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変な生き物がいっぱい!ブラジル沖の深海で31種の新種を発見

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(著)

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新種の可能性が高いクダクラゲの一種 Image credit:ROV SuBastian/Schmidt Ocean Institute
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 地球の海の80%以上は、まだ人類が足を踏み入れたことのない未探索の世界であり、我々の知っている海洋生物は10%ほどだと言われている。

 米シュミット海洋研究所の調査船に乗り込んだ国際研究チームは、ブラジル沖の南大西洋の深海で、わずか2週間で新種31種を発見した。

 黄金色の毛をなびかせながら暗闇をくねる透明なワーム、クラゲを丸ごと食べる巨大ダコ、たった1つの細胞なのに肉眼で見えるほど巨大な生き物まで、そのラインナップはまるでSFの世界から飛び出してきたようだ。

参考文献:

未知の深海に広がる巨大な生態系

 モントレー湾水族館研究所(MBARI)、スタンフォード大学、日本からは東北大学などの国際研究チームが、シュミット海洋研究所の調査船ファルコル(too)に乗り込み、ブラジル沖の中層水へと調査に向かった。

  深海は水深200mより深い海域のことで、中層水は水深200〜1000m程度の薄暗い層にあたる。

 中層水は地球最大の生息環境であると言われながら、太陽光がほとんど届かず、あまりにも広大で潜水艇でしか行けないため、ここに何が暮らしているのかはほとんどわかっていない。

 深海生物のほとんどは高水圧の環境に適応して体がゼラチン状に柔らかく進化している。

 そのため、網で捕まえて瓶に漬ける従来の方法では生物の特徴を正確に記録できず、新種の確認から記載まで数十年かかることも珍しくなかった。

 そこで研究チームは、生物を海から引き上げることなく調べる最新技術を利用した。

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中層水の生物を海から引き揚げることなく調査 Image credit:ROV SuBastian / Schmidt Ocean Institute ( CC BY-NC-SA )

レーザーで生きたまま体の内部を3Dスキャン

 研究チームは遠隔操作型潜水艇ROVサバスチャンにMBARIが開発したDeepPIVとEyeRIS、JAMSTECのシャドウグラフカメラの3種類を搭載し、生物を海から引き上げることなく調べた。

 DeepPIVは赤いレーザー光のシートを照射して透明な生物の体内構造を立体的にスキャンし、EyeRISは透明・不透明を問わず生物の外側の形態を3D撮影する。

 JAMSTECのシャドウグラフカメラはレーザーでは捉えにくい細部を高コントラストのシルエット映像として記録した。

 さらにスタンフォード大学開発の共焦点顕微鏡Squidで生きた単細胞生物の細胞内部を3Dで撮影することに成功した。

 船上でこれを実現したのは世界初の快挙で、遺伝子解析と組み合わせることで従来数十年かかっていた新種の確認をわずか数日で完了させた。

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DeepPIVによるオヨギゴカイのレーザースキャン。赤いレーザー光のシートを照射し、体内構造を立体的に記録する Image credit:ROV SuBastian / Schmidt Ocean Institute ( CC BY-NC-SA )

発見された深海の住人たち

  2025年4月15日から30日の2週間の探査で、既知種に加え新種が31種発見された。その内訳は以下の通りだ。

・クラゲ(Jellyfish) 9種

・クダクラゲ目(Siphonophora) 7種

・クシクラゲ(Ctenophora) 7種

・オタマボヤ(Larvacean) 4種

・巨大ライザリア(Rhizaria) 2種

・オヨギゴカイ(Tomopteris) 1種

・端脚目(Amphipoda) 1種

 では発見された生物のうち、特にユニークなものを紹介しよう。

クダクラゲの新種

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Image credit:ROV SuBastian/Schmidt Ocean Institute

 水深552m地点で発見された、ヒドロ虫綱に属するクダクラゲの新種。青白く透明な体黄金色の触手なようなものをたらし、暗い海の中でらせんを描くようにくねりながら泳ぐ。

 顎を持たず、何を食べるのかは不明なままだ。

 水面直下から水深4,000m以上まで生涯を海中で過ごし、体内に黄色い発光器を持つが、なぜ発光するのかはいまだ解明されていない。

 体の形から予測されるよりはるかに速いスピードで泳ぐことも今回の調査で確認された。

オヨギゴカイの新種

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Image credit:ROV SuBastian/Schmidt Ocean Institute

 環形動物門多毛綱、オヨギゴカイ(Tomopteris属)の新種。

 オヨギゴカイの仲間は、水面直下から水深4000mにまで生息している。敵に襲われると副脚から生物発光物質を放出して撹乱するが、深海の生物発光はほとんどが青緑色のため、なぜ黄色なのかはいまだ解明されていない。

 体の形から予測されるよりはるかに速いスピードで泳ぐことも今回の調査で確認された。

クラゲの仲間、ソルミッサス

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Image credit:ROV SuBastian/Schmidt Ocean Institute

 ソルミッサス(Solmissus)はクラゲの仲間で、円形の平たい体から「ディナープレートクラゲ」とも呼ばれる捕食者だ。

 水深約1,200m地点で発見された。

 多くのクラゲが触手を後ろに引きずりながら受動的に漂うのに対し、ソルミッサスは触手を体の前方に広げて能動的に泳ぎ、クシクラゲを丸ごと捕食する。

ガラスイカの仲間

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Image credit:ROV SuBastian/Schmidt Ocean Institute

 ガラスイカは体全体が透明で、光を透過することで深海での捕食を逃れる頭足類だ。今回は水深779mで幼体が採集された。

端脚目の新種

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Image credit:ROV SuBastian/Schmidt Ocean Institute

 端脚目はエビやカニに近い甲殻類の一群で、今回1種の新種が確認された。

 Squid顕微鏡を使って複眼を3D撮影したところ、ハニカム状に整然と並んだ個眼の精巧な構造が初めて鮮明に映し出された。

赤いクラゲを捕食するカンテンダコ

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Image credit:ROV SuBastian/Schmidt Ocean Institute

 こちらは既知種ながら詳しい生態は謎に包まれている、外洋を泳ぎ回るカンデンダコ(Haliphron atlanticus)だ。

 全長最大4m、体重最大75kgにもなる大型のタコだ。

 網に引っかかった標本からのみ知られていたため、生きた姿の撮影記録はほとんどない。

 今回、水深800mの暗闇の中で赤いクラゲを丸ごと食べている場面が初めてカメラに捉えられた。

 研究チームを率いたカレン・オズボーン博士は、地球最大の生息環境である中層水は、私たちがようやく理解しはじめたばかりの驚くべき生き物たちで満ちていると語る。

 シュミット海洋研究所のジョティカ・ヴィルマニ博士は今回使われた技術の組み合わせが海洋生物科学の未来を垣間見せるものだと述べた。

 深海の生き物を傷つけることなく、体の内側までリアルタイムで観察できる技術が、従来数十年かかっていた新種発見のスピードを塗り替えていく。

 地球最大の生態系の探索は、まだ始まったばかりだ。

References: Schmidt Ocean Institute Visual Assets

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この記事へのコメント 4件

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  1. すっごい!未知と不思議の大冒険!!
    こんなに不思議なのにDNAという共通言語を持つ地球の仲間なの胸が熱くなっちゃうね

    • +4
  2. 生物の不思議さと同じくらいスキャンの新技術にもワクワクする話だな。
    透明な対象限定とは言え動いている生物をスキャンする映像を見ると
    CTやMRIを発展させてSF映画みたいに人間を一瞬でスキャンして隠れてる武器や病院を発見する未来を期待してしまう。

    • +1
  3. 新種のクダクラゲ、中途半端に落ちる打ち上げ花火っぽく見える。
    実に面白い外見だ。

    • +2
  4. レーザースキャンがSFの世界みたいでカッコイイな

    • +1

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