この画像を大きなサイズで見る台湾周辺で軍事的な圧力を強める中国への対策として、台湾国防部が新たなシステムを導入する。
AIを活用して既存の衛星画像を自動で分析し、中国軍の艦艇や航空機の動きを素早く察知する仕組みだ。
開発を請け負うのは、日本の空間情報技術企業と台湾企業が設立した合弁会社である。
膨大な画像を数分で比較し脅威の早期発見につなげるこのプロジェクトは、2027年4月末の完成に向けて動き出している。
参考文献:
- How Taiwan’s new AI satellite system aims to speed up early warning against PLA moves | South China Morning Post
- Taiwan turns to AI to speed up early warning of Chinese military activity
AIで衛星画像を数分で分析
台湾の国防部は、衛星画像から中国人民解放軍の艦艇や航空機などを特定するためのAIシステムを開発している。
開発費は約145万ドル(約2億3000万円)で、軍の情報機関「電訊発展室」が運用する。
約100平方kmの対象エリアを数分でスキャンし、過去のデータと自動的に比較するもので、これにより、情報分析官は中国軍の配備状況の変化をこれまでよりも素早く検出できるようになる。
日本企業も出資する台湾の会社が開発
開発プロジェクトを受注したのは、台湾と日本の合弁会社「ThinkTron(興創知能)」だ。
ThinkTronは台湾の中興工程顧問社と、日本の空間情報技術企業である国際航業が2018年に設立した。
同社はこれまで、災害対策やインフラの点検に使う画像認識AIを手がけてきた。
今回開発する新しいAIシステムは、全長10m以上の艦艇のほか、航空機、ミサイル発射機、移動式レーダー車両といった小型の標的も検出する。
2026年9月25日に契約が発効しており、2027年4月末の完成を予定している。
この画像を大きなサイズで見る新たな衛星を打ち上げず地上で処理
台湾の中国時報や自由時報によると、台湾軍は自前の偵察衛星を持っておらず、外国の民間企業の衛星を借りて撮影したり、友好国から画像を買ったりして、衛星画像を手に入れているという。
今回の計画も新しい衛星を打ち上げるものではなく、手に入れた衛星画像を地上の電訊発展室でAIに分析させるためのソフトウェア開発である。
中国の軍用機や艦船が台湾周辺で頻繁に活動するなか、広大なエリアを手動で確認するには膨大な時間と人員が必要だった。
ソフトウェアが変更箇所を自動で抽出して分析官に知らせることで、作業の負担を減らし全体の処理を加速させる。
台湾周辺の脅威検知と早期警戒を強化
台湾の顧立雄(こ・りつゆう)国防部長は以前、軍としてAIを搭載した衛星画像認識システムの試作機を開発する計画を認めていた。
台湾のシンクタンク「台湾国際戦略学会」の専門家によると、このような画像分析の技術は、すでに先進国の軍隊や衛星観測を行う機関で使われているという。
台湾にとっての最大の課題は、この技術を実際の軍の情報活動に組み込み、現場での素早い意思決定に役立てることだ。
国防部によると、システムが完成すれば、中国軍の配備の変化を追うのにかかる時間と人手を減らせるという。
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