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自然が振付師。ドイツ・フランクフルトの上空に掲げられた「希望に満ちた空」

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(著) (編集)

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Installation “A Sky Full of Hope” by Janet Echelman. Konstablerwache, August 2026/image credit:IBits, viaCC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
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 まるでオーロラのよう。ドイツ・フランクフルトの広場の空に幻想的な巨大アートが現れた。このネット(網)状のインスタレーションは、風や光によって見え方が変わる。

 2026年8月から展示中の「A Sky Full of Hope(希望に満ちた空) – Earthtime 1.78 Frankfurt」は、米彫刻家のエシェルマン氏が手がける「Earthtime(アースタイム)」シリーズの新作だ。今後3年にわたり、広場を飾ることになる。

 この作品には、航空宇宙分野の素材が使われており、決まった形はなく、自然が仕上げを担うという。

 初日から集まった3000人以上が、空を見上げる大賑わいに。SNSでは刻々と表情を変える柔らかアートの眺めが次々シェアされている。

参考文献:

閑散とした広場に新たな”動き”を

 ドイツ中西部の都市、フランクフルト・アム・マインの中心部にコンスタブラーヴァッヘ(Konstablerwache)という広場がある。

 平日は通勤客が行き交い、週2回市場が開設されるその場所に、アメリカの彫刻家ジャネット・エシェルマン(Janet Echelman/@janetechelman)氏によるユニークな作品が設置された。

 2026年8月11日の除幕式には、夜にもかかわらず3000人以上が集まり、式典には、フランクフルト市長マイク・ヨーゼフ氏、文化局長インア・ハートヴィヒ博士が出席した。

 エシェルマン氏本人もあいさつに立ち、光と音の演出も行われた。

 この広場を選んだ理由について、エシェルマン氏は”ギャップ”と語る。実はここは時間や日によって人の流れに大きな差があり、住民の間では「(市場がないときなどは)閑散としてる」「治安が心配」という声があがっていた。

 そのギャップを知ったエシェルマン氏は、この広場に光や色、柔らかく流動的な動きが必要だと感じるようになった。

高さ7m、103kmの糸から成る巨大なネット

 広場の上空7m以上を覆う「A Sky Full of Hope – Earthtime 1.78 Frankfurt」は、流動的で一風変わったネット状の作品だ。

 面積は200平方m以上。その広さは、写真だけではわかりにくく、実際に広場で見上げてはじめて実感できるという。

 材料は、航空宇宙分野で使われる高強度ポリマー繊維で、最大4.5mまで垂れ下がる色付きのネットを、別のネットが支える形で展示されている。

 ネット自体は、昔ながらの漁網の結び方で作られており、使った糸の長さは全体でおよそ103kmにもなる。 

 なお、制作にあたっては、航空および構造専門家、造園家や照明デザイナーといった専門チームも参加したとのこと。

最終形を決めるのは自然の風と光

 柔らかいネットの形は風が吹くたび形が変わる。日光や照明によっても表情が変わり、落ちる影も変わってくる。

 エシェルマン氏は、一つとして同じ様相はないこの作品を、手を離れた途端に独り立ちしするようなものだと語る。

 一連の工程では、このように手放す姿勢こそが欠かせないという。最後の仕上げをしてくれるのは風や光。同氏にとってこの作品は、いわば自然との共同制作。あるがままに託してこそ完成するものなのだろう。

日本の地震とフランクフルトの多様性。178の数字が符号に

 今回の作品は、エシェルマン氏が手がける「Earthtime」シリーズの一つだ。このシリーズは、地球のどこかの出来事が世界全体におよぶ様子を可視化するというもの。

 タイトルの数字「178」は、エシェルマン氏にとって2つの意味を持つ。

 1.78は、2011年3月に日本で起きた東北地方太平洋沖地震が、地球の自転をわずかに速め、1日を1.78マイクロ秒短くした、というNASAの計算結果に由来する。

 2つめは、フランクフルトに暮らす人々のルーツの多様性だ。フランクフルトの人々は合わせて178カ国ものルーツを持つ。

 街の調査でこれを知ったエシェルマン氏は、この数字の符合を、遠くの場所で起きた巨大地震と、目の前の街に生きる人々をつなぐヒントとして作品に取り込んだ。

展示期間3年。無料で自由に鑑賞

 「A Sky Full of Hope – Earthtime 1.78 Frankfurt」は、「2026年世界デザイン首都フランクフルト・ライン・マイン」のテーマ「Design for Democracy(民主主義のためのデザイン)」の一環でもある。

 といっても、難解な専門知識は不要。実際に見るのも気楽で、入場料も無料。事前登録などもない。広場の道は車いすでも通れるようになっていて、誰もが気ままに立ち寄って自由に鑑賞できる。

 日ごろうつむいてスマホばかり見がちな人も、久々に空を見上げる機会にもなる。そうすることで今まで見過ごしてきた新たな気づきが生まれるかもだし、リフレッシュにもなりそうだ。

 この作品は構造上、ネットの結び目が一つ動けば、全体がその動きに応じる。一見細くて頼りない糸もつながることで強くなる。その動きは手を取り合う人の姿を思わせる。

 結びつきから成るこの作品は、たくさんの国をルーツにする街の人へのメッセージでもあるのだろう。

 展示は3年間で、冬の間だけ外すとのこと。規模といい、現地で見ればオーロラのように神秘的な美しさに浸れそう。ドイツに赴く人はリストに入れてはいかがだろうか。

References: ‘nature becomes the choreographer’: janet echelman on a sky full of hope in frankfurt

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