この画像を大きなサイズで見る古代ローマの円形闘技場では、剣闘士同士の戦いや人間と動物、動物同士の対決といった「闘技」が公的な娯楽として行われていた。
今回、セルビア考古学研究所を中心とする国際研究チームが発表した新たな研究により、ヨーロッパヒグマが闘技の相手として闘技場に投入されていたことを示す初めての直接的証拠が確認された。
発見された約1700年前のクマの頭蓋骨には、打撃痕や感染の痕跡が残されており、古代ローマにおける動物利用の実態を明らかにする重要な資料となっている。
この研究は、学術誌『Antiquity』(2025年9月1日公開)に掲載された
古代ローマ都市の闘技場でクマの頭蓋骨の断片を発見
2016年、セルビア中部にある古代ローマ都市ヴィミナキウムの円形闘技場付近で行われた発掘調査中に、ヨーロッパヒグマの頭蓋骨の断片が見つかった。
ヴィミナキウムは1世紀に軍事拠点として築かれた都市で、数百年のうちに最大人口約4万人を抱える地方の主要都市へと発展した。
ローマ帝国の多くの都市と同様、ヴィミナキウムにも円形闘技場が建設され、剣闘士同士の戦いや人間と動物、動物同士の戦いといった闘技が市民の娯楽として行われていた。
この画像を大きなサイズで見る闘技に使用された猛獣たち
ローマ人は紀元前3世紀ごろから、支配地であるシチリアや北アフリカ、小アジア(現在のトルコ西部)などからゾウ、ライオン、ヒョウ、ワニといった猛獣を捕獲し、帝国内の都市に輸送していた。
こうした動物の一部は、動物園のような施設で飼育されたのち、強制的な訓練によって人間に従わせられ、最終的には円形闘技場での戦いに投入されたとされている。
この画像を大きなサイズで見る発掘されたクマは現地調達の可能性
今回調査されたクマの頭蓋骨は、骨格の特徴や出土場所から、当時ヴィミナキウム周辺に生息していた在来のヨーロッパヒグマとみられている。
ヒグマ(Ursus arctos)は、ユーラシアから北米にかけて広く分布する大型の哺乳類で、地域ごとにいくつかの亜種に分かれている。
そのうち、ヨーロッパ中部からバルカン半島にかけて分布するのが、ヒグマの亜種であるヨーロッパヒグマ(Ursus arctos arctos)である。
このヒグマは、現在もバルカン地域を中心に生息しており、当時もこの地に自然に存在していたとみられる。
そのため、この個体は遠方から運ばれた外来種ではなく、地元で捕獲されたものだった可能性が高い。
この画像を大きなサイズで見る闘技の種類とクマの役割
古代ローマの円形闘技場では、以下のような形式の闘技が行われていた。
- ムナス(munus):剣闘士同士の戦い。奴隷や罪人が多く出場する公的競技で、もっとも伝統的な形式
- ヴェナティオ(venatio):人間と動物が戦う形式。狩猟を模した演出が特徴で、観客から高い人気を集めた
- ベスティアリウス(bestiarius):動物と戦う専門の戦士(ベスティアリ)による競技。訓練された者が猛獣と戦う
ヨーロッパヒグマも、ヴェナティオかベスティアリウスのいずれかに投入され、人間あるいは他の動物と戦う場面に使われていたと考えられている。
この画像を大きなサイズで見るクマの頭蓋骨が物語る闘技の実態
発見されたヨーロッパヒグマの頭蓋骨は、6歳のオスのもので、前頭骨には槍や棍棒のような武器で受けたとみられる大きな外傷が確認された。
この傷は致命傷ではなく、治癒しかけていた形跡があったが、感染症を併発し、骨髄炎へと進行していたことが明らかになった。顎の骨にも炎症の痕が残されていた。
さらに、犬歯が異常なほど摩耗しており、これは檻の鉄格子を長期間噛み続けた痕跡と考えられる。
研究者らは、このような歯の状態は、飼育下における慢性的なストレスや栄養不足、自然な摂食行動の欠如によるものであると推測している。
これらの証拠から、このクマは短期間の展示や演目に使われただけではなく、長期間にわたって繰り返し闘技に投入されていた可能性が高いとみられている。
この画像を大きなサイズで見るImage credit: Antiquity (2025). DOI: 10.15184/aqy.2025.10173
物的証拠としての意義
古代ローマにおける動物との闘技については、これまでも多くの文献や美術作品に記録が残されていたが、実際に人間と動物、または動物同士の戦いが行われたことを裏付ける直接的な物理的証拠は非常に少なかった。
2025年には、イギリスで発掘された剣闘士の骨盤にライオンの咬傷痕が確認され、人と動物の戦いを示す初の骨格証拠として注目を集めた。
今回のヨーロッパヒグマの頭蓋骨の発見は、動物側の視点から闘技への関与を示す貴重な実例であり、古代ローマの娯楽文化や動物利用の実態を知るうえで、きわめて重要な考古学的資料となっている。
研究チームは、このクマが闘技中に死亡したかどうかは断定していないが、傷の性質と感染症の進行状況から、闘技で負った外傷が死因に深く関わっていた可能性が高いと結論づけている。
References: Cambridge / Smithsonianmag / PHYS
















本当に戦っていたんだ
人間は勝てたんだろうか
例の画像のように後ろに回り込んでチョーク・スリーパー。脚で胴体をロックして絞め落としたのかしらね
富裕層がやるトロフィーハンティングなんかよりも棍棒で熊と戦う戦士の方が万倍カッコイイ。
まあ無理やりやらされてる奴隷とかなんだろうけども。
リアルゴールデンカムイ
かわいそうすぎる
いくら訓練しても熊に勝てる気がしない…
ミトリダテス戦争中テミスキュラという街ではローマ軍が掘っていた坑道に籠城側が対抗坑道からクマその他の猛獣や蜂を放ったという事例があった。穴の中スコップやツルハシでどう戦ったんだろうか⋯
かわいそうに。無学な大衆娯楽は残酷だよね。
犬歯が酷く摩耗してるのは檻をガリガリ噛んだというよりは万全の尖った状態の歯では奴隷たちが一瞬でかみ殺されて終わってしまって面白くないからハンデとして折ったり削ったりした可能性が。
前に見たピットブルみたいな犬と熊のバトル(見世物)だと犬が簡単にやられてしまわないように熊の牙も爪も折られてたようなのでね。
そして現在・・ 🐻「江戸の仇を長崎で」
逆に言えばいくらナチュラルに屈強な身体を持った古代人でも武装もせずに野獣と戦うような真似はしなかったって話
たまにフィクションで鍛えた武闘家とかが素手で猛獣倒す話とか出てくるとフィクションとはいえリアリティ無さすぎて笑っちゃうけど
アメリカとかで本当に手ぶらで動物との対等な戦いが可能だとネタ抜きで思い込んでる人とか見るといずれ大変な目に合うんだろうなって思う
ちなみにそういうフィクションで素手で動物を倒す物語の魁と言える一つがヘーラクレースの神話なんだけど、ヘーラクレースの場合半分神の血筋な上に女神ヘーラの乳を直飲みしてて神性が強化されたケースなので逆に素手でライオン見たな猛獣を制圧するなど神の子でもない限り不可能と思ってたという認識を持ってたことが伺える
>たまにフィクションで鍛えた武闘家とかが素手で猛獣倒す話とか出てくるとフィクションとはいえリアリティ無さすぎて
「倒す」というか、「撃退(遭遇 ⇒ 虚を突いて攻撃(投げ技など) ⇒ 面喰って撤退)」ぐらいなら、現代でも稀にニュースであったりはする。ツキノワグマだと ヒグマとは体格が全然違って成人に近く、まだしも重心移動での格闘技が効く場合もあるし、野生動物は闘争で不利を感じたとき 逃走へ転じる判断が素早かったりするし。ただ、不意の一発で 大事をとって撤退しておく個体か、よけいに逆上して攻撃的になるかは、多分に運の要素が強く(というか、反撃の可能性のほうが高いと思う)、人間側が無用な挑発を避けるべきなのは間違いないけど。
コロッセオって以前は植物が茂ってたらしいね
それも異国の植物が
つまり、捕獲されてきた動物たちから落ちた種が育ったんじゃないかと言われてる
猛獣に人間が食われるのを見る古代と近年の素行の悪い人間ばかり集めた格闘興行
人間が欲しがるのってあんま変わらないんだな
ハンデはあったらしい
古来ブルドック犬4頭と雄牛1頭とか聞いたことが
おそらく熊なら武装した人が2〜4人とかでないと賭けが成立しないだろう
どうやって捕獲したのか気になるな
コロッセオにはエレベ―ターもあるくらいだから
何らかの篭罠くらい作れたのでは?
どこまで金属製かはわからないけど
鎖とバネ、錠は可能なはず
ヘミングウェイの著書『午後の死』というスペインの闘牛ドキュメンタリー的な作品で、闘牛士を乗せて重傷を負った馬に雑な治療を施してすぐに再出場させる描写があった。
この熊が闘技中に命を落としたのでないのだとしたら、やはり辛うじて闘いを勝ち抜いても死ぬまで闘わされる運命だったんかなーと。
酷い話や