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大規模な海洋熱波の影響で、アラスカのウミガラスの約半数が死亡、生態系の危機を懸念

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(著) (編集)

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DickDaniels (http://carolinabirds.org/), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
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 自然界ではうれしいニュースがある一方で悲しいニュースもある。だが動物たちが危機に直面している状況は知っておかなくてはならない。

 2014年から2016年にかけて、「ブロブ」と呼ばれる海洋熱波が、アラスカからカリフォルニアにかけての海岸沿いを襲い、わずか3年で北東太平洋の生態系をめちゃくちゃに破壊した。

この驚異的海洋熱波の影響でプランクトンや小魚がいなくなり、餌をとれなくなったウミガラスは、その多くが飢えによって命を落とすことになってしまった。

 アラスカの海岸にはおびただしい数の死骸が打ち上げられ、その数は発見されただけでも6万羽以上に達した。

 最終的に、ウミガラスの生息数全体のおよそ半数にあたる400万羽が、ブロブにより死滅したと推測されている。

海洋熱波が海の生態系を破壊

 2014年から2016年にかけて、「ブロブ(the Blob)」と呼ばれる北東太平洋の熱波が、アラスカ湾と東ベーリング海にまたがって形成された。

 この時、海面の水温は平均で2.5~3度、場所によっては3.9度も上昇したと言われている。

 ブロブの範囲はどんどん広がっていき、最後にはアラスカからカリフォルニアにかけての約3,200kmにまで達したという。

 このブロブは近代史上最も大きく、最も長い海洋熱波で、わずか2~3年の間に、この海域の生態系に深刻な影響をもたらすことになった。

 急激かつ持続的な海水面の温度の上昇は、そこで暮らす生き物たちに壊滅的な打撃を与えた。

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白化したサンゴ image credit:photoAC

 まず、水温の上昇に敏感なオキアミやプランクトンが減り、それらを食べていた小魚の群れも崩壊した。

 さらに上位の捕食者であるアシカや海鳥たちは飢えに苦しんだ。また、オキアミを主食としていたクジラたちも影響を受けた。

 海の生態系を担っているすべての生き物たちが、ブロブの影響を受けざるを得なかったのだ。

 2024年12月12日のサイエンス誌に掲載された論文には、以下のように記されている。

この海洋熱波(ブロブ)は、一次生産量の減少から上位捕食者の死滅に至るまで、海洋生態系に広範な影響を及ぼしている

ウミガラスの繁殖にも異変が起こる

 研究者らはこの間、ブロブの発生した海岸沿いにあるウミガラスのコロニー13カ所で、個体数が極点に減少している状況を観察した。

 ウミガラスはチドリ目・ウミスズメ科に分類される海鳥の一種で現生のウミスズメ類の中では大型の種類だ。

 カラスと名がついているものの、カラス科とは全く関係がなく、黒い羽毛がカラスを連想させるため、この名前が付けられたとされている。

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ウミガラス Photo by:iStock

 2015年の繁殖期には、通常なら何千羽ものウミガラスが集まるはずのコロニーに、ウミガラスの姿はまばらにしか見られなかった。

 例年なら崖にあるコロニーは、ヒナと子育てをする親鳥たちで、とても騒々しい状況になるのだが、この年は不気味なほど静かだったのだ。

 アラスカ海洋国立野生生物保護区の生物学者であり、上記の論文の共著者でもあるブリー・ドラモンド氏は次のように語っている。

最初のうちは、「鳥たちは繁殖しに来なかったが、来年は戻ってくるだろう」と考えていました

保護区の生物学チームは、鳥の数が少ないこと、そして繁殖に失敗したことを踏まえて、プロトコルを調整しなければならなくなりました。卵を産んだ鳥がほとんどいなかったのです

私たちを驚かせたのは、その地理的範囲でした。それぞれのモニタリング地点(観察した繁殖地)は数百~数千km離れていますが、状況は皆同じだったのです

海岸にはウミガラスの死骸が大量に打ち上げられた

 ウミガラスの数の減少が確認されるのと並行して、海岸にはその死骸が大量に死骸が打ち上げられるようになった。

 同保護区を監督する生物学者で、やはり上記の論文の共著者のヘザー・レナー氏は言う。

これが前例のない大量死だということはすぐにわかりました。ただ、どれほどの規模なのかはわからなかったのです

 2016年末までに、研究者やボランティアらが数えたウミガラスの死骸は6万2,000羽を越える。しかもこの数は、陸上で確認されたものだけで、海で死んだ死骸は数に入っていないのだ。

 当初、死亡数は50万羽~100万羽と推定されたが、今回の論文で、ウミガラスの個体数の約半分に当たる約400万羽が餓死したことが明らかになった。

 この数字は当初の推定の4~8倍に上り、近代史で記録された「単一種の野生生物の大量死」としては最大規模であることが判明した。

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image credit: Common murre die-off in the Gulf of Alaska, David Irons, Public Domain,

年々増え続ける海洋熱波の影響

 ウミガラスの大量死をもたらした海洋熱波、「ブロブ」とは一体どんな現象なのだろうか。

 海洋熱波の発生にはさまざまなメカニズムがあり、上空から届く日射量や海面からの潜熱放出、海流の流れや海洋表層の構造などが、その原因として考えられているという。

 初めてこの言葉が使われたのは、2010~11年にオーストラリアで海水温の上昇がみられた時だったという。

 その後、地球温暖化が進むにつれ海洋熱波の発生は増え続けており、地球全体で海洋の生態系が大きく乱れ始めている。

 地中海では海藻やサンゴの死滅が繰り返され、ニュージーランド沖では大量のカイメンの白化が発生。チリでは藻類ブルームが起きて、養殖場に大きな被害をもたらした。

 海水温の上昇は、海に住む生き物たちの食物連鎖を破壊する。餌となる魚がいなくなったために、ウミガラスは、生き延びることができなくなったのだ。

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DickDaniels (http://theworldbirds.org/), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

一度壊れた生態系はなかなか元に戻らない

 ブロブが終わりを告げた後も、ウミガラスの個体数はなかなか回復に至らなかった。論文の中で、レナー氏は次のように指摘している。

私たちは、今頃までには以前の個体数までに回復していると期待していました

 だが、現実はそうはならなかった。一度破壊された生態系は、元に戻るのが非常に困難になる。

 既にこの海は、これ以上ウミガラスの個体数が増加するのを支えられなくなっているのかもしれない。

 ドラモンド氏によると、この海洋熱波による環境の変化に対し、およそ半数の生物が中立的な反応を見せたという。

 30%が適応に苦労する様子を示し、20%の生物は適応した反応を示したそうだ。

 海洋熱波が増え続けている現状を見ると、将来的にはこの環境の変化に適応できない生き物は淘汰されていくことになるかもしれない。

 この研究は『science』誌(2024年12月12日付)に掲載された。

References: Largest Known Animal Die-Off in Modern History Leaves Scientists Searching for Answers

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この記事へのコメント 7件

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  1. 北海道にもオロロン鳥という名前でウミガラス居ますね
    昔かなり個体数が減ったので保護してます
    野生動物は人間の生活や気候の変化であっという間に減ってしまう…

    • +1
  2. 減った種があれば
    増えた種もあるだろ

    前を向いていこう
    ポジティブ思考だ

    • -10
  3. こういう事も大きな流れのほんの一部に過ぎないし自然で野生動物が生きると言う事は本当に過酷なんだと思う

    • +2
  4. 海洋熱波の原因はなんじゃい
    温暖化の原因は二酸化炭素ではなく海洋熱波なんじゃないの?

    • -3
  5. 二酸化炭素が増えて地球が温暖化する
    →寒暖差が少なくなったことにより地球規模の気流が弱まったり蛇行したりする(偏西風など)
    →海流の発生要因の一つは風によるものなのでつられておかしくなる(黒潮大蛇行など)
    →普段入り込まない場所に暖流が流れ込んで海産物が死んだりする、暖かいから潜熱放出などの影響も大きくなり熱波発生
    って感じでこういう地球規模の異常はだいたい全部カスケード的に起こるのよ
    あまりにも規模が大きく多段階枝分かれだから根本辿ってくのも大変

    • +5

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