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冷戦時代のアメリカのスパイ衛星が軌道上で突然爆発。他の衛星に危険を及ぼす恐れ

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(著)

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Image credit: ESA
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 1988年、冷戦時代に打ち上げられたアメリカの極秘スパイ衛星が、2026年9月、地球低軌道上で突然バラバラに爆発した。

 明確な原因は特定されていないが、老朽化したバッテリーやタンクの破裂が疑われている。

 アメリカ宇宙軍は差し迫った脅威はないとしているものの、混雑する軌道に散らばった宇宙ゴミ(デブリ)は、将来的に他の人工衛星に衝突する恐れがあるという。

 数十年前、ソ連(現路地あ)のレーダーを傍受していた秘密の機体は、長い年月を経て現代の宇宙開発を脅かす厄介な存在へと変わってしまった。

アメリカの極秘スパイ衛星が軌道上で突然バラバラに

 2026年9月13日、地球から高度約775kmの地球低軌道上で、アメリカの古い人工衛星が突然バラバラに吹き飛んだ。

アメリカ宇宙軍は、「USA-32」という名の機体が爆発したことを確認した。

 USA-32は、冷戦時代の1988年9月5日に、アメリカの軍事情報機関である国家偵察局(NRO)がタイタンIIロケットで打ち上げた極秘のスパイ衛星だ。

 当時は機密プログラムとして扱われており、「FARRAH III(ファラ3)」というコードネームが付けられていた。 

 FARRAH IIIという名前は、1970年代のテレビドラマ『チャーリーズ・エンジェル』で人気を集めたアメリカの女優、ファラ・フォーセットにちなんで付けられたとされる。

 ファラ・フォーセットと軍事計画とのつながりは見当たらないが、NROはかつて、1970〜80年代の有名人の名前を衛星に付ける習慣があったという。

 NROは2026年になって情報開示を行い、当時機密事項だった衛星や宇宙船の記録を公開した。

 第二次世界大戦後から1991年まで続いた冷戦時代とは、アメリカを中心とする資本主義・自由主義陣営と、ソビエト連邦を中心とする共産主義・社会主義陣営による世界的な対立構造のことだ。

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スパイ衛星USA-32(コードネーム:FARRAH III)はタイタンIIロケットによって1988年9月5日に打ち上げられた。Image credit:NASA

ソ連のレーダーや無線信号を傍受

 機密解除された文書によると、この衛星の目的はソ連のレーダーの電波や無線信号を傍受し、そのデータを地上の部隊に送信することだった。

 初期のFARRAH衛星は比較的小さな箱型だったが、FARRAH IIIはずんぐりとした円筒形で、専門家の間では「ツナ缶」と呼ばれている。

 機体そのものをコマのように回転させる「スピン方式」を採用し、姿勢を安定させながら地上の電波を監視していた。

 FARRAH IIIの設計上の寿命は3年とされていたが、2004年の時点でもまだ稼働していた。

 この衛星がいつ任務を終えたのかは公にされていないが、打ち上げから30年以上が経過した2021年の時点でも、軌道上を回転しながら飛行している姿が確認されていた。

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右側がスパイ衛星FARRAH III Image credit:NRO

爆発の原因は?

 今回の爆発の原因はまだ特定されていないが、いくつか有力な可能性が考えられている。

 現代の宇宙開発では、任務を終えた人工衛星が将来爆発しないように、残った燃料やバッテリーのエネルギーをすべて放出する「無害化(パッシベーション)」という安全措置がとられている。

 NASAや日本のJAXAなどの宇宙機関は、軌道上の宇宙ゴミ(デブリ)を増やさないためにこの処理を義務付けている。

 1988年に打ち上げられたFARRAH IIIが、任務終了後にこの無害化処理を行っていたかどうかは定かではない。

 Spaceweather.comによると、衛星が日なたと地球の影を行き来するたびに起きる加熱と冷却を38年間繰り返した結果、内部に残っていた圧力タンクやバッテリーが破裂した可能性を指摘している。

 あるいは、すでに宇宙空間を漂っていた別のデブリや隕石が衝突した可能性もあるという。 アメリカが意図的に破壊した証拠は現在まで見つかっていない。

地球低軌道で新たな衝突リスクの懸念

 爆発によって生じた宇宙ゴミの数はまだわかっていないが、破片は衛星が回っていた軌道に沿って広い範囲に散らばっている。

 現在、地球の周囲は機能している人工衛星だけでもかなり混雑している。USA-32が爆発した高度の上下約50kmの範囲だけでも、稼働中の人工衛星が200機以上回っている。

 高度775kmで発生した宇宙ゴミは、大気圏に落下して燃え尽きるまでに何年も軌道上にとどまり、猛スピードで移動しながら他の衛星の経路を横切ることになる。

 米国宇宙軍は現在、追跡可能なすべての破片を監視し、稼働中の他の宇宙船に衝突する危険性がないかを日常的な接近リスクの評価に組み込んでいる。

 直近で差し迫った脅威はないと報告されているものの、衛星を追跡する専門家たちも破片のサイズや軌道を注意深く見守っている。

References: NRO / A Secret US Spy Satellite Launched In 1988 Has Unexpectedly Shattered Into Pieces, Posing Danger To Other Satellites In Low Earth Orbit | IFLScience

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