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失われた世界最古の星空の地図を発見、中世の写本の中に隠されていた

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(著) (編集)

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 紀元前2世紀に活躍した古代ギリシャの天文学者、「ヒッパルコス」が作成し、2000年もの間、探し求められてきた世界最古の星空の地図『ヒッパルコス星表(Hipparchus’ Star Catalog)』が、ついに発見されたそうだ。

 天体の正確な位置を固定した座標で記録するという人類初の試みだったが、多くの古文書と同様、いつの間に失われてしまい、その後に記された文献の記述によって、その存在が知られるのみだった。

 実在を疑う声もある伝説上の星図だったが、このほど再利用された羊皮紙に書かれた中世キリスト教の古い書物の下から、奇跡的にもその写しが発見されたのだ。

中世の写本に隠されていた世界最古の星空の地図

 その中世キリスト教の書物とは、『クリマチ・レスクリプトゥス写本(Codex Climaci Rescriptus)』のことだ。

 10~11世紀にアラム語の方言で記された写本で、エジプト、シナイ半島にあるギリシャ正教会の聖カタリナ修道院で発見された(現在、ワシントンの聖書博物館が所蔵)。

 当時、羊皮紙は高価だったことから、書かれた文字等を消し、別の内容を上書きして再利用されることがあった。こうした写本を「パリンプセスト」というが、クリマチ・レスクリプトゥス写本もこれだった。

 2012年、ケンブリッジ大学のピーター・ウィリアムズ博士らが、この写本を調べていたところ、紀元前3~前2世紀の天文学者「エラトステネス」のものとされるギリシャ語の一節が発見された。

 だがさらに数年後、この写本の本当の価値が明らかになる。

 2020年、マルチスペクトル画像法(複数の波長帯の電磁波を記録した画像法)によって撮影された写真の中に、古代の星の座標らしきものが発見されたのだ。

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image credit:/ image credit:Museum of the Bible/Keith T. Knox/Emanuel Zingg

元々書かれていたのは、「ヒッパルコス星表」の写しであることが判明

 その後の調査で、そこに記されているものが『ヒッパルコス星表』の写しであることが確認されている。

 惑星が自転するとき、その軸がわずかに揺れる(「歳差運動」といい、約2万6000年の周期がある)ため、星の見え方は75年ごとに約1度ずつズレる。

 つまりたとえ星の位置が大昔のものであっても、現代の星空から逆算すれば、観測された時代を特定できるということだ。

 そして今回発見された座標の写しは、ヒッパルコスが生きた紀元前129年ごろの星空と一致することがわかったそうだ。歳差運動を発見したのがヒッパルコス自身であることも、何か運命めいたものを感じさせる発見だ。

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ヒッパルコス星表は上書きされていた / image credit:Museum of the Bible/Keith T. Knox/Emanuel Zingg

 さらに『アラトゥス・ラティヌス(Aratus Latinus)』という別の写本には、ヒッパルコス星表からの直接抜粋した内容が記されていることも突き止められている。

 研究グループによると、これらの星表に添えられた文章は、古代ギリシャの詩人アラトスが書いた教訓詩『ファイノメナ』の注釈として書き写されたものだという。

 この注釈を記した人物は、ヒッパルコスの時代に記された原文を手に入れていた可能性があるとのことだ。

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古代ギリシャの詩人アラトス(左)と教訓詩ファイノメナ(右) / image credit:public domain/wikimedia

まだまだ隠された記録が存在するかも

 この発見以前、世界最古の星図は2世紀に書かれたクラウディウス・プトレマイオスが書いた天文学の専門書『アルマゲスト』とされてきた。

 ヒッパルコス星表は、それよりも300年古いが、プトレマイオスより正確だったらしいことがうかがえるという。

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プトレマイオスの書いたアルマゲスト / image credit:public domain/wikimedia

 ヒッパルコス星表は、800以上の星々の位置が「横径と黄緯」で記録されており、こうした座標を用いていないそれ以前の星図とは一線を画す。

 長い間失われており、実在を疑う説もあったが、今回それが実在したことが証明され、おそらくは後の天文学にも影響与えただろうと推測されている。

 だがウィリアムズ博士らの研究は始まったばかりだ。ヨーロッパ各地の図書館には、まだまだ無数の再利用された羊皮紙が残されている。

 そうした古代の羊皮紙やパピルスの中には、ヒッパルコス自身が記したオリジナルが残されている可能性もあるとのことだ。

 この研究は『Journal for the History of Astronomy』(2022年10月18日付)に掲載された。

References:Oldest Known Map Of The Stars Found Hidden Inside A Medieval Manuscript / A Fabled Map of the Cosmos Lost for Thousands of Years Has Been Found / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 10件

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  1. 世界最古の星空の地図はBC3000年のピラミッドじゃねーのか?

    • -6
    1. >>1
      地図は「平面に描いた図」なので
      星空を表現したものならおっしゃる通りもっと古いものがありそうですね

      • +1
  2. 天文学は暦を作るのに必要
    暦は農業や治世に有効で社会のルールの基本要素の一つ
    天文学の発展には物理学が必要、物理学の発展には数学が必要

    天体観測から始まった学問は多いと思う

    • +6
  3. 国土が焼け野原になってないと発見がありそうでいいねぇ

    • 評価
    1. ※5
      俺たちみたいな凡人には、座標で描かれている物が見つかるより絵で描かれた方が直感的でわかりやすいよね…
      そも古代の文字で書かれていても読めないし、凄いだろうという事はわかるけどさっぱりですわ

      • +1
  4. シャンポリオンもそうだけど、どうやって古代文字を解読したのか?想像すらつかなくて、すごヨ!

    • +1
  5. すっご。発見者やその意味がわかるひとが見た時の興奮が想像できるわ。

    • +2

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