メインコンテンツにスキップ

ベトナムとの国境沿いの都市に自動バッテリー交換式ヒューマノイドロボットを配備(中国)

記事の本文にスキップ

54件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
image credit:UBTECHRobotics/X
Advertisement

 ついにヒューマノイドロボットのパトロール部隊が現場に投入される。中国が、ベトナムとの国境沿いの都市に配備することを明らかにし、試験運用が開始される予定だという。

 広西チワン族自治区の防城港市と国境導入契約を結んだのは、中国のロボット企業UBTECH Robotics社の最新モデル 、ヒューマノイドロボット「Walker(ウォーカー)S2」 だ。

 このロボットは自らバッテリーを交換することができるため長期勤務が可能となる。主な作業は、旅行者案内や人流データ管理、パトロール、物流支援のほか製造工場での検査員などを行う予定だという。

 実社会へのロボットの導入をく急ぐ中国による、SF超えの急展開をお伝えしよう。

自律バッテリー交換機能で休まず動くWalker S2

 フルサイズの人型ロボット、Walker S2 の初公開は2025年7月のこと。中国の主要ロボット企業であり、杭州に拠点を置く UBTECH Robotics の公式デモ動画で明かされた。

 人間には到底まねできそうもない奇妙な腕の動きによって、自律バッテリー交換を披露。一躍話題となったヒューマノイドロボットだ。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:youtube

ホットスワップ式デュアルバッテリーで電池切れを自らカバー

 UBTECH Robotics 公式によると、ふたたび脚光を浴びたWalker S2 のスペックはざっとこんな感じ。

  • 身長:約1.76 m
  • 重量:約73 kg
  • 最大歩行速度:約2 m/s(約7.2 km/h)
  • 可動自由度:全身52、両手は各11
  • 最大荷重:片腕で15 kg。作業範囲は地面から1.8 mまで
  • 特徴:自律ホットスワップ式デュアルバッテリー、RGBステレオビジョン、BrainNet 2.0+Co-Agent AI、動的バランス制御

 最大の特徴「ホットスワップ式デュアルバッテリー」により、ロボットの弱点である電池切れを自らカバー。

 わずか3分で稼働を再開できるため、理論上は 24時間、365日の稼働が可能。

 さらに、RGBステレオビジョンによる奥行き認識、UBTech 独自の BrainNet 2.0+Co-Agent AI による意思決定、タスク計画、例外処理を搭載。

 工場や物流現場など、複雑な環境でも安定した作業ができるのが強みだ。

Walker S2 – The World’s First Humanoid Robot Capable of Autonomous Battery Swapping

中国とベトナム間の国境で試験運用

 その最先端の Walker S2 が、なんと早くも中国とベトナム間の国境で試験運用されることに。

 11月26日には UBTECH Robotics が、広西チワン族自治区の防城港市における国境導入契約を発表。

 夜には MSCI チャイナ・インデックス への採用が公式SNSで告知され、翌日26日 に国際メディアが契約詳細を報じた。

 こうして短期間のうちに、Walker S2 は「技術デモ」から「社会インフラ導入」へと一気にステージを進めた。

この画像を大きなサイズで見る
 昨年最初の10体のロボットを納入して以来、規模を拡大中のUBTech Robotics。創設者、取締役会長、CEOであるJames Zhou氏は、同社の量産と納入開始に立ち会った image credit:PRNewsfoto/UBTECH

ヒューマノイドシステムの実展開としては過去最大規模

 今回の契約額は 264百万元(約53〜56億円)。この取り組みは、中国政府によるヒューマノイドシステムの実展開としては過去最大規模となる。

 導入にあたり期待されるお仕事は、旅行者案内のみならず、人流データ管理や巡回、物流支援のほか、鉄鋼、銅、アルミニウムの製造工場での検査員など。幅広く担当する。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:youtube

12月から国境配備で年内500台出荷

 UBTECH Robotics チーフ ブランディング責任者マイケル・タム氏によると、Walker S2 の国境配備は2025年12月から。年内に500台出荷予定だ。以後は2027年までに年間1万台規模へと拡大する。

 現在Walker S2 への注目度はきわめて高く、累計受注額はすでに 11億元(約220億円)を超える勢いとのこと。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:youtube

 香港市場では 31.1億香港ドル(約620億円) の資金調達が発表され、その直後、株価が110.60香港ドルへ下落したが、その幅は1%未満に抑えられたという。

 一方タム氏は、現在 Walker S2 への需要が生産をはるかに上回っている点や、今後製造コストが下がる見通しを述べた。

中国のサプライチェーンが人型ロボット工学へと急速にシフトし、上流サプライヤーとの緊密な連携することで、製造コストは年間20〜30%低下すると予想します

 この生産増の根拠としてUBTechは、「中国の先進的な製造能力が、毎年5分の1の生産コストを削減、これにより生産能力が倍増する」と明かしている。

 他のロボット製品同様、このWalker S2も、いずれお手頃価格に落ち着いて普及してゆくのだろうか。

 こちらは11月12日、世界初のヒューマノイドロボット大量納入の完了を告げるWalker S2の動画。再生数43万回超えの注目度である。

UBTECH Walker S2 – World’s First Mass Delivery of Humanoid Robots

関心を集める未来の労働力戦略

 国境に人型ロボットが導入されるとの話題は、SNSでもたちまち拡散。未来の労働力戦略という点でも各国で高い関心を集めているもよう。

 休みなく24時間働けるWalker S2 なら、人手不足が深刻な物流や、夜間対応が必要な介護、公共施設の案内や警備、さらには多言語サービスが必要なシーンでも役に立ちそう。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:UBTECHRobotics/X

AI商業化を急ぐプロジェクトの加速

 今回の合意は、実社会でAI商業化を急ぐ中国のプロジェクトの加速を示唆する。ロボット業界は強力な政策的支援を受け、複数の機関がロボットを日常業務に導入し始めている。

 実際、中国ではすでに空港や政府機関、および主要なイベントでもロボットが導入されつつあるという。

 サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)が引用した中国中央テレビの報道によると、杭州市の杭州蕭山国際空港は、乗客の質問に答えるロボットを導入済みとのこと。

 また今年、天津で開催された、2025年SCO首脳会議では、入国管理局が北京の iBen Intelligence 社によって開発された多言語対応ロボットを採用。また深圳、上海、成都などの都市部では、警察のパトロールロボットまで目撃されている。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:UBTECHRobotics/X

人型ロボット導入でいずれSF超えか

 にしても人型ロボットが国境を守るだなんて、もうSFじゃなくて現実なのか。ロボットがガチな働き手として導入される流れがもうそこまで来てると実感。

 ヒューマノイドロボットといえば、かつては空想上の存在で、二足歩行できた時点で一大ニュースになったものだ。

 それがもはや自分でバッテリーまで交換できるとなると、人手不足を補うどころか、社会のインフラ維持そのものに組み込まれる存在へとシフトするのか。ここまで来たらといずれSF超えちゃうね。

References: SCMP / Interestingengineering

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 54件

コメントを書く

  1. SFの世界をリアルに持ってきてくれる今の中国にはワクワクが止まらない。
    少し遅れてアフリカあたりの国もそうなるのだろうから、自然に溶け込んだ未来都市とか見れそう。

    • -21
    1.  マイナスついているけど、その気持ちはわからんでもないです。 私の場合はドキドキ(悪いほうの予感で心臓が早打ちする感じ、ワクワクは良いほうの予感での心臓の早打ちですよね)します。 立体視ができるようになっているということはヘッドマウントディスプレイを遠隔で使って哨戒ができるってことで、それこと国境警備も可能ということです。 問題を発見したら実働部隊出動みたいな感じね。 反対に人類の福音として考えると視覚が使えるなら歩行困難な障碍者もそういった業務をこなしたりできるとも言えます。 道具は用途によって善悪が決まるので期待はあるのですが、個人的には中華人民共和国の挙動の過去を考えるとどうしてもドキドキするのです

      • +14
  2. なんか気持ち悪さを感じてしまう
    労働力になるというけどその分人間の居場所がなくなるからどうなんだろうね

    • +10
    1. 先行者見てそうやって笑っていたら追い抜かされたんだよなぁ

      • +24
      1. 最先端技術に関してはともかく、しかし現場の運用とか市場に出回る製品の不具合とかは相変わらずいつもの中国ですよ?
        というかそれは中国国内でも問題になってるのに、なんで中国から見て外国である我々がそれに目を向けずむしろ持上げようとしてるんです?

        • +9
      2. いつどこでなにが追い抜かされたんだろうなぁ

        • +4
      3. 貧しかった時代も初期のロボも中国では日本人が笑ってたことになってるの怖いわ

        • -2
  3. わざわざ人間型にするのはなぜだろう?
    たとえば腕は2本より4本にしたほうが作業効率上がるだろうし、頭もてっぺんに付けないで下に付けたほうが重心下がって転倒しにくくなるだろうし

    • +13
    1. 4本の腕の動作最適解を見つけるのにどれぐらいかかりますかね
      自然にもモデルがないしどこから学習させたら良いのやら

      • +5
      1.  人間の脳は柔軟だから、二本の腕に慣れたら次は「猫の手」(今使ってる二本の腕以外でちょっとそこもっててができるくらい)が欲しくなるのではないかと。 そうやって徐々に使える腕が増えるかもしれないと思ってます。 ピアノやタイピングで二本の腕と 10 本の指を駆使するために修練が必要なように、四本腕もやってるうちにできるようになるかもなーと思ってます。 練習して使えるようになったら四本腕利用士、六本腕利用士みたいな資格ができるかもw

        • -3
    2. 社会の全ては人の体に合わせて作られているので
      人の暮らしになじむためには人型が手っ取り早い。
      デカいカニやムカデみたいな体型だと思わぬ所で
      引っかかって対処できなくなる可能性がある。

      • +20
    3. 下についた頭を想像して少しゾワゾワしたw
      と言うか、造形や手足の長さ的に、四足歩行を否定していないように見えるね。

      • +4
    4. 私は4本腕もいいと思う、モデルは昆虫の捕食姿勢
      多少細かいことは出来なくても下の腕には保持と位置合わせをさせるとか
      例えば円軌道で回して上腕の持つ工具が削るとか
      銃の構造を少し変えて撃ちながらマガジンを入れ替えるとかも
      (道具の持ち変えが減るだけでも効果はあるし)

      で頭
      (続く)

      • +5
    5. 人は脳と感覚器が高い位置にある
      でもロボは脳はボディでもいいし体外でもいい
      AIは外から遠隔操作、可能なら3台でも操れる
      センサーは上部が良いが、それ以外に複数あってもいい
      人は視覚情報が70%だというが、ほかに聴覚や身体感覚で補っている
      空間把握を複数のカメラで補ってもいいわけだ(加速度センサーとも組み合わせて)
      作業する腕の先につけて精密さを上げてもいいし、壁のカメラと連動して事故を塞ぐこともでいる
      実際、犬型ロボは頭が無いし、SFでは人型だが頭が無くて胸にあるディスプレイでコミニケーションする機体がよくある(地図を見せたりケータイに送るなども、お金の電子払いも)

      最後に人型の利点
      「人の装備や施設が使えるから」だよ
      そのまま工場に入って作業できる、車や電車、飛行機、エレベーターで移動(乗って、運転して)、銃や防弾ジャケットが使える(消防服でも手術着でも)便所掃除もできる

      • +7
  4. 雇用が無くなって税収が減ってるのに良いのかな
    人間を雇って金を稼がせないと未婚化、少子化が加速すると思うんだがね
    こう言うのは危険だとか人件費の高い国でやるべきじゃないかなあ
    あと国境で盗まれてベトナムで解体されたりしないのかな?

    • +10
    1. AIロボットに金を稼がせれば良い。
      あの国が目指す覇権の前では、人は脆弱すぎる。

      • -3
      1. 最新統計では中共の若者の5人に1人が失業状態

        • 評価
    2. AIが発達して売れて、1人の人間が100人分の仕事できたとしましょう。

      だとするとAI作って売ってる側も大損害ですよ。だって必要として買う人も減るんだから。
      多分この辺色々考えてると思いますけどね、あの業界も。

      • +1
      1. 生成AIの識別問題とか色々見切り発車で動いてるのを見ると、製品出すのが先にあってそれが世に出てどうなるかまで考えてないと思うな

        • 評価
  5. 戦いってロボットに任せてまでやる必要あるものなのかな?
    人間同士で命を賭けない戦いの意義や大義名分って何なのかな?
    私が言ってるのは理想論だとわかっていても、わからないなぁ。
    ロボットカッコいいと思うからロボットが可哀想。

    • -6
    1. 擬人化して可哀そうと言うのはどうも…
      勿体ないとか無駄遣いはわかる

      それでも、すでに無人の各種攻撃機や偵察機が運用され人が殺されているのだから、今さらヒューマロイドロボが投入されたって何も問題はないんだよね

      • +2
  6. 昔の中国と真逆なことをしている

    昔はわざと機械を使わず手作業で作業を行い人民を多数採用することで、仕事を人民に与え潤した
    ワークシェアだ
    今は真逆で人民から仕事を奪い一部の富裕層だけが儲かるシステムを作ろうとしている
    こんな国はいずれ反乱がおきて滅亡するのが歴史だ

    • +8
    1. そんな唐とか漢とかの時代の話を人民とかいう中国共産党用語を使って説明するのはおかしいよね。

      • -2
  7. ロボットは好きだけど、なんか怖いな
    SFに出てくる戦闘用ロボットみたい

    • +2
  8. 国境沿いに配備とか言うから、ベトナムとも戦うのか?と思っちゃった。
    量産化したら安くなるって、その辺がいわゆる「チャイナクオリティ」に繋がらないかな。
    何万台も出荷して、人民の生活の中の一挙手一投足、会話の一言一句まで監視するのかしら?
    どうも、平和利用で終わらない不気味さが拭えないのは、きっと私だけね。

    • +9
  9. いやいや、、、中国の今の失業率を考えろよ。
    人民を雇用してやれよ、、、
    結局、科学技術の発展は富める者をより豊かに、
    兵器への運用などで強い者への権力の集中しか
    生まないんだよなぁ、、、
    子供の頃のワクワク感を返してくれw

    • +7
  10. ベトナム人は賢いから、中国とベトナムの国境でこのロボットを1体ずつ捕獲。捕獲したらすぐさまバッテリーを外し機能を停止させて拉致。
    その後はバラしたり、プログラムを書き換えて販売しそうだな(笑)

    • +6
  11. 隊列組んで歩いてるところを見ると某B1バトルドロイドみたいに「リョウカイリョウカイ」と半角カタカナでしゃべらせたくなる

    • 評価
  12. わざわざ国境付近でやるってのがね…内地の観光地でやりゃ良いじゃんって思うんですけども。

    どこ行っても『我が国の人民や資産を脅かす事象に関して、人民軍を派遣する用意があります』の言い訳を作ってる国ですよ、一帯一路しかりコレもしかと勘ぐって当然よね。

    (意図的)ミスで(摩擦の実例作る為に)国境越えちゃう個体もいるんでないの?

    • +11
    1. 内地の観光地!
      マスゲームでもやればいい人寄せにぬりそう。

      • 評価
  13. 映画の観すぎやろ(笑)
    中国はこれから、武器を持たせるんだろうな。

    • +5
    1. 割とありえる話だと思いますよそれ。
      安くて使えるロボットか世界中で使われだして、それが大体中国製って筋書きが。

      監視カメラが中国製問題、国会でも話題に上がってる中央省庁で使われてる掃除ロボット、実は中国製問題。中国製のEVバスが遠隔操作できる問題だの安全保障上結構怖い話がたくさんありますから。

      • +5
  14. バッテリー外してバラして売るんじゃないの。
    とりあえずは動きを見られるような国境とかじゃないとこで動かした方が良さそうだけど、
    そういうフェーズは過ぎたってことだろうか。

    • 評価
  15. こういう技術を世界に売り出すための宣伝まではわかるが
    自動化などを中国国内でどんどん使い始めるのは大丈夫なの?って思う
    中国って人口めっちゃ多いのだから人雇ってあげた方がよくないの?っていつも思う

    • +5
    1. なんか最近の中国ロボの盛り上がりって、政府の仕掛けじゃなくて民間企業が栄達目的に大暴走した結果らしいよ。
      中国って、儲け口があると一気に人材も投資も集中して、飽和状態になって自爆するようなとこがあるんで、中国政府自体は盛り上がりすぎに危機感持ってて抑えにまわりたいっぽいという記事を海外メディアで見た。

      • 評価
      1. あの国でロボットを製造できる公司に民間企業」というものは存在しない。
        もうちょっとあの国の法律とか制度とか知るべきじゃないかな。

        • 評価
  16. カラーリングが古めかしい。例えて言うならかつてビジホに置いてあったテレビの様な古めかしさ。彼の国のことだから、これから笑えるネタを投下する材料になるんじゃないか。

    この手のもので過大に危険視する人がいるけど、すぐさま対ロボット兵器(機能停止させる腐食性の何かとか、小型EMPとか)が作られるからそんなに心配ないと思う

    • -3
  17. 国境のパトロールって、武器をもたせるのかな? もし殺傷兵器をもつロボットを運用するとなるといろいろ懸念が生じますね。

    • +2
  18. 先行者でよかったのに
    あれは素晴らしいマシンだった
    あれなら評価したがこの動画を見たら映画のアイロボットみたいなマイナスイメージしか生まれない

    • 評価
  19. 見える地雷やな、チャイナボカンシリーズに新たなページが加わる。

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。