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TikTok動画がヒントに!井戸から目が退化したミミズのような新種の魚を発見

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(著)

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Image credit: Ishan Agarwal (CC BY)
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 世界中から毎日大量の動画が投稿されるTikTokだが、思いもよらない発見につながることもある。

 2024年、インドとネパールの国境付近で、井戸から奇妙な細長い小さな魚が出てくる動画が撮影された。

 映像を見た国際研究チームは現地を訪れ、手押しポンプで地下水を何千リットルも汲み上げる調査を実施した。

 採取した魚を詳しく調べた結果、地下水の中で一生を過ごし、目や体の色素が著しく退化したタウナギ目の新属新種であることが判明した。

 この研究成果は、学術誌『ZooKeys』に2026年8月11日付で掲載された。

参考文献:

TikTok動画に投稿された井戸から出てきた謎の魚

 2024年、ネパールと国境を接しているインド北部のビハール州で撮影された短い動画がTikTokに投稿された。

 その映像には、地下水を汲み上げる井戸から奇妙な小さな魚が映し出されていた。

 この井戸は、機械で地面に細長い穴を掘り、地下の帯水層から水を汲み上げる「掘り抜き井戸」で、地上には手押しポンプが取り付けられていた。

 動画を見たインドのタッカレー野生生物財団などの国際研究チームは、魚の体の色素がほとんどなく、目も著しく退化している姿に注目した。

 光の届かない地下水の中で一生を過ごす魚は、ガンジス川流域ではこれまで1種も確認されていなかった。

 研究チームは、動画の魚が未知の種である可能性が高いと考え、標本の採取に乗り出した。

井戸から大量に水をくみ上げ魚を発見

 研究チームは2024年から2025年にかけて、ガンジス川が流れるビハール州に出向いて現地調査と魚の採取を試みた。

 魚が暮らしているとみられるのは、地下水を多く含んだ砂や砂利などからなる「帯水層」だ。

 川や池と違って網を入れることができないため、井戸から水を汲み上げ、その中に魚が混じっていないかを確認するしかない。

 研究チームは井戸を探し、所有者から水を汲み上げる許可を得たうえで、15本を超える井戸を調べた。

 手押しポンプを人力で動かし、何千リットルもの地下水を汲み上げる根気のいる作業だった。

ついに魚を採取、新属新種であることを確認

 ひとつの井戸から約2,000リットルの水を汲み上げたところで、ついに最初の1匹が現れた。

 ところが、この魚はポンプを通過した際に傷つき、すぐに死んでしまった。

 研究チームが同じ井戸からさらに約500リットルの水を汲み上げると、今度は傷のない生きた個体を採取することに成功した。魚の体長はわずか4cmほどだ。

 別の井戸から採取された損傷個体を含め、この調査で得られた標本は合計3匹だった。

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Image credit:Akshay Khandekar et al.

 マイクロCTスキャンと遺伝子解析を行った結果、採取された生物はカウドゥリア科(Chaudhuriidae)に属する、まったく新しい属と種であることが確認された。

 カウドゥリア科は、日本の田んぼや用水路にいるタウナギと同じタウナギ目に含まれる魚のグループで、いずれも全長10cmに満たない。

 ミミズのように小さく細長い体を持つことから、英語では「ミミズウナギ(earthworm eel)」と呼ばれている。川や沼、池、湖などに生息し、水草や泥、落ち葉などの間で暮らしている。

 今回見つかった魚は、光がまったく届かない地下の岩や堆積物の隙間で暮らしている。目は非常に小さく退化して皮膚に覆われ、体の色素も失われていた。

 生きた状態では体が白っぽい半透明で、えらと肛門の周辺に、血管の通ったピンク色の部分がわずかに見える。

 マイクロCTスキャンでは肋骨も確認されなかった。

 ただし、骨化の弱い組織や軟骨を検出できなかった可能性もあるため、論文では肋骨が「見かけ上、存在しない」と記述されている。

 今回の発見以前、カウドゥリア科には7属11種が知られていたが、この魚は、既知の7属のどれにも当てはまらない特徴を持っており、新属新種であることが確認された。

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Image credit: Akshay Khandekar et al.

ガンジス川とインド・ネパールにちなんだ学名

 新属新種の魚には、「Gangaichthys indonepalicus(ガンガイクティス・インドネパリクス)」という学名が付けられた。

 属名の「Gangaichthys(ガンガイクティス)」は、ガンジス川を表すサンスクリット語の「Ganga」と、魚を意味するギリシャ語の「ichthys」を組み合わせたもので、「ガンジス川の魚」を意味する。

 種小名の「indonepalicus(インドネパリクス)」は、インドとネパールの国境周辺に分布していることに由来する。

 実物の標本はインド側で採取されたが、ネパール側でも写真によるインドネパリクスの記録が確認されている。 

 最初に研究者の目に留まったTikTok動画だが、論文やプレスリリースにはURLの記載がない。

 おそらくはむやみに採取され絶滅してしまう危険性を考慮してのことだろう。

 インドやネパールには豊かな生物多様性がある一方、地下水脈のように調査が難しい環境には、まだ知られていない生物が数多く残されている可能性がある。

 何気なく投稿されたTikTok動画は、これまでほとんど調べられてこなかった地下水の生態系に、未知の魚が生息していることを明らかにした。

 誰かが何気なく投稿した生物の動画の中には、まだまだ記載されていない新種が含まれている可能性がありそうだね。

References: DOI.10.3897/zookeys.1289.188089

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