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脊椎動物をきれいにお掃除。カツオブシムシの仕事っぷりを観察しよう(閲覧注意)

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(著)

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 カツオブシムシという昆虫がいる。その幼虫は毛織物などの繊維質を餌とすることから害虫とされているが、そんな彼らも役に立っている。干からびた動物のタンパク質を食べ、骨は食べないという性質を利用して、脊椎動物の骨格標本作りに利用されているのだ。

 カツオブシムシたちは、動物の死骸の骨を損なうことなく、きれいに肉をはがしていく。カリフォルニア大バークリー校の脊椎動物学博物館は、100年近くこうした虫を利用している。

Watch Flesh-Eating Beetles Strip Bodies to the Bone | Deep Look

 生命の図書館である博物館で働く研究者たちは、次世代のため動物の標本を保存するのに、このカツオブシムシ科の甲虫をうまく利用している。毎年、数多くの動物の遺骸が博物館に持ち込まれ、そこで、甲虫たちの出番となる。

 カリフォルニア大バークリー校の脊椎動物学博物館に保存されている動物たちは、きれいな目を入れられ、羽をきちんと整えられて博物館に到着するわけではない。研究者たちが、遺骸の皮を剥ぎ、肉や内臓のサンプルを集めるというぞっとするような作業にとりかかるところから始まる。剥いだ皮には詰めものをされ、腹の内容物は記録される。

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 動物を長期保存するために骨から肉をそぎ落とす作業は、骨を損なわないようにするため、デリケートな精密さが要求される。そこで、遺骸解体のスピードアップと正確性を目指して、研究者たちはカツオブシムシに目

をつけた。

 これらの虫たちは、博物館に送られてきたヘビ、フクロウなどの動物の遺骸に群がって、その死肉を食べ尽くして骨だけにしてしまう。その様子はおぞましいものだが、とても効率的で、長年活用されてきた。

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 博物館が最初にカツオブシムシのコロニーを作ったのは1924年のこと。それからほぼ100年後、最初のコロニーの直系子孫がいまだに博物館で標本製作のために働いている。彼らの仕事ぶりは、迅速で正確そのものだ。

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 動物の死後一週間、虫たちはその遺骸に卵を産み、孵化した幼虫がたちまち遺骸の肉を食らい尽くす。博物館にはたくさんの動物標本が保存されている。これは、未来の科学者たちが過去を振り返って研究するためのものだ。

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 カツオブシムシたちが遺骸をきれいな骨にするのに役立つ一方、大発生の脅威がある。博物館で肉食甲虫が大発生したら、収蔵されている標本がすべてだめになってしまう恐れがある。

 以前にそういうことが起こったため、博物館はさまざまな分解のプロセスを壁で区切ることで、二度と同じことが起こらないよう対策を講じている。標本の所蔵場所は、分解が行われている場所とは隔てられている。そうしないと、虫が標本の棚に入り込んで、すべてを食べ尽くしてしまう。

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○written konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 53件

コメントを書く

  1. CSIかなんか洋ドラでも出てくる話があったな
    そんとき綺麗にしてたのは人間だったが

    • +1
  2. ちょっと精神的にアレだったので部屋に埃が積もるほど掃除せずに放置してたら、
    埃や積んである雑誌にカツオブシムシの幼虫がわいててワロタ

    • +5
  3. こいつに昔作った昆虫標本を食い尽くされた思い出

    • +3
  4. ボーンズでもよく活躍するカツオブシムシちゃん

    • +6
  5. 薬剤処理かなぁ、なんだろと以前から不思議に思っていたから
    これが一つの方法だと分かったのでためになりました。

    • +7
  6. 卵の殻とか残っちゃわないんだろうか。
    自分で食べるか

    • 評価
  7. 俺の部屋の隅に沢山いるわ
    掃除しても埃がたまるとどっからともなく湧き出てくるから諦めた

    • +3
  8. こいつとシバンムシが侵入した昆虫標本の箱は最終的に食い散らかし大量発生したこいつらの標本箱になる
    防虫剤じゃ防ぎきれない

    • +6
  9. こんな方法今でも取ってるとは面白いな
    これ食事が終わったら回収?
    いややっぱ殺虫しちゃうんかな?

    • +1
  10. 我が家では、古いそうめんの箱から大発生してえらい目にあったことがある。
    こいつら発泡スチロールも喰うぞ。
    ゴミ処理に使えるのではないだろうか?

    • +4
  11. 本では知ってたんだけど、動画で見ると、やっぱ凄いわ。

    • +1
  12. こいつら成虫が侵入した形跡も無いのに涌いてきて不思議すぎるんだよな
    Gと違って若干かわいいからいいけどさ

    • +2
  13. ボーンズでは甲虫だったっけかな?
    カツオブシムシっていうんだ。
    硬い鰹節までたべちゃうのかな。

    • 評価
  14. 繊維質とか干からびた動物のタンパク質を食べるというのは、生餌を求めての殺生をしないということなのだろうか。だとしたら殺生する生き物に比べて善意のかたまりみたいな生き物にも思える。でも、可愛い動物の代表格は捕食者たる猫で、彼らは一般的には嫌われ者…。いったいどうしてこうなっているのだろうか(理不尽かもしれない)。自然界のお掃除をしてくれてありがとうと言いたいが、あんまり増えすぎないでねとも言ってしまいたい。

    • +3
  15. 長らく放置していた鰹節を「まあ乾きモノだし大丈夫だろう」とお好み焼きにかけて食ってたら、
    小さなカツオブシムシが袋の中で大量発生してた事があったわ
    ほぼ完食したくらいに気付いて青ざめた

    • +3
    1. ※18
      まぁ、エビ、シャコ、ウナギを食べるか、死体を直接食べるかの違いくらいでしょ

      • +1
    2. ※18
      かつお節の代わりにカツオブシムシが栄養になってくれたと思えば(目を逸らしながら)

      • +4
    3. ※18
      おいしかったですか?(昆虫食にも使える可能性も考えて。)

      • -1
  16. 鳥やヘビの死骸が「繊細な骨格標本」になっていくのは凄いな…まさに匠の技!

    • +2
  17. 死骸が分解されていく様子だけを写していくのかなと思ったら検死解剖かなんかで鳥の生首とモツがしっかり写ってほぎゃあああああ

    • +1
    1. ※21
      鰹節に似てるんじゃなくて、鰹節にわくからカツオブシムシやないの。
      鰹節も干物だし。

      • +1
  18. おいしそうな名前してるのに死体食うような虫じゃ食べられないな

    • 評価
  19. 子供の頃読んだ本に書いてあった
    今でも活躍してるんだな

    • +1
  20. 服に穴を開けるのもこいつらだって、某スーツ販売店のスタッフから聞いたけど…こんなのがタンスにいるの?

    • 評価
  21. 虫に遺体処理をしてもらうと、臭いも抑えられますね。
    アメリカミズアブの幼虫も屍肉処理能力はかなり高いので、同じように使えないものでしょうか。でもカツオブシムシの方が乾き物も好き嫌いせずに食べるので使い勝手が良いのかな?

    • +4
    1. ※30
      ミズアブは腐食性植物を好むので動物標本には向いてないと思う。後、致命的な欠点があって「成虫はそこら中を飛び回る」ので管理が大変かと…。それに比べるとカツオブシムシは幼虫成虫共に食性が一定して同じだし、成虫も飛ぶことは出来るけど、基本的に歩行移動が主で余り飛ばないので管理が容易。

      • +1
  22. 自分のなかで見敵必殺リスト入りしているこいつらにこんな有意義な役割があったとはなぁ・・・何となく生きていては中々気付けないことだ。カラパイアに感謝だな

    • +2
  23. クモもゴキブリも笑って愛でられるけどこいつは許せん、まさしく見敵必殺
    こないだもセーターに穴を開けられた
    脱ぎ散らかした自分も悪いが一晩で3か所も食い散らかすとは油断も隙も無ぇ
    大人になって真っ先にするのが交尾ってのも気に食わんし

    • -1
  24. 自分もセーターやられたわ。とっておきのカシミヤのやつ。くっそー!

    • 評価
  25. 長い間放置されてた親父のひげ剃り機のフタを開けてみたらこれの幼虫(動画とは別のもっと小さな種類)がゾワゾワしていて卒倒しかけたことある。どっから入り込んだか知らないが卵が産み付けられ、ヒゲの粉をエサに成長していたのだな。

    • +3
  26. コレ観たかったんだ!!
    BONESでよく出てくるけど、流石にそこは映さないからどんな風に食べてるのか
    とても興味があったんだー!!
    ありがとうパルモはん!!

    • +3
  27. タマムシの死骸を箪笥に入れるまじないがあるけど、こいつらを誘引して却って衣類の傷が増えるんじゃないかと思う。

    • 評価
  28. 大発生されたがエサ場がみつからないなーと悩んだ初夏、ふだん行かない部屋の窓辺に放置されたドライフラワーの麦の穂束にやつらはいた、クリスマスリースに穀物系を使われる方は処分なり保管なりお気をつけて

    • +2
  29. すごく神秘的でおもしろい映像だった。
    なんで骨を食べるように進化しなかったんだろう。
    一緒に食べたほうが効率良さそうなのに。

    • 評価
  30. こいつの幼虫が部屋によく現れるわ
    成虫は見かけないのにどこから湧いて出てくるんだ
    見つけたら容赦なく潰す

    • -1
  31. 子供の頃(30年前)、カエルなど細かい骨の標本にこれを使うことは知ってたが、
    家の衣類などを食われてたから本当に嫌で嫌で;
    実家を出てから普通に掃除機で掃除してたら見なくなった

    • +1
  32. これうちにもよく出てくる
    胡麻みたいにちっちゃいからプチプチ潰して遊んでる

    • 評価
  33. 肉が付いてるとグロさがあるけど完全に骨になると学術的な香りがしてくる
    人間の感覚って面白いな

    • 評価
  34. 昔知恵袋に犬の死骸を溶かしたいという質問があったが
    カツオブシムシなら入手が容易じゃないかなぁ
    処理中のにおいは風呂場を目張りするとか・・・
    近所でカツオブシムシが大量発生してたら通報やね

    • 評価
  35. 他人の衣服についてる卵が電車で自分の衣服に
    くっついて自宅で繁殖とかよくあるらしい。防ぎようがない

    • 評価
  36. どっかで息絶えて発見されなかった場合
    人間もお世話になるんやで

    • +1
  37. 不思議な気持ちよさがあるな
    これと、子豚の死骸に24hカメラで監視してる映像も凄い良かった
    蛆がジョワ―って感じで湧いてきてモゾモゾ死体が動くのな

    • 評価
  38. カイコみたいにこの虫も進化、あるいは退化して行きそう

    • 評価
  39. 標本の作製に利用してたんだね、すごいと思う
    そして虫に付くこともご存じなんだね
    なら知っているはず、対になって現れ住みつくアリガタバチを!

    もしも昆虫食を消費経済に導入した場合
    こいつらが現れるんだよ、そしてセットでアリガタバチも
    そしてアリガタバチは、今は無害だけどヒトも刺す

    六次の壁は何もwikipediaや宅配や社会だけにあるものではなく
    それは虫とも繋がっている

    • 評価

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