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1200年前のマヤの遺跡からアメリカ大陸最古の科学者の名前を発見

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(著)

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Image credit:Rossi et al., Antiquity, 2026
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 今から約1200年前、空を見上げ、マヤ文明の時代に金星や火星の動きを数式に書き残した人物の名前が判明した。

 アメリカの研究チームがグアテマラのマヤ遺跡に残る壁画を解読したところ、天文学の数式の末尾に「白い胸のキツネ(Sak Tahn Waax)」という署名が残されていたのだ。

 この人物は、南北アメリカ大陸で名前が判明した史上最古の科学者となった。

 この研究成果は『Antiquity』誌(2026年7月14日付)に掲載された。

参考文献:

壁画から見つかった署名入りの数式

 中米グアテマラ北東部のジャングルに、シュルトゥンと呼ばれるマヤ文明の遺跡がある。

 2010年、考古学者たちがこの遺跡で「Structure 10K-2」という小さな遺構(建物)を発掘したところ、四方の壁全てに人物像や文字が描かれた壁画室があった。

 東側の壁と北東の角の壁には、数字や日付、数式が約52点も集中して残されていた。

 その多くは塗料で描かれ、一部は壁の表面を刻んだもので、天体の動きを追い、暦と照らし合わせた古代マヤの科学者たちが残した計算の跡だった。

 テキサス大学オースティン校の研究チームは、その中の一つ「Text 19」をテキサス大学オースティン校を解読した。

 マヤ文字は、絵や記号を組み合わせた象形文字で、一つ一つが四角い絵文字のような形をしている。数字は点で1、横棒で5を表す。

 すると、天文学の数式の末尾に「白い胸のキツネ(Sak Tahn Waax)」という個人名が署名として記されていたことがわかった。

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数式や「白い胸のキツネ」の名が残されていた壁 Image credit:Rossi et al., Antiquity, 2026

名前が判明したアメリカ大陸最古の科学者

 マヤ文明はとても長く続いた文明で、時代がいくつかに区分されている。

  「白い胸のキツネ」が生きた西暦781年ごろは、マヤ古典期のなかでも8世紀にあたり、マヤ文化が最も発展した絶頂期だった。

 天体観測にもとづく暦の計算や文字の記録が発達し、樹皮を使った書物もこの時代に作られた。

 これまでマヤの遺跡で名前が判明していたのは、王や王妃など政治的な立場の人物ばかりで、数学や天文学の研究者に個人の名前が結びついた例は、一つも見つかっていなかった。

 研究に携わったデイビッド・スチュアート氏は、「白い胸のキツネ」がコロンブス到来以前のアメリカ大陸で名前の判明した最初の科学者だと説明している。

 研究チームによると、この名前は王や王族につけられる仰々しい名前とは違い、当時のマヤの専門職の人々がどう名づけられていたかを示す珍しい例だという。

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白い胸のキツネ」の名前 Image credit:Rossi et al., Antiquity, 2026

金星と火星の動きを一つにまとめた数式

 「白い胸のキツネ」が残した数式は、全体で2920日を数えるものだった。

 2920日は、金星が地球から見て同じ位置に戻るまでの約584日を5回分重ねた日数と、太陽の1年である365日を8回分重ねた日数が、ちょうど一致する周期にあたる。

 数式はこの2920日の中に、20日・260日・360日・365日・金星の584日・火星の780日という6つの時間の周期を組み込んでいた。

 金星と火星という二つの惑星の動きを一つの数式にまとめる並べ方は、これまでのマヤの文字資料には見られない独自のものだった。

 研究チームは、この数式が書かれた最初の日付を西暦781年11月ごろと推定している。

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Text 19を解読する過程を示した画像。a)特殊な撮影で壁の色を強調したもの、b)数式の上半分、c)数式の下半分、d)全体を合成し、縦の列(A〜C)と横の行(1〜9)の番号をつけたもの、e)読み取れた文字をもとに描き起こした復元図。かすれて見えにくい壁画の文字を、複数の方法で撮影・合成して少しずつ読み解いていった。Image credit:Rossi et al., Antiquity, 2026

壁画室は研究室であり工房であり学びの場

 研究チームはかすれて読み取りにくい壁画の文字を、赤外線での撮影や、色を強調する画像処理ソフトを使って一つずつ解読していった。

 壁画室からは、樹皮から紙を作るための道具も見つかっている。

 壁画室は、天文学者や数学者が暦を計算する研究室であり、樹皮の紙で本を作る工房であり、若手に学問を教える場所でもあったと考えられている。

 壁画室には、白い胸のキツネが何度も計算をやり直しながら数式を作り上げていった過程が残されていた。

 インドやイラク、中国やギリシャでも、同じ時代に太陽や惑星の周期を計算し、日食を予測した科学者たちがいて、名前とともに業績が語り継がれてきた。

 研究チームは、世界の偉大な科学者たちの一人に、白い胸のキツネを新たに加えることができるとしている。

References: doi.org/10.15184/aqy.2026.10378

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この記事へのコメント 14件

コメントを書く

  1. つまりアメリカ大陸最古の科学者はキツネだった・・・?

    • +7
    1. なんかキツネにつままれるような話だな・・・

      • +11
  2. ーー研究チームは、世界の偉大な科学者の一人に、白い胸の狐を加える事が出来るとしている。

    物は言いよう。

    もし仮にこの、

    「白い胸の狐」と名乗っていた者の末裔達が、そのけったいな名前をデフォルトで名付けるようなマヤ時代の社会を大方保って現代迄存続し、
    ーーつまり、史実の様にカトリック(及び、それを伝え、定着させる言語、組織であるスペインのそれ)に蹂躙される事も無しに有って、
    かつ、それが欧米の経済的、軍事的進出に対抗出来る程の一大勢力であったとしたなら、こんなコメントは決して出ては来ない。

    これは言語、宗教、社会組織の如何なる面でも南北アメリカ大陸の様に欧米に蹂躙されなかった結果、

    「配信される魔術でオクタン比はいじれる」

    などという社会の儘で存続しているロシアへの欧米の振る舞いの歴史を見れば言わずもがな。

    • -32
    1. >けったいな名前

      他言語に逐語訳するから、けったいな響きに聞こえるだけじゃないの?
      「千鶴」とか「若虎」なんかでも、
      「1000年を生きるとされる首長鳥」や「成獣になりたてのタイガー」と言われたら
      「何じゃそりゃ? 名前か?」となると思う。

      • +9
  3. 最初に謝っておく
    日本には赤いきつねがある

    • +10
    1. ムックと一緒で、たまには緑のほうも思い出してあげてください・・・

      • +9
  4. こういうポップな文字を書いてる時点で古いアメリカ大陸のイラストレーターやんw

    • +2
  5. 「狐白裘」と通じるものがあるな>白い胸の狐

    • +1
  6. マヤ文明って古くないんだな。
    日本では飛鳥時代の古墳に天文図描いてた。

    • 評価
  7. そこに「林マヤ」の名が刻まれている謎。

    • 評価

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