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日本の歴史書に記された1181年の超新星が、吹き飛ばずに中心にとどまる理由

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Image credit:NSF NOIRLab
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 日本では平安時代にあたる1181年に明るく輝く星が目撃され、後に鎌倉時代の歴史書に記載された。

 その正体は超新星爆発だった。通常なら爆発の反動で星は弾き飛ばされるはずだが、今も生き残り、爆発の跡の中心に残っている。 

 その理由を探るため、アメリカやオーストリアなどの国際研究チームがハワイの大型望遠鏡で爆発の跡を撮影したところ、星は爆発の反動をほとんど受けていないことが初めて数字で裏付けられた。

 また、爆発で飛び散ったガスが、大きさのそろった巨大な粒の連なりであることも新たにわかったという。

 この研究成果は『The Astrophysical Journal』誌(2026年10月6日付)に掲載された。

参考文献:

平安時代の夜空に現れ、吾妻鏡に記された超新星

 1181年の夏、北の夜空に輝くW字形の星座、カシオペヤ座に、それまでなかった明るい星が現れた。

 土星と同じくらいの明るさで輝き、185日間にわたって夜空に見え続けたとされ、鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』や中国、アラブの文献にも記録されている。

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『吾妻鏡』(吉川本)右田弘詮の序文 Image credit:public domain / Wikimedia

 この星の正体は、地球から約7500光年離れた場所で起きた超新星爆発であることが後の研究で明らかとなる。

 超新星残骸とは、爆発で飛び散ったガスが雲のように広がったものだ。

 2013年に発見された超新星の残骸「Pa 30」の中心からは、花火のように無数のガスの筋が伸びており、爆発の跡地だと特定された。

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平安時代を明るく照らした超新星の残骸「Pa 30」 Image credit:NASA

爆発した星は吹き飛ばずに生き残った

 Pa 30の中心には、爆発を生き延びた白色矮星が存在している。白色矮星とは、かつての星が極めて高密度に圧縮された地球サイズの残骸を指す。

 Pa 30は、2つの白色矮星が衝突して起きた超新星爆発の跡地だと考えられており、通常なら星が跡形もなく吹き飛んでしまう。

 Pa 30の爆発は力が弱く不完全だったため、衝突して1つになった星が吹き飛ばずに生き残った。東京大学の研究チームは、星が土星ほどの明るさだったという記録も、ふつうより暗い爆発だったことと合っていると報告している。

 爆発を生き延びた星は、反動を受けて爆発の中心から弾き飛ばされることが多い。

 飛び散るガスにかたよりがあると、星はガスと反対の方向へ押し出されるためだ。

 理論上は最大で秒速600kmで飛ばされると予測されており、秒速500km以上で宇宙を進む、爆発の生き残りとみられる星も見つかっている。

かたよりなく起きた爆発が、星を中心にとどめた

 生き残った星が爆発の中心にとどまっている理由を探るため、アメリカのハーバード・スミソニアン天体物理学センターとオーストリア科学技術研究所などの国際研究チームは、ハワイにあるジェミニ北望遠鏡を使用してPa 30の全体を撮影し、爆発が起きた中心の位置を割り出した。

 2024年に同じ研究チームが行った観測で、ガスの筋は1181年の爆発から四方へまっすぐ飛び続けていることがわかっている。

 星雲全体のガスの筋の向きを逆にたどると、爆発が起きた場所がわかる。割り出した中心は、生き残った星の位置とよく一致した。

 観測データを計算した結果、星が弾き飛ばされた速度は空を横切る方向で秒速14km未満にとどまる。

 理論上の最大である秒速600kmと比べると、ほんのわずかな速さだ。

 星は爆発の反動をほとんど受けておらず、中心からずれていないことが初めて数字で裏付けられた。

 研究を共同で率いたオーストリア科学技術研究所のイラリア・カイアッツォ助教は、爆発がかたよりなく起きれば飛び散るガスもかたよらず、生き残った星は大きく弾き飛ばされないと説明している。

 研究チームは、1181年の爆発がほとんどかたよりなく起きたため、星が弾き飛ばされずに中心にとどまったと考えている。

爆発の跡は、巨大なガスの粒の連なりだった

 今回の観測では、過去の観測の約10倍の数のガスの筋が確認された。

 さらに、筋はなめらかな線ではなく、ガスの粒が連なっている状態であることが新たに判明した。

 粒の直径は、太陽系の海王星の軌道を10個も並べられるほど巨大である。ガスの粒は大きさと間隔がそろっており、規則正しい構造を持っている。

 ガスの筋がどうやってできたのか、なぜガスの粒の大きさがそろっているのかは、現在も解明されていない。

 研究チームは今後、Pa 30の特徴を手がかりに、天の川銀河や近くの銀河で同じタイプの爆発の跡を探す計画だ。

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この記事へのコメント 1件

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  1. 秒速14kmぐらいだとボイジャー2号の現在速度より遅いのか。
    なら1光日膨張するのに約50年ぐらいかかるんだ。

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