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人間の幹細胞から作ったミニ脳が、仮想現実内の蝶をコントロールすることに成功

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(著) (編集)

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Daniel Burger・Youtube
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 人間のミニ脳を利用して、バーチャル世界をひらひらと舞う蝶をコントロールすることに成功したそうだ。

 ミニ脳とは、ヒトの幹細胞を培養し実験室で作った、脳に似た構造の組織体のことで脳オルカノイドとも呼ばれている。

 スイスに拠点を置く「FinalSpark社」が開発する生きたコンピューターについては、以前にもお伝えしたが、同社が開発する「Neuroplatform」は、16個のヒト脳オルガイノドを連結した生体コンピューターだ。

 同社は今回、仮想現実に接続した人間のミニ脳が、その世界の蝶を操ることを確認したという。

連結した人間のミニ脳で仮想空間をコントロールする試み

 16個のヒト脳オルガイノドを連結した生体コンピューター「Neuroplatform」の最大の特徴はデジタル・コンピュータよりもはるかに少ないエネルギーで情報を計算できることだ。

 今回 FinalSpark社が行った世界初の試みは、Neuroplatform を仮想現実に接続し、そこでひらひらと舞う蝶をコントロールさせるというもの。

 16個の脳オルカノイドの1つ1つはエンドウマメほどの大きさしかないが、それぞれ人間の幹細胞から培養され、1万個の神経細胞で構成される正真正銘の人間のミニ脳だ。

 これらは37℃に保たれた培養器に収容され、マルチ電極アレイが埋め込まれて仮想現実ソフトウェアにアクセスできるようになっている。

 アレイを介して脳オルガノイドが仮想現実に干渉するには、きっかけとして人間が仮想空間内のある点をクリックする操作が必要となる。

 するとソフトウェアは、そのクリック点が蝶の視界の範囲内であるかどうかを判断し、それを脳オルガノイドに伝える。

 この情報を受け取った脳オルガノイドは、クリック点が蝶の視野内である場合には、蝶をそこまで誘導する。

 視野内でない場合、蝶は仮想空間内をただランダムにひらひらと舞い続ける。

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Daniel Burger・Youtube

完全生体ニューラルネットワーク化も可能

 Neuroplatformプロジェクトに携わるエンジニアのダニエル・バーガー氏は、その重要性についてブログ内で次のように説明する。

これらの動作機能は、ソフトウェアによって実装されています

特に重要なのは、クリック点へ向かって飛ばすのか、それともランダムに飛ばすのかの決定が、刺激に反応する脳オルガノイドによってなされているということです(ダニエル・バーガー氏)

 現行のシステムは、従来のコンピューター上で実行されるソフトウェアによって動かされている。

 だが、やろうと思えば生物学的ニューラルネットワークとして動作する脳オルガノイド上でソフトウェアを実行することも可能であるとのことだ。

Lab-Grown Human Brain Living in a Virtual World

ヒトのミニ脳を使った生体コンピューターの利点

 このようにコンピューターを生体化することの大きな利点の1つは、従来のスーパーコンピューターに比べると100万倍も省エネできることだという。

 ただしこの点について、多少不確かな部分もある。というのも現時点では、システム全体の消費電力を従来型コンピューターと比較できていないからだ。

 現行のシステムは、脳オルガノイドの培養器や電気刺激システムといったサポートハードウェアにも電気を使用している。

 こうしたハードウェアなども含めたトータルでのエネルギー効率を従来のコンピューター比較するのは、近い将来の課題であるとのことだ。

 この研究は『Frontiers In Artificial Intelligence』(2024年5月2日付)に掲載された。

References: Lab-Grown Human Brain Embodied in a Virtual World / Human "Mini Brains" Wirelessly Control Butterflies In Virtual World | IFLScience

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この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. 脳オルガノイドに意識はあるのかという哲学的な疑問が更に大きくなりそうだな。哲学的な疑問から科学的な課題となって検証され結論が出る日は来るのだろうか。

    • +7
    1. 意識が有無が確認出来るようになれば、魂の存在しないことの証明にもなりそうだ

      • 評価
  2. 幹細胞は平均して1~2週間の寿命しか持ちません

    よってミニ脳はコンピューターとしては実用できません

    つまり何の利用価値もありません

    • -5
    1. つまり寿命問題を解決できればいいだけの話か

      • +6
    2. 現状こうだから将来も利用価値はないと断ずる馬鹿者

      科学的思考ではない

      • +4
  3. んー待って
    これは橋渡しとなるソフト設計が単に0or1で蝶を誘導させるとかもできるだろ
    ソフトの仕様公開しなきゃ脳オーガノイドに思考力はありまぁす!にならんか?

    • 評価
  4. 人間は間違うものだけど、脳オルカノイドは間違わないものなんだろうか
    脳1セットだと、お腹が空いたとか、SNSが気になるとか気が散ることがあるけど
    分割された細胞なら正確な判断をするのかな

    • +3
  5. 技術が進歩すればいずれ本物の脳よりはるかに優れたものとなる

    • +3
  6. 今のところ意識の根源は微小管を刺激すると麻酔で意識を消失するまでの時間が長くなるそうなので、そこを複製しない限りは芽生えないんじゃないかと思う

    • 評価
  7. 倫理観の無いあの国でものすごく研究が進みそう

    • 評価
  8. 蝶と蛾
    実は明確な区分は無い。
    (;´・ω・) がちょ~ん

    • 評価

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