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マッコウクジラ同士が頭突きをする現場を確認。かつての船沈没に関連性

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(著)

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Image credit: Stanislav Stelmakhovich
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 マッコウクジラが仲間に頭突きをする様子が、ドローンによって初めて撮影された。

 イギリスのセント・アンドルーズ大学の研究チームは、この習性を確認することで、19世紀に報告された「クジラの頭突きによる捕鯨船沈没」が起こりうる事実であることを生物学的に裏付けた。

 今回の発見により、マッコウクジラが頭部を衝撃器具として使う具体的な習性が明らかとなり、歴史的な船沈没の謎が科学で解明できるかもしれない。

この研究成果は『Marine Mammal Science』(2026年3月23日付)に掲載された。

参考文献:

マッコウクジラの巨大な頭は衝撃を与える道具でもあった

 マッコウクジラは、ハクジラ類における最大種で、北極から南極まで、世界規模で分布しており、主に深海沖に生息している。

 その体格はオスとメスで大きく異なり、成長したオスは全長約18m、体重は約50tに達するが、メスは全長約11〜12m、体重は15tほどと、オスの半分以下にとどまる。

 しかし、どちらの性別であっても体全体の3分の1を占める巨大な頭部を持っている点は共通している。

 この頭部には、マッコウクジラ特有の「脳油器官(のうゆきかん)」と呼ばれる脂肪が詰まった組織がある。

 この組織は、深海での潜水に必要な浮力調整や、獲物を探すための音波(エコーロケーション)を増幅・集束させる役割を担っている。

 従来、この頭部は繊細な音響センサーとして役立っているとされていた。

 しかし、今回のドローン調査により、この巨大な頭部が仲間に対して物理的に衝撃を与える道具として使われている現場が確認された。

 セント・アンドルーズ大学のアレック・バースレム博士らの共同研究チームが捉えた映像には、まだ大人になりきっていないオスの若いクジラが、仲間の頭や体に自らの頭部をぶつける姿が記録されていた。

 一方が相手に対して意図的に頭突きをするこの行動は、頭部を単なる感覚器官としてだけでなく、日常的なコミュニケーションや接触の手段として使っていることを証明したことになる。

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仲間に頭突きをするマッコウクジラの若いオス Image credit: Association Tursiops

19世紀の伝説を裏付けるクジラの頭突きと船の沈没の関係

 この発見は、長年「伝説」とされてきた歴史的な記録に重要な証拠をもたらした。

 19世紀の捕鯨時代、船乗りたちは「巨大なクジラが意図的に頭で船を叩き、沈没させた」という体験談をいくつも残していた。

 最も有名なのは1820年の捕鯨船「エセックス号」の沈没事件で、この話はアメリカの小説家・ハーマン・メルヴィルの長編小説『白鯨』の着想源にもなった。

 だが、当時は「クジラが自分の頭を武器にするはずがない」と、その信憑性が疑われることも多かった。

 しかし、今回のドローン映像によって、マッコウクジラには実際に「対象に頭をぶつけ、衝撃を与える習性」があることが確認された。

 マッコウクジラの頭部は内部が複雑な結合組織で仕切られており、非常に頑丈な構造をしているため、音響器官を守りながら物理的な衝撃を与えることは可能だ。

 かつての船乗りたちの報告は、生物学的な根拠に基づいた事実であった可能性が極めて高まったのである。

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 ドローンからマッコウクジラの頭突きを撮影した映像 Image credit:Association Tursiops

なぜ頭をぶつけるのか?社会生活の中に隠された意図

 マッコウクジラがなぜ、自身のデリケートな頭部を危険にさらしてまでぶつけるのか?

 その正確な理由はまだ調査中だが、研究チームはいくつかの興味深いケースを報告している。

 映像では、若いオス同士がぶつかり合うだけでなく、オスがメスに対して頭突きを行う場面も記録されていた。

 バースレム博士らは、これらの行動を「ラフ・プレー(荒っぽい遊び)」や、繁殖に向けた「求愛の準備段階」であると考えている。

 若い個体同士が遊びを通じて力加減を学び、将来の闘争や繁殖に備えて技術を磨く「社会的な訓練」としての側面を持っている可能性が高いという。

 実際に接触の瞬間に仲間同士の交流を示す独特の音声も記録されており、彼らが頭部の機能を守りつつ、効果的に意思表示をする方法を身につけていることが示唆されている。

最新技術ドローンが解き明かす野生動物の真の姿

 今回の発見を可能にしたのは、空から静かに観察できるドローン技術だ。

 マッコウクジラの頭突きは、その多くが水面直下で行われるため、これまでの船の上からの観察では詳細を捉えることが困難であった。

 現在はハワイ大学に拠点を置くバースレム博士は、「ドローンによって、これまで見ることができなかった野生動物の真の姿が次々と明らかになっている」と語る。

 19世紀の船乗りたちが恐れた「海の怪物」の正体は、実は非常に複雑で高度な社会性を持つ、クジラたちの習性によるものだったのかもしれない。

References: Scientists Capture Sperm Whales Headbutting in Stunning New Footage / Onlinelibrary.wiley.com

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この記事へのコメント 24件

コメントを書く

  1.  この頭突きが小学生男児同士のおちゃらけ小突きあいみたいなものなのか、キリン同士の首を使った攻撃やサイの攻撃的突進(結果的には頭突き?)みたいなものなのか……両方なのかな。 ドローンを使った面白い研究ですね。 コバンザメみたいな一応自分で移動できるけどクジラとか大型生物に引っ付いて情報を送ってくる水中ドローンとかも開発してたりするともっといろいろわかりそう

    • +14
  2. 音波でコミュニケーションする生き物だし接触することでストレートに想いが伝わる的な

    • +10
  3. 人間で言えばハイタッチする感じの「ご挨拶の頭突き」なのかも
    クジラやイルカが船に並走するのも習性の一種と考えると、船に「ご挨拶」されるのもナルホドなんだが…やめてよ(泣

    • +12
  4. 「頭槌鐘砕」というワードが何十年ぶりに頭をよぎった
    これがマッコウ勝負ですか

    • +9
  5. 猫の頭突きは親愛の意味が強いけど
    牛鹿羊猪…頭突きは闘争の手段の動物が多い気がする
    鯨はどうなんでしょうね?この研究は気になる。

    • +10
  6. マツコ・デラックスの由来は
    マッコウクジラからもじった。

    • -4
  7. 状況に応じて強さを調節しているんでしょうね
    親愛の情を現す強さで船が沈んだら柔すぎでしょう

    • +3
  8. でもあんな頭してたら自分も頭突きしまくると思うわ

    • +4
  9. 昔の帆船は防腐のために船体にタールを塗っていたから真っ黒だったから、他のクジラと間違われて頭突きされたのか?
    それともエセックス号は捕鯨船だったから反撃されたのか?

    • +4
    1. キジのオスも、郵便屋さんの赤バイクには容赦ないからね!

      • +1
  10. ベルーガさんのメロンみたいにぽよぽよなの?

    • +3
  11. 私は、英語名の付け方についてこれってどうよと思う

    • -3
  12. >まだ大人になりきっていないオスの若いクジラが、仲間の頭や体に自らの頭部をぶつける姿が記録されていた。

    これはあれですね昭和の小学生がよくやってたデュクシと同じ
    多分

    • +3
  13. やはりパシフィック チャンピオンシップとか開催されるのかな

    • +2
  14. 軽く小突く程度かと思ったら、タックルレベルでぶつかってる。
    これは船も沈みますわ。

    • +1
  15. 拳で語る ならぬ 頭突きで語る ってか?

    鯨が船にぶつかる
    っていうと『超少女明日香 メシア編』を思い出す
    セレブが乗った豪華客船をメシアに操られた鯨が襲い怪我人が大量発生
    怒ったセレブたちが保護団体を糾弾し、身に危険を感じた保護団体員が大使館に保護を求める
    それを見たメシアが「そうだそうだ。保護してもらえ!」って高笑いするシーンがある

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