この画像を大きなサイズで見る国や地域、文化、そして宗教によって、亡くなった人を埋葬する方法はさまざまだ。だが遺体の処理方法自体は大別すると火葬と土葬に分けられる。
海への散骨や樹木葬なども、元をたどれば主に火葬で骨灰の状態にしてから、葬送の儀式を行うのが一般的だ。
2026年3月、英国のスコットランドでは、遺体を「アルカリ加水分解」で処理する「水葬」が、新たな選択肢として正式に認められることになった。
これはアルカリ性の薬剤で軟組織を溶かし、骨だけの状態にする方法である。英国でこの方法が法的に認められたのは、スコットランドが初めてだそうだ。
参考文献:
- Dissolving The Dead: Scotland Becomes First UK Country To Allow Aquamation, A Green Alternative To Cremation
- Scotland becomes first UK country to legalise water cremations
水酸化カリウムで遺体を丸ごと「溶かす」技術
この方法は「水葬」あるいは「アクアメーション」と呼ばれており、アルカリ性の液体を使って、自然界で起きる分解過程を人工的に早め、遺体を溶かしてしまう処理方法である。
仕組みは比較的単純で、密閉された装置の中で遺体を高温の水とアルカリ溶液で処理し、軟組織を分解する。
人体の多くは水分でできているが、筋肉や血液、皮膚などにはタンパク質や脂質が含まれている。
遺体を密閉された装置に入れ、水とアルカリ性の水酸化カリウム(苛性カリ)を加えて高温状態にすると、数時間のうちに軟らかい組織は分解されてしまう。
処理後に装置の中に残るのは、骨と人工関節などの金属類、そして分解された有機物が溶け込んだ茶色い液体である。
骨は乾燥させた後に粉末化され、火葬後の遺灰と同様に遺族へ返される。火葬した骨よりも白く、きれいな状態で残せるのが特徴だそうだ。
液体はアミノ酸やペプチド、糖、脂肪酸の塩類、ミネラルなどを含む水溶液で、高温と強アルカリで処理されるため、液体は無菌状態になる。その後液体は中和などを行った上で、排水として処理されるのだ。
この画像を大きなサイズで見る今回の決定は、2026年3月2日に施行された「加水分解による遺体処理に関するスコットランド規則」によるものだ。この規則では、以下のように定められている。
残留液体はDNAを含まない排液である。この排液は冷却された後、必要に応じて処理を行い、廃棄物として排出される。
排出にあたっては、スコットランドの水道・下水を管理する公営事業体、または環境保護当局の許可を受ける必要がある
これらの規則の目的は、スコットランドにおいて遺体処理の方法として、埋葬および火葬に加えて加水分解を選択肢として利用できるようにすることである。
また加水分解施設とその運営者に対する規制枠組みを確立するものである
環境に一番やさしい遺体処理方法
このアクアメーションが世界的に知られるきっかけの一つとなったのが、南アフリカのデズモンド・ツツ大主教の葬送だった。
ツツ大主教は2021年に亡くなったが、本人の希望により、アルカリ加水分解による遺体の処理が行われたのだ。
彼は生前から気候変動問題に取り組んでおり、できるだけ環境への負荷が小さい葬送方法を望んでいたんだそうだ。
この画像を大きなサイズで見るもう一つきっかけとして挙げられるのが、地球環境への影響だ。火葬は高温で遺体を燃焼させるためにエネルギーを消費し、二酸化炭素などの排出が発生する。
一方でアクアメーション、つまりアルカリ加水分解なら燃焼を伴わないため、火葬に比べ二酸化炭素排出量を75%削減できると推定されている。
オランダの研究機関TNOによるライフサイクル評価では、環境負荷の総量は土葬が最も高く、火葬は土葬のおよそ3分の1、加水分解はさらに低いという結果が示されている。
実はこのアクアメーションは、新しい技術というわけではない。葬送の舞台で使われるよりも前に、動物の遺体を処理するために使われて来た背景があるのだ。
1888年、イギリス人のエイモス・ハーバート・ホブソンが、動物の死骸を安全に処理する技術としてアクアメーションの特許を取得した。
特に加水分解処理することで、病気に感染した動物の死骸も無菌化できることから、この技術は注目され続けてきたという。
また、ペットの葬送においては既に多くの場所で使われている。下の動画は、シンガポールで行われているペットのアクアメーションの様子である。
動画を見てもらうとわかると思うが、加水分解を行うことで、ほぼ1日で遺体は真っ白な骨だけになってしまうのだ。
とは言え、愛する家族の肉体が「薬品で溶かされてしまう」ことに、心情的に、そして文化的・宗教的に抵抗を感じる人も少なくないのは事実である。
イギリスで加水分解装置を製造している「カインドリー・アース」社のゼネラル・マネージャー、ヘレン・チャンドラー氏は、次のように語っている。
すべての人が加水分解を選ぶとは思っていません。しかし、それこそが重要なのです。遺族により多くの選択肢を用意することが目的なのです。
家族ごとに、それぞれが大切にしている価値観や優先順位があります。特に自分の葬儀を事前に計画している人の中には、より希望に合った選択肢を探している人もいます
この画像を大きなサイズで見る世界各地でエコな「水葬」が行われ始める
イギリスでは1902年に火葬が合法化されて以来、遺体処理方法は長く埋葬と火葬の二つに限られてきた。
今回のスコットランドの規則制定は、それ以来100年以上ぶりに新しい葬送方法を制度として認めた例になる。
実はイギリスでは火葬率がけっこう高く、全体の火葬率は約80%、スコットランドでは2024年時点で74.5%となっている。
この数字はイングランドとウェールズより低いものの、火葬がすでに主流の葬送方法になっていることを示していると言えるだろう。
意外なことに、土葬のイメージが強いアメリカでも、実際は土葬31.6%に対し火葬63.4%で、現在では火葬が主流となっているんだそうだ。
そのアメリカでは2026年時点で、カリフォルニア州やワシントン州など28州が、アクアメーションを遺体の処理方法として認めているという。
また、アイルランドや南アフリカ、ニュージーランドでは実際にサービスが開始されているほか、カナダやオーストラリアでも、地域によってはアクアメーションの制度化やサービスの提供が進んでいるそうだ。
一方で、課題も指摘されている。処理後に残る液体の扱いについては、排水処理の方法や下水設備の能力などが問題になるからだ。
専用の設備を備えた施設の整備や排水処理の許可などが必須であり、スコットランドでも実際にサービスが始まるまでには、まだ時間がかかるかもしれない。
この画像を大きなサイズで見る自分の死後についての希望は十人十色
SNSやメディアでこのニュースを知った人たちからは、ネット上でさまざまな意見が寄せられている。
- 俺はどうでもいいよ。だって自分は死んでるわけだし。家族に一番迷惑かけなくて、一番安く済む方法なら何でもいい。いっそ体全部を医学研究に寄付して、ギネスとフライドチキンばっか食ってきた太ったおっさんの体がどうなるか研究してもらってもいいな
- うちの父親もいつも同じこと言ってたよ。だから「じゃあ今のうちに書類出しとかなきゃね。持ってこようか?」って聞いたら、急に不機嫌になってさ。どうやら本当はちゃんとした葬儀場でミサをやって、普通に埋葬されたいらしい
- 研究用の遺体って誰でも受け入れてくれるわけじゃないんだよ。俺は家族に「引き取りに来なくていい」って言ってある。自治体に処分してもらえばいい。死体の処理に大金を使ってほしくない
- 葬式ってのは生きてる人が悲しむためのものだ。でももし選べって言われたら、遺体の上に木を植えるタイプがいいな。桜の木だと嬉しい
- 私は家族に「ファミリー果樹園を作ろう」ってずっと説得してる。みんなそこに埋めて、木を植えるの。そうしたら生きてる家族は、亡くなった親族の果樹園を訪ねられるでしょ?
- それいいね。シンプルに木の肥料になれる
- 一番エコなのは薬品も棺も使わず土に戻す自然葬と、この水葬だよ。普通の火葬はエネルギーかなり使う
- 堆肥化してもらうのがいいな。アメリカにはそういう会社があって、巨大コンポストで土になるんだ。家族がその土を受け取ることもできるし、公園に寄付もできる。すごく自然な感じがする
- 水葬はちょっと怖いよ。ドロドロの水になんかなりたくない。自然葬が一番近いかな。でも死ぬのって高いんだよな。だから家族にとって一番安い方法にしてほしいかな
- 俺は森に埋めてほしい。防腐処理なしで。俺は一生ずっと植物に育てられてきたんだから、最後くらい植物に返してやりたい
- 医学研究に寄付だな。家族が葬式代でとんでもない金払うとか考えただけで無理。医学生の笑い話にもなるだろ
- うちのお祖母ちゃんはそうしたよ。葬式の段取りを気にせず、家族で好きな形の追悼会を開けたから、むしろ気が楽だった
- 臓器は医学研究に寄付して、そのあと頭だけ冷凍保存して未来の実験でサイボーグの体に復活させてほしい
- 研究に寄付できるならそれでいい。ダメなら川に投げてくれ。とにかく家族に金を払わせたくない。俺は多発性硬化症だから、それで研究用に受け入れてもらえる確率が上がるといいな。ちょっとブラックだけど
- 個人的には自然葬がいい。高い豪華な棺じゃなくて、生分解する箱に入れて土に埋めるだけ。ホルムアルデヒドとかも無しで、自然に分解してほしい
- 水葬は、漂白剤で肉を煮て骨を砕くよりはマシに聞こえるな
- 肉は液体に溶けて排水に流れる。普通の火葬で煙になって空に出るのと同じようなものだよ
- 実は墓地で問題になってるんだよね。30年後に放置された墓を再利用しようと掘り返すと、遺体が腐ってないことがあるんだ。人間って防腐剤だらけらしい。そのうち人間は有害廃棄物扱いになるかもね
- それは現代の防腐処理の問題だよ。もともと防腐処理は、戦場から列車で遺体を家族のもとへ運ぶまで保存するために始まった。今みたいに一般的にやる理由はほとんどない。実際、大半の遺体には必要ない
- 私はガーデニングが趣味で、庭には花がいっぱい植えてあるの。栄養たっぷりの液体になって植物の肥料になるなら、それも悪くないと思おうな
- 加水分解で使う液体はどう処理するんだろう。コストも普通の火葬と比べてどうなんだろ。液体処理って安くなさそう
- たいてい下水に流すよ。基本的にはウンコと同じ。アルカリ溶液は残るけど、それ以外はもともと有機物だから
- でも死体って結局、水循環に戻るんじゃないの? 火葬で大気に出るか、埋葬で地下水に溶けるかの違いだけで
この画像を大きなサイズで見る日本語では「アクアメーション」は、「水葬」あるいは「水火葬」「無炎火葬」などと訳されることがある。
単に「水葬」と言った場合、遺体をそのまま海などに流すイメージの方が強いせいもあってか、最近はカタカナで「アクアメーション」と呼ばれることも多いようだ。
日本では遺体の処理方法は、基本的に土葬か火葬に限られている。イギリス火葬協会が出している2024年版の国際統計によると、日本では99.8%が火葬にされており、火葬率は実質的に世界一位である。
火葬以外の埋葬方法が禁止されているわけではないが、現時点ではアルカリ加水分解のような方法は、制度として想定されていないと言えるだろう。
また、日本では伝統的に、「火」は不浄を清める役割を担ってきたという背景もある。果たしてこの「水葬」が、日本でも行われるようになる日は来るのだろうか。
死んだら先祖代々のお墓に入る、といったこれまでの「当たり前」が崩れてきた今日この頃。みんなは自分の死後、「こうしてほしい」みたいな希望はあるかな?
References: BBC















Breaking Badのアレ?
鎌倉時代以前の日本の庶民は海辺や川辺に遺棄、或いは外に放置して土に戻していく方式だったかな
早起きは三文の徳と言いまして、家の前で死体が転がっていたらその家の住人が三文分の荼毘を支払う義務がありました。早起きして別のところに死体を移動させることで余計な出費を支払う必要がなくなるので、早起きは三文の徳という言葉ができるぐらい死体で溢れていたそうな
調べても「死体で溢れていた」ような話が由来の説はどこにもないのですが、出典どこですか?
同じような話で「奈良の鹿」の話ならばありましたけど
と言いますが、昔は家の前に…
だね
つかみは間違いなく話さないと、後頑張ってもダメダメ
江戸自体の奈良では「神鹿」が家の前で亡くなっていたら三文払うという話が元説を、勘違いして覚えているようですね
スコットランドで英国初の環境にやさしい遺体処理「水槽」が認められる
水槽認めてなかったのかあ
魚飼えないじゃんん
今までは池のみ許可されてましたね。
今回なんと!水槽が使える!
医大教授の親族が亡くなったときは献体としてすぐ取りに来たな
水葬、魚雷みたいなやつかと思った
薬品で煮るやつじゃん
あるいは大型食器洗浄機
私は死んだら食べてほしいな
家族にも動物にも
いや諸問題で不可なのは知っている
CJ病とか感染症とかね
ただ生き物としては肉を残すのが自然だと思うんだ
海にそのまま投げ入れて食物連鎖に組み入れるものかと思ったら全然違った
それが一番エコだな
インドを見習うべき
環境負荷が少ないなら自分の時はこれがいいな
まあ別にその辺に投げ捨てて貰っても構わないんだけど法律が煩いからね
遺体の自然投棄は実は環境負荷がそこそこでかい
遺体を食べた直後の魚が食卓に並ぶ恐れもあるだろうしなあ
法律だけじゃなくて、疫病もやばいから
なんで葬ることがどの国にも文化としてあるのか考えるとね
放置は心的影響もあるし勘弁してほしいわ
生きながらか、遺体かの違いだけで、やってることはマフィアの処刑とかわらんしな。
完全自然葬はエコっちゃエコだけど遺骨が見つかったときにすわ事件か事故かとなるからねえ…
自分は自然葬がいいかな肥料でいい
火葬は遠慮したいわエネルギーの無駄だし某国に火葬費で金儲けされるのも癪だし
沢山の命を貰って生き永らえてきたんだから、最後くらいは自然にお返しするべきよね
地球と一体になれる感じがしていいなー私も肥料になりたいわ
この肥料って実は人間なんだぜ?って言われたらゾッとするw
『水葬物語』…塚本邦雄かな?
本記事にもある様に、長年の風習や護摩業等から火に対して浄化のイメージあるので、
火葬に抵抗感は無いけど、火葬炉から大切な人の遺骨が出て来た時は、
やっぱり哀しさ一入だよね‥。
水葬もその点は避けられないだろうけど、水に縁のある人だったら、
少しでも故人や遺族に寄り添える手段になるかもしれないね。
なんかやだな。パウダーで帰ってくるのもちょっと。
真っ先に頭に浮かんだのが「オキシジェン・デストロイア」(ゴジラを倒したアレ)
でもアレは骨まで溶かしてしまうんだっけ
確かに、火葬で遺灰にするには大量の化石燃料を消費している
死んだら動植物の養分になりたいんだが…
ちょっと抵抗があるな
なんだか完全犯罪の手法を聞いている気分になった
ミートキューブの作り方はね…
自分は死んだ後はなんでもいい
水葬もいいじゃない
遺体処理より墓を建てるってのが
コストと場所と石を掘る事による環境負荷が大きい
関連記事みたいな項目にもあるけど、結構いろいろな埋葬方法が紹介されているよね
「きのこに分解させる」だとか「木と一緒に植える」だとかさ
個人的には「冷凍粉砕して木と植える」をやってほしい
下水道で汚水として廃水として処理されるのにエコねえ
ディスポーザーで砕いた生ゴミにハイターかけて溶かしましたっていって流してるようなもんだろ
70-80年前まであったシンプルな土葬はダメー?
土葬がダントツで環境負荷が高いって記事に書いてあるでしょ
人口増えすぎて土地がない
やっぱりソイレントグリーンでしょ…
水葬ってか融葬
なんか宅配で送られてきそうだね………
これは薬剤を使うものだろ
本物の水葬ってどんな感じなんだろう
本物の”水葬”って、海でやる奴かな?
キャンバス袋に砲弾とか錘を一緒に入れて海に放り込むんだよ、その後は
その周辺を汽笛を鳴らしながら3回ぐらい回ってそれで終わり。
それから海図にその場所を記入して、その周辺を通るたびに追悼の汽笛を鳴らすって話。
♬ 水に漬けたら土左衛門
成瀬川土左衛門(なるせがわ どざえもん)に例えられるようにアンコ型の力士のようになるそうだ
人は見たことにないが豚は見た
映画で見るような革の浮き袋みたいだった(羊でつくるやつ)
まあ実際、流すときは布を巻いて丁重に送るし、重しを入れるのだろう
死体が溶け込んだ液体をどう処理するのか、化学処理が必要ならそれはそれできっと環境負荷になりそう
℃人もこれでおk
大型犬の死骸処理についてザワついたヤフー知恵袋の投稿を思い出した
日本での呼び方のようだけど「水火葬」「無炎火葬」の字面がちょっと好き
遺体の資源化てなことも・・
真空粉砕して焼却すれば骨まですぐ燃えるんじゃないかな…
骨いらなくない…?
昔、クジラが打ち上げられて骨格標本を作るのに、浜辺に埋めるのと、大きさによっては大きなフタ付きの、長方形の釜があって、お肉を溶かすってやってたな。
クジラの場合だけど、においが強烈らしいよ…。
科学葬儀がいいとおもう
俺は鳥が好きだから鳥葬で!
化学葬だろ、あるべきネーミングとしては。
エコつっても、溶かした後の廃液どうすんだって思ったらやっぱそこはエコじゃないんじゃん
「水に解ける」まではともかく、最終的に自分の体が汚水処理場にいくと思うとなんか嫌な気持ちはある
海を汚すなよ!
日本ではドラム缶で行われたとされる由緒ある処理方法
それよりも姑と同じ墓に入ることが気がかり
SFみたいだな