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骨格標本を傷つけず短期間できれいにするお掃除役、「スーパーワーム」を発見

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Image credit:Rastekar et al., 2026, PLOS One, CC-BY 4.0
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 博物館で脊椎動物の骨格標本をつくるのに必要なのが、骨だけを残し肉を完全に除去する作業だ。

 これまで、埋葬、酵素消化、化学処理、カツオブシムシなど、様々な手法で行われてきたが、新たに最適なお掃除役が見つかった。

 ペットの爬虫類や鳥などの餌としておなじみのゴミムシダマシ科の幼虫「スーパーワーム」は、数時間から数日で肉だけを食べ、傷つけずきれいな骨格に仕上げてくれることを、イランのフェルドウスィー・マシュハド大学の研究チームが発見した。

 この研究成果は『PLOS One』誌(2026年7月1日付)に掲載された。

参考文献:

骨格標本づくりに最適なお掃除役を発見

 今回、骨格標本のお掃除役として期待が持たれているのは、ミールワームに似た、ゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫(Zophobas morio)で、スーパーワームと呼ばれている。

 成長すると体長は50〜60mmほどになり、同じゴミムシダマシ科のミールワームをひとまわり大きくしたような姿で、体の末端が黒っぽい色をしている。

 ペットの爬虫類や鳥の餌としても良く知られている。

 本来は植物を中心に食べる雑食性だが、しばらく餌を与えずにおくと動物の肉もよく食べるようになる、

 体が大きくあごの力も強いので、骨についた肉をしっかり取り除くことができる。

 イランのフェルドウスィー・マシュハド大学の研究チームは、スーパーワームが動物の骨格標本から肉を効率よく取り除き、きれいな骨格に仕上げられることを実験で証明した。

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スーパーワームできれいにした骨格標本 上段:左からミヤマガラス、アリゲーターガー、ワシミミズク。下段:左からオオカミ、ヤマネコ Image credit:Rastekar et al., 2026, PLOS One, CC-BY 4.0

従来の骨格標本の清掃方法の問題点

 肉をきれいに取り除いた動物の骨格標本は、科学研究や教育にとって貴重な資料となる。

 骨に付いた肉を取り除く方法は、これまで、土に埋めて微生物に分解させる方法、酵素で肉を溶かす方法、化学薬品で処理する方法、カツオブシムシという甲虫に肉を食べさせる方法などが使われてきた。

 カツオブシムシは死骸や乾物を食べる虫で、ロンドン自然史博物館をはじめ世界の主要な博物館で骨格標本づくりに用いられている。

 だが従来の方法には、壊れやすい骨が傷ついてしまったり、化学薬品などの危険な物質が作業する人に害を及ぼす危険があった。

 カツオブシムシを使う方法にも弱点があり、成虫が逃げ出したり、気づかないうちに卵を産みつけたりして、博物館の収蔵品そのものを食い荒らす恐れがあった。

 そこで研究チームは、これらの欠点を補う新しい方法として、スーパーワームに注目したのだ。

8種の動物の骨で検証、最適な割合が導き出される

 研究チームは、密閉した容器に入れた8種類の動物標本に、数を変えながらスーパーワームを投入した。

 標本の大きさはさまざまで、9gのエジプトルーセットオオコウモリ(アフリカや中東にすむ果実を食べるコウモリ)から、4.2kgのオオカミまでが用意された。

 数時間から数日のうちに、幼虫は骨格の内側も外側も、肉だけを効率よく食べていった。

 実験の結果、動物標本1gあたり幼虫を10〜15匹分の割合で使うと、肉を取り除く時間を短く抑えながら、骨を傷つけずにすむことがわかった。

 幼虫が多すぎると壊れやすい骨まで食べられて傷つき、少なすぎると時間がかかりすぎてしまう。ちょうどよい数を導き出したのだ。

 この割合であれば、幼虫は壊れやすい鳥の頭骨でさえ、傷ひとつつけずにきれいに仕上げることができた。

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スーパーワームによるズキンガラス(Corvus cornix)の除肉の様子(標本1gあたり幼虫7匹分で実施)
A:標本を幼虫の入った容器に入れた直後。
B:8時間後。肉が部分的に取り除かれている。
C:12時間後。肉がすべて取り除かれ、骨格はそのまま残っている。
標本は6〜8時間ごとに、新しい幼虫の入った容器に移し替えた。 Image credit:Rastekar et al., 2026, PLOS One, CC-BY 4.0

害虫の心配が少なく入手も簡単、実用的な新しい選択肢

 研究チームは、スーパーワームが従来の方法に代わる実用的な選択肢になると述べている。

 危険な化学物質を使わずに済むので作業する人にとって安全である。

 しかもスーパーワームは密集した状態では蛹(さなぎ)にならず幼虫のままでいるため、カツオブシムシのように成虫が大量発生して逃げ出す心配がはるかに少ない。

 幼虫でいられる期間はおよそ10〜12週間と、カツオブシムシの5〜7週間より長く、その間ずっと肉を取り除く作業に使えるのも利点である。

 さらに、ペットの餌用に販売している繁殖業者から簡単に手に入るので、特別な準備もいらない。

 今後、骨格標本のお掃除係はスーパーワームにとってかわられる日が来るかもしれない。

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この記事へのコメント 17件

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  1. 発泡スチロールも食べる脂肪分が多い虫ってことでスタートアップ企業に大人気なやつ。

    • +5
  2. 芋虫注意を書いて欲しかった・・・
    いやミミズ?

    • -1
    1. タイトルのお掃除役のあとに、ワームとは書いてくれてあるよ…

      • +1
  3. 火葬の代わりにこれで処理して、残った虫は養魚・養殖とかエサ系として売れば良いんじゃ…って思ったけど、死体1gあたり10〜15匹って考えると無理かな〜

    可不可以前に嫌悪感で流行らなそうではあるけど。

    虫葬師とかいう職業が生まれたら給料めちゃ高そうだけども。

    • +12
  4.  自分の体重を考えて、百万匹はいらないけど結構たくさん必要だなぁと思いましたことよ。 今は食べるだけ食べて食物連鎖の袋小路にいるので他の生物に食われて食物連鎖のサイクルの中に入りたいです。 法や感染症などの問題がなければ鳥葬とか水葬(海洋投棄)してほしいけど、この記事の方法も有りだなと。 途中がの見た目に抵抗あるけど見なければいいのだし、そこは仕方ないかな

    • +5
  5. 密集してると成虫にならないのはサナギになった時に共食いが起こるからとか…?

    • +5
  6. これ土葬派にも福音になるんじゃなかろうか
    周りを汚染することもなくなるし熊や野犬を呼び寄せる心配もないね

    • +1
  7. タイトルのお掃除役のあとに、ワームとは書いてくれてあるよ…

    • 評価
  8. ミルワームをしばらく飼ってたけど、あの子らすごいよ。野菜くずや魚のアラをきれいに食べて、およそ臭いのしないサラサラのフンをする。たいした生き物だわ。

    • +7
  9. 水葬の本質は魚葬だし、土葬の本質は蟲葬。人の目に見えない所で処理されるから本質部分が意識されないだけで。これを葬儀に使うなら、蟲を強調しない形で「新形式の土葬なんだ」と言い張れば、需要は有るかもしれない。

    • +3
  10. 結構昔から、生き物系youtuberが、死んだ魚とかをエビとかゲンゴロウ、肉食のゴキブリにあたえて骨取り出してたりしてますよ。でもワームの方が綺麗なのかもね。

    • +3
  11. 変な名つけられて 食べて 食べられて
    でも私たち愛してくれとは言わないよ

    • +3
  12. ワームと言えば、カブトも20周年をやるんだってな

    • +1

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