メインコンテンツにスキップ

Googleでカラパイアを「お気に入りサイト登録」

31万5千年前のホモ・サピエンスの顔を復元、脳の大きさは現代人並み、顔は幅広かった

記事の本文にスキップ

0件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Image credit:C. Moraes et al. 2026
Advertisement

  アフリカ北西部のモロッコで見つかった約31万5000年前の化石は、知られる中で最も古い、現生人類「ホモ・サピエンス」のものだ。

 ブラジルやイタリアなどの国際研究チームは、同じ地層から出た複数の化石を組み合わせた頭骨をもとに、無料のソフトだけを使って最古のホモ・サピエンスの顔をデジタルで復元した。

 復元した頭骨からは、脳の大きさが現代人並みだったことが確認された一方で、顔は今の私たちよりも幅が広く、頑丈なつくりだったことがわかった。

 この研究成果は『Heritage』誌(2026年9月13日付)に掲載された。

参考文献:

約31万5000年前。最古のホモ・サピエンスの化石

 1961年、アフリカ北西部のモロッコにあるジェベル・イルードの鉱山で、鉱物を掘っていた作業員が、下あごの欠けた人間によく似た頭骨を1つ見つけた。

 この頭蓋は当初、約4万年前のものと考えられていたが、年代を調べる方法が進歩するにつれて、もっと古いものであることがわかった。

 さらに化石にはネアンデルタール人と我々現生人類である、ホモ・サピエンスの両方の特徴があったため、どちらの人類に属するのかをめぐって研究者のあいだで議論が続いた。

 その後も発掘は続けられ、同じ場所から複数のヒトの化石や石器が見つかった。

 2017年、ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所などの研究チームは、科学誌『Nature』に発表した2本の論文(1.2)で、ジェベル・イルードで発掘されたすべてのヒトの化石をホモ・サピエンスのものと特定し、年代を約31万5000年前とした。

 当時は、ホモ・サピエンスが約20万年前に東アフリカで誕生したという説が広く知られていたが、ジェベル・イルードの化石は、我々の種の起源を10万年以上さかのぼらせ、誕生の地が東アフリカに限られない可能性を示した。

この画像を大きなサイズで見る
ジェベル・イルードの鉱山で新たに発見されたホモ・サピエンスの2つの化石。発掘時に発見されたままの状態で写っている。Image credit: Steffen Schatz, MPI EVA Leipzig, License: CC-BY-SA 2.0

無料ソフトで最古のホモサピエンスの顔を復元

 ブラジルの3D復顔の専門家シセロ・モラエス氏を筆頭に、オーストラリアのフリンダース大学、イタリアのパヴィア大学、ポーランドのウッチ大学などの研究者が加わった国際研究チームは、ジェベル・イルードの化石をもとに最古のホモ・サピエンスの顔をデジタルで復元した。

 ジェベル・イルードでは完全な形の頭骨が見つかっていないため、研究チームは同じ地層から出た5人分の化石を組み合わせた頭骨を使った。 

 研究チームは化石に触れることなく、マックス・プランク進化人類学研究所が2017年に公開した頭骨の3D画像をもとに作業を進めた。

この画像を大きなサイズで見る
ジェベル・イルードで見つかった複数の化石を、マイクロCTでスキャンして組み合わせた頭骨の3D復元画像 Image credit:Philipp Gunz, MPI EVA Leipzig, License: CC-BY-SA 2.0

 研究チームは映像をたくさんの静止画に切り分け、重なり合う写真をつなぎ合わせて立体を作る技術を使って、頭骨の3Dモデルを作った。

 次に、身元を伏せた現代人の頭部をCTスキャンしたデータを用意し、ジェベル・イルードの頭骨の形にぴったり合うよう、デジタル上で骨を変形させた。

 骨を変形させると骨の上の皮膚や筋肉も一緒に形を変えるため、化石の骨格に合った顔ができあがる。

 皮膚の厚さには、地理的にも進化の上でもジェベル・イルードの人々に近いアフリカ系の人々のデータを使った。

 研究チームは頭骨の長さなど4か所の寸法を、過去に発表された化石の計測データと比べ、ほぼ一致することを確かめている。

 作業に使ったソフトは、無料の3Dソフトのブレンダー(Blender)と、無料で使える専用の追加機能だけだ。

 研究チームは、犯罪捜査で身元を調べるために発展した復顔の技術が、無料のソフトだけで太古の人類の研究にも使えることを示そうとした。

 完成した顔は2種類あり、1つは骨格の情報だけで作った、髪もひげもないモノクロの顔だ。

この画像を大きなサイズで見る
Image credit:C. Moraes et al. 2026

 もう1つは、一般の人にもイメージしやすいよう肌の色や髪、ひげを加えたカラーの顔で、ひげをたくわえた男性の姿で描かれている。

 論文によると、頭骨の頑丈さは、ジェベル・イルードの化石に見られる男女差の中でも最も頑丈な側に近いという。

 ただし、肌の色や髪型は化石からわかったものではなく、研究チームが人類学の知見を参考に想定したものだと論文に明記されている。

この画像を大きなサイズで見る
Image credit:C. Moraes et al. 2026

脳の大きさは現代の成人男性とほぼ同じだった

 研究チームは復元した頭骨をもとに、脳が収まる頭の内側の空間の容積を計算した。

 計算で得られた容積は1364mlで、過去の研究で化石や化石のCTデータから求められた1305〜1480mlという値とほぼ一致した。

 2018年に化石のCTデータから測定した1375mlにも近く、今回の復元の正確さの裏付けにもなった。

 研究チームが頭の内側の容積を脳そのものの体積に換算すると約1230立方cmとなり、現代の成人男性の平均である約1234立方cmとほとんど変わらなかった。

 31万5000年前の人類が、すでに今の私たちと同じくらいの大きさの脳を持っていたことが、あらためて確かめられたのだ。

 ただし脳の形は現代人と異なり、現代人のように丸みを帯びた頭の形になったのはもっと後の時代だと、これまでの研究でわかっている。

この画像を大きなサイズで見る
Image credit:C. Moraes et al. 2026

顔は現代人より幅広く、頑丈なつくりだった

 脳の大きさは現代人並みだった一方で、顔の骨格は今の私たちとはっきり違っていた。

 両目のくぼみの外側のふち同士の幅は約118mmで、現代人の平均96.6mmより約2cm広かった。

 研究チームによると、現代人の個人差の範囲ではまず見られないほどの差だという。

 下あごの左右の幅も約106mmあり、現代人の平均96.9mmより約1cm広かった。

 眉の上の骨も大きく張り出しており、顔全体が頑丈なつくりをしていた。

 31万5000年前の人類の皮膚や筋肉の厚さを示すデータは存在しないため、研究チームは現代人のデータで補うしかなく、今回の顔をありえる姿の推定として位置づけている。

 骨格が現代人と違う以上、筋肉や皮膚のつき方も現代人とは違っていた可能性があると、研究チームは説明している。

 31万5000年前の人類は、現代人並みの大きさの脳を持ちながら、顔にはより古い時代の頑丈な特徴を残していた。

 人類の脳と顔は、それぞれ別の時間をかけて今の私たちの姿へと変わってきたのだ。

References: DOI.10.3390/heritage9090369

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。