳のドーパミンが放出され、行為者が”温かなぬくもり”を感じて気持ちが高揚する「ヘルパーズ・ハイ」というべつの要因もあるかもしれない。

 「ヘルパーズハイ」とは、人を助けたり、親切にすることで幸せを感じる状態のことだ。

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 痛みの軽減とこの心地よい気分を促す化学物質が合わさり、わたしたちは見返りを求めずに人を助けるという行為で自分に報いているともいえる。

 ただし利他的行為がなぜ肉体の痛みを軽減させるのか、その詳しいメカニズムを解明するには更なる研究が必要になるという。

 イギリスの小説家、チャールズ・ディケンズはこんな言葉を残した。

この世に生きる価値のない人などいない。人は誰でも、誰かの重荷を軽くしてあげることができるからだ

 日本では本当に困っている人がわかりづらい状態になっているが、幸いにもネットがある。どこかで誰かが救いの手を求めている。

 自分が困難に陥ったときほど、誰かを助けたいと強く思うことで、結果的に自分が救われることになるのかもしれない。まさに「情けは人の為ならず」だ。

 この研究は『PNAS』(2019年12月5日)に掲載された。

References: Volunteering and other good deeds reduce physical pain, a study finds | KSL.com

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この記事へのコメント 14件

コメントを書く

  1.  とても興味深い研究ですね。 ここカラパイアでも利他行動についてはよく取り上げられていて、よくよく考えるとヒト種固有の行動ではなくほかの哺乳類の種でも見られる行動のような気がします。 今回の記事の内容はどこまで敷衍できるかわかりませんが、実は哺乳類に一般化できそうに思うのですが…… 鳥類はどうだろう? 爬虫類はどうだろう?などとさらに押し広げて考え見るのですが、もしかすると哺乳類だかなのかなとか。 いずれにせよ、自身に良い影響があることをなんとなく感じていて利他行動に入るのかなと。 ヒト種にとってはこの「他」という存在が種だけでなく類も超えるのかもなんて考えちゃったりして面白い記事でした。

    • +5
  2. 群れで生きる動物たちには大小差はあれど、この感覚が備わっているんだと思う。

    • +18
  3. 利他行為というのは利己主義を基に行わなければならない。
    人のためと考えて動いてしまうと必ずどこかに歪みが生じる。自己満足で判断し、それがもし誰かの喜びに繋がれば嬉しいくらいの認知を持つことが全体の幸せにつながる。

    • +11
  4. オレがみんなを守るから、誰かオレを守ってくれ

    • +5
  5. ヘルパーズ・ハイ、の可能性も重要だよね
    ドーパミンによる即時的・一時的なストレス軽減は、長期的に続けると逆にストレス増加に繋がるかも知れない
    人の役に立つことが常習化して聖人みたいな方で自分の健康とか顧みないタイプは、自愛も必要だと周りが気づいてあげるのが大事かと

    • +9
    1. 聖人じゃなくてたぶん病んでるほうだけど自分もこっちに近い
      自愛が苦手だし自分の願望もよくわからない
      他人の、特に自分が助けてあげたいと思った他人の喜びはよくわかる

      • +5
  6. 体の痛みはわからないけど、自分の行いが誰かの役に立ったと思うと心が軽くなる

    • +15
  7. ・寄付者の痛みの反応: 孤児を助けるための寄付を行った人々は、寄付を行わなかった人々よ    りも電気ショックに対する痛みの反応が弱かった。

    なぜ電気ショックを受けねばならん!?

    • +7
  8. 今あちこち痛いのはあたいに他者への優しさがたりないから?

    • 評価
  9. 医療系はみんなを助けてるしお礼も言われるけど
    体中痛いのはなぜ?
    スタッフ全員がそう 責任が重たいときついのかな

    • +1
    1. やってもやらなくても自由なことを敢えてやっているボランティア(志願制)活動ではなく、
      日常の生活費を得る手段になっていて、出勤義務がシフトに組み込まれた「業務」だから?

      • +4
  10. これ、要介護者の福祉を向上させる上でも重要な気がする

    介護を受けている人は「自分はお荷物で、他人を助けていない」って意識を抱きやすいので
    その無力感が痛みを長引かせてる可能性も

    • +7
  11. なんとなくだけど…、「助けると」というより、
    「自分より不幸な人がいる(=自分は不当に恵まれている)」という罪悪感の裏返しが
    「あの人らに比べれば、これぐらいの痛みは何でもない。騒ぐのは不謹慎」
    という無意識のバランス補正に働くような気もする。

    「震災(輸血が必要な負傷者)⇔献血(比較群:自分の検査用採血)」
    「出稼ぎ労働者の子供(貧困)⇔寒さ」というリンクもそうだし、
    孤児への寄付に関しても、役立ち度が高いと思っている人ほど痛みが少ないというのは
    「役立っていて欲しい」という後ろめたさがより強い人ともとれる。

    「暑ぃ~ダリぃ~眠ぃ~」とかザワついている教室に、
    一人の生徒の親が事故死したとの連絡が入り、号泣しながら早退して行った後
    他の生徒達の不平不満がピタリと止んで、姿勢を正して授業を受けているような感じ。
    何の助けもしてないけど、極度の不幸との対比で 自分の些細な不快が鎮まる。

    • -3
  12. 利他心が強く、他者に無条件で奉仕できる人ほど、内面に痛み悲しみを抱えていることもありえると思いました。

    • 評価

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