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宇宙の生命探しがはかどるかも!アミノ酸の「左右」を見分ける新技術(大阪大学)

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(著)

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アタカマ砂漠 Image by pixabay / rumpelstilzken
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 遠い宇宙のどこかに、生命は存在するのか?その答えを探るため、生命の体を作る「アミノ酸」を調べる画期的な技術が開発された。

 アミノ酸には右手と左手のように2つの形があるが、生命はなぜかほぼ一方の形だけを使う。

 もし宇宙の土からその偏りが見つかれば生命の手がかりになるという。

 大阪大学を中心とした国際研究チームは、極小の隙間を通る微弱な電流とAIを使い、この形を1分子ずつ見分けることに成功した。

 探査機に積めるほど小型化が可能なこの技術で、地球外の生命探しが大きく前進するかもしれない。

 この研究成果は『Nature Communications』誌(2026年10月5日付)に掲載された。

参考文献:

生命探査の鍵となるアミノ酸の「左右の形」

 太陽系やその先の宇宙で、生命の痕跡(バイオシグネチャー)を見つけ出すことは、科学者たちにとって大きな挑戦である。

 生きている生物と、生命活動が関わっていない無生物を見分けるための重要な手がかりとなるのが、タンパク質の材料であるアミノ酸だ。

 アミノ酸には、構成する成分は同じでも、右手と左手のように、鏡に映したようにそっくりなのに重ね合わせることのできない「L型」と「D型」という2つの形が存在する。

 地球上の生命は、体のタンパク質をつくるのに、ほぼ「L型」のアミノ酸だけを使っている。

 一方、生命が関与しない化学反応や物理現象では、L型とD型がほぼ同じ量だけ作られる。

 宇宙から採取したサンプルを調べてアミノ酸のどちらかの型に偏りがあれば、それは生命が存在する、あるいはかつて存在した可能性を示す有力な手がかりになる。

 アミノ酸の型の比率は、地球外生命体を探す上で理想的な目印なのだ。

極小の隙間と微弱な電流で1分子を見分ける

 これまでアミノ酸の型を調べるには、大量の分子をまとめて測定する大型の分析装置が必要だった。

 しかし、重量やサイズに厳しい制限がある宇宙探査機に、そのような巨大な装置を乗せることは現実的ではない。

 そこで大阪大学を中心とするNASAゴダード宇宙飛行センターなどの国際研究チームは、化学的な試薬を使わず、振動にも強い電気的な仕組みを使ってアミノ酸を調べる手法を開発した。

 研究チームが利用したのは、ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1m)という極小の世界を扱うナノテクノロジーだ。

 研究チームは、金で作られた2本のワイヤーの間に、約0.5ナノメートルというごくわずかな隙間(ナノギャップ)を設け、そこをアミノ酸の分子が1個ずつ通り抜けるようにした。

 分子がこの隙間を通過する瞬間、電子が分子を伝って隙間をすり抜けることで、「トンネル電流」と呼ばれる微弱な電流が発生する仕組みを作ったのだ。

AIの解析で80%以上の精度で型を識別

 L型のアミノ酸とD型のアミノ酸が隙間を通過するとき、それぞれに流れる電流の波形はわずかに異なる。

 波形の違いは、電流の強さや流れる時間を比べただけでは見分けられないほど小さい。

 研究チームはこの波形の違いに注目し、ナノテクノロジーに人工知能(AI)を組み合わせた。

 波形のデータをAIに学習させて解析させた結果、アミノ酸のL型とD型を80%以上の高い精度で識別することに成功した。

 研究を主導した大阪大学の大城敬人准教授によると、1つの分子という極小のレベルでアミノ酸の左右の形を見分けたのは、これが初めてのことだという。

 この成果は、化学センサーの分野において画期的な進歩だという。

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アミノ酸が金電極の極小の隙間(ナノギャップ)を通り抜けると、L型とD型でわずかに異なる電流の波形が生じる(a)。モニター右にあるのが測定装置(b)。cとdは、隙間をつくる金電極を顕微鏡で拡大した画像。Image credit:Takahito Ohshiro et al. / Nature Communications, CC BY 4.0

隕石や砂漠の土でも実証、探査機への搭載に期待

 実際の宇宙空間で採取されるサンプルには、数多くのアミノ酸やさまざまな分子が複雑に混ざり合っている。

 この新しい技術が実際の調査で使えるかどうかを確かめるため、チームは天然のサンプルを使ったテストを行った。

分析に使われたのは、アミノ酸などの有機物を豊富に含むオーストラリアの「マーチソン隕石」と、過酷な環境が火星に似ている南米チリの「アタカマ砂漠」の土壌である。

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研究チームが試料を採取した、チリ北部アントファガスタの北にあるアタカマ砂漠。極度に乾燥していて、火星によく似た環境だ。Image credit:Christopher E. Carr

 研究チームの谷口正輝教授によると、新しい手法は従来の分析装置と同じように、アミノ酸の構成の主な特徴を捉えることができたという。

 ただし、アミノ酸の種類によっては従来の分析と数値に差もあり、実用化にはさらなる精度の向上が必要だそうだ。

今回開発された電気式の検出技術は、大がかりな光学装置や、分子を見分けるための特別な試薬を必要としない。

 今後さらに研究が進めば、宇宙探査機に搭載できるほど小型で高性能な生命探査装置が誕生する可能性がある。

 地球外生命体の発見という人類の夢に、また一歩近づいたのだ。

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この記事へのコメント 2件

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  1. 先日ノーベル賞を受賞した硤合反応に関連していますかね。
    硤合さんの方は鏡像異性体の片方が多くなる仕組み、
    阪大とNASAの研究チームの方はそれらを効率的に識別する仕組み。

    >地球上の生命はタンパク質をつくるのにほぼ「L型」アミノ酸

    D型とL型は偏っていればどちらでも良かったと聞いたことがありますが、
    D型ばかりの生命体もどこかにいるのかな。
    地球型以外の生命体発見にも寄与しそうな研究で今後が楽しみですね。

    • +2
  2. この話の主題とは直接的な関係はないんだけど、もしD型のアミノ酸を主成分とする生物と地球の生物が出会ったら、お互い致命傷になるかもしれないのか
    地球人の抗体はD型細菌に対してまったく無力だろうし、逆もまた同じだろうから

    • +1

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