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浅瀬に取り残された世界最大のタコが救助され、無事海へ帰る。去り際にありがとうの合図

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(著)

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Image by Istock bksrus
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 アメリカで、ある家族が潮の引いた干潟に、巨大な赤い生物が取り残されているのを発見した。世界最大のタコ、ミズダコだ。

 陸に上がると自分の体重を支えられず動けなくなってしまい、長くても1時間ほどしか生きられない。

 なんとかタコを助けようと家族は、専門家に連絡をした。

 救助隊員らは、タコに海水をかけ続けながら体全部が水に浸れる場所まで運んでいった。

 すると、タコはまるでお礼を言うかのように、救助隊のブーツにそっと腕を巻きつけ、ゆっくりと海へ消えていった。

海の浅瀬に取り残されてしまった巨大なミズダコ

 ワシントン州北西部に位置するパディラ湾は、アシカやカワウソ、カニなど多様な生き物が暮らす豊かな沿岸生態系だ。

 湾に面したベイビュー公園では潮の満ち引きが激しく、引き潮になると泥と砂が広がる干潟(ひがた)が姿を現す。

 普段は美しい自然の見どころだが、潮の動きに気づかなかった海の生き物にとっては命取りになることがある。

 2023年3月、公園を訪れていた家族が、巨大なミズダコが泥の上で身動きできなくなっているのを見つけた。

 ミズダコは、北太平洋に生息する世界最大のタコで、体重は通常10〜50kg、記録では272kgに達したこともある。

 腕を広げると最大5mにもなる巨体だが、陸に上がると自分の重さを支えられず、ほとんど動けなくなってしまう。

 おそらく浅瀬で獲物を追いかけているうちに潮の引きに気づかず、気がつけば身動きが取れなくなっていたとみられている。

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Facebook / Padilla Bay National Estuarine

救助要請を受け専門家チームが現場へ急行

 取り残されたミズダコを助けてあげたいと思った家族は、すぐにベイビュー公園管理局に知らせた。

 管理官のブランドン氏はすぐに現場にかけつけたが、一刻も早く救助する必要があると判断し、近くにあるパディラ湾国立河口研究保護区の環境教育者アニー・イングランド氏に連絡を入れた。

 河口研究保護区は、川と海が交わる河口域の自然環境を研究・保護するための施設だ。

 連絡を受けたイングランド氏は、10年間この保護区で働いてきたが、ミズダコの救助は過去に一度しか経験がなかった。それほどまれなことだという。

 ングランド氏は同僚のミラ・ルッツ氏、ボランティアのショーン・ピーターズマーク氏とともに急いで現場へ急行した。

 ミズダコは水の外では長くても約1時間しか生きられない。一刻の猶予もなかった。

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Facebook / Padilla Bay National Estuarine

タコを傷つけないよう、海水をかけながら誘導

 現場に到着すると、赤みがかった体と長い腕が泥の上に広がる巨大なミズダコが、息も絶え絶えに浅瀬で身動きが取れない状態でいるのを確認した。

 タコの皮膚は非常にデリケートで、素手で触れると人間の体温や皮膚の油分がダメージを与えてしまうおそれがある。

 救助チームはまず、タコを守るために特別な装備を着用した。

 チームはバケツで何度も海水をタコにかけながら、大型のトートバッグに海水を満たしてミズダコを誘導した。

 タコが無事バッグに収まると、体全体が水に浸かれる深さのある場所まで慎重に運んだ。そこまでいけば、タコは自力で海に戻ることができる。

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ありがとうのサイン?ブーツに腕を巻きつけ海に戻っていく

 深い水のある場所までたどり着くと、救助チームはバッグをそっと開いた。

 するとミズダコはゆっくりと腕を伸ばし、しなやかに体を動かしながら慎重にバッグの外へと出てきた。

 そして救助にあたったイングランド氏とルッツ氏のブーツに、太い腕をそっと巻きつけた。

 まるで「ありがとう」とお礼を伝えるかのようなその仕草に、救助チームは胸が熱くなったという。

 やがてミズダコは腕をほどき、水の中へとゆっくりと戻っていった。

 イングランド氏は後にこの瞬間を「魔法のようだった」と語っている。

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Image by Istock pr2is

賢いくて認知機能も高いタコ

 タコは無脊椎動物の中で最も知能が高い生き物の一つとされており、カラパイアでも何度かその驚くべき能力を紹介してきた。

 8本の腕それぞれに神経細胞が分散しており、脳と腕が独立して動くという、ほかの生き物には見られない特殊な神経構造を持つ。

 人間の顔を識別し、道具を使い、仲間に物を投げてコミュニケーションをとるといった社会的行動も確認されている。

 鏡に映った自分の姿を認識できる鏡像自己認知の能力を持つことも報告されており、チンパンジーやイルカなど一部の哺乳類にしか備わっていないとされてきた高度な知性を、タコも持ち合わせているとみられている。

 寿命がわずか2〜3年と短いため、その知性が十分に発揮されないまま一生を終えてしまうことを惜しむ研究者も多い。

 ちなみに私は最近、Netflixで、ミズダコと人間の心温まる交流を描いたベストセラー小説を原作にした映画『親愛なる八本脚の友だち』を見たのだが、これがたまらなくハートフル!涙ボロボロながしちゃったよ。 

 タコが好きなおともだちでNetflixのサブスク契約をしている人ならぜひ見てほしい映画なのだ。

 干潟でブーツに腕を巻きつけたミズダコも、助けてくれた人間のことをしっかり記憶して、もし海で遭難するようなことがあったら助けに来てくれるかもしれないな。その知能をフル回転して思いもよらぬ方法で!

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この記事へのコメント 2件

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  1. タコさんたすかってよかったねえ助けてくれた皆さんありがとう

    • 評価
  2. タコやイカは非常に賢いけど、寿命がハムスター並みに短くて長生きしないから飼育には向かないのよね
    巨体のダイオウイカですら長くても5年程度らしい

    • +2

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