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古代ローマの剣闘士が死を待っていた独房をイギリスで発見

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(著) (編集)

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 古代ローマの闘技場には、死を待つ罪人や剣闘士用の待機部屋があった。闘技場には、彼らの死を見ようと血に飢えた熱狂的な群衆が集まってくる。

 そんな闘技場の監房のひとつが、最近、イギリス、ケント州サンドウイッチ近くの海岸町、リッチバラで発掘された。

 この監房は、ローマがブリタニアを支配し始めたころの紀元1世紀ごろにつくられたと、研究者は考えている。200年ほどの間、実際に使われ、3世紀には廃墟となったと思われる。

円形闘技場で行われるイベントは最大の娯楽

 かつて、古代ローマ時代の居住地であったルトピアエの西はずれに建てられた巨大な円形闘技場(現在のイギリス・ケント州サンドウイッチ、リッチバラ)では、剣闘士同士の試合や、剣闘士vs野獣の戦い、ときに犯罪人の処刑などが公開され、壮大な娯楽として5000人の観衆を大いに楽しませた。

 こうしたイベントは、特別な催しとして地元や周辺の人々を惹きつけた。

「これらは公共の見世物で、現代に置き換えてみれば、娯楽超大作映画を観に行くのと同じことだったのです」イングリッシュ・ヘリテッジのポール・パティソン氏は言う。

 歴史家たちの間では、ルトピアエは、紀元43年、ローマ帝国のクラウディウス一世がブリタニア(イギリスの古称)に侵攻して上陸し、州をつくった地域という点で意見が一致している。

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photo by iStock

今年9月に発掘作業が再開

 1849年にごく一部が発掘されて以来、知られるようになったこの円形闘技場の発掘は、去年はコロナのせいで中断されていた。今年9月に発掘作業が再開され、新たに多くの発見があった。

 ルトピアエのローマ人居住区は、1世紀にローマ人がブリタニアに上陸してからすぐに開発されたとされている。5世紀始めににローマ人が引きあげるまで、ここは繁栄し続けた。

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発掘作業中の円形闘技場 / image credit: Jim Holden/English Heritage

ペットとして飼われていた猫の完璧な遺骨も発見

 新たな発見のうち、もっとも興味深いもののひとつは、飼われていたと思われる猫のほぼ完璧な遺骨だ。

 研究者たちは、この猫にマクシムスと名づけた。映画『グラディエーター』の中で、ラッセル・クロウが演じたキャラクターと同名のこの猫は、尻尾の一部が欠けただけの完璧な姿で見つかった。

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マクシムスと名づけられた猫の頭蓋骨 / image credit:Jim Holden/English Heritage

 DNA分析の結果、ブリタニアの野生猫は紀元43年のローマ征服前から生息してが、飼い猫はその後持ち込まれたことがわかった。

「普通なら、捕食者によって体がバラバラにされたのではないかと思うかもしれませんが、残っていたマクシムスの骨はほぼ完璧でした。まるで、荒らされないように意図的に安置されたかのようでした」パティソン氏は語る。

 人は動物をペットとして飼いたがるものだが、当時は現代の私たちほど動物を溺愛したわけではなかったようだ。家の中で飼っていたかどうかすら、意見の分かれるところなのだという。

 研究者たちは、マクシムスは円形闘技場とはとくに関係はなかったのではないかとみている。マクシムスは、闘技場が使われなくなってからおよそ100年もあとの紀元4世紀ごろに死んだと思われるからだ。

1世紀ごろに使用されていた鮮やかな装飾の闘技場

 このとてつもなく大きな闘技場は、こうした血塗られたエンターテイメントが人気があったことの証だ。

 闘技場の外壁の幅はおよそ6メートルで、芝を積み重ねて作られていた。内壁は、地元で切り出されたチョークのブロックでできていて、表面は下塗りされた上に漆喰で仕上げられていた。

 イングリッシュ・ヘリテッジによると、建築材としてチョークや芝が使われているのがわかったのは、とてもエキサイティングなことで、円形闘技場が1世紀のものであることを特定する助けになったという。

 内壁には、鮮やかな赤と青の塗料の痕跡が見つかり、ブリタニアの円形闘技場としては珍しいことだ。これまで発掘されているブリタニアの闘技場では、こうした装飾の痕跡は15~16例しか見つかっていない。

赤、黄、黒、青の垂直線と水平線があることから、長方形に区切られた箇所に絵が連続していくつも描かれていたのではないかと考えています。

もともとは闘技場でのさまざまな出来事を描いた絵があったのではないでしょうか。まだ、細かいことはわかっていませんが、絵の具の痕跡があるのは、幸先のいいスタートでしょう。

壁のごく一部しか発掘されていないことを考えると、周辺のほかの場所にも、より保存状態のいい絵があることを予感させます。とても期待しています(パティソン氏)

死を待つ剣闘士たちが待機した独房を発見

 ほかにも、ドアがひとつしかない、幅1.82メートルの小さな監房が見つかった。おそらく、ここは、闘技場に放たれる前に野生動物や剣闘士を閉じこめておく待機部屋だったのだろう。

 硬貨、個人の装飾品、陶器の破片、屠殺された動物の骨なども見つかっていて、リッチバラの町がブリタニアのローマ占領時代を通じて、民間人によって支配されていたことが示す証拠といえる。人々が町にどのように定住し、発展していったのかを示す助けにもなっている。

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発掘中に発見されたローマのコイン / image credit:Jim Holden/English Heritage

 リッチバラの近くにある砦は、ローマ人にとって重要だったことは知られていて、最近の出土品は、砦の外側の町もまた、ローマ人のブリタニア支配が終わるまで、継続的に人が住んでいた可能性があることを示している。

References:Holding Cell Where Roman Gladiators Awaited Death Found in Britain | Ancient Origins / ‘Rare find’: amphitheatre dig in Kent paints picture of Roman town | Roman Britain | The Guardian / written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 9件

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  1. なぜ死を待っていたと断定するのだろう?

    勝てばいいじゃん

    • -12
    1. ※2
      君は来年夏の自由研究で剣闘士の勝率・生存率・負傷率・何年生きてられるかを研究発表するといいんじゃない?

      • +5
      1. ※6
        諦めるなよ・・・どうして自分が負けるって決めつけるんだよ。
        ダメダメダメ。 も っ と 熱 く な れ よ !!
        苦しかった練習のことを思いだせよ ! 一緒に練習してくれたライオンのことを思い出せって !
        応援してくれるフェニキア人のことも考えてみろよ ! きっと頑張れる。
        だから、ネ バ ー ギ ブ ア ッ プ ! !

        • -5
    2. >>2
      ていうか負けてもあんま死ななかったりするよ、結構誤解され気味だけど

      あんま死なねぇしめっちゃモテるしってんで、次から次へと貴族が剣闘士にジョブチェンジしまくるもんだから、一時期はジョブチェンジ禁止令が出されたほどだし
      つっても死の危険があるのは事実だけども

      • +2
  2. テルマエロマエで見た事ある。血生臭いイベントが好きなのは人とチンパンジー……

    • 評価
  3. ネコの頭蓋骨「やっと見付けてくれたニャ・・・」

    • +3
  4. 「巨大な円形闘技場」と言われても東京ドーム何個分かで言ってくれないとわからない。

    • -4
  5. クラウディウス時代なら主人に意味もなく奴隷を剣闘士として売り飛ばしたり
    病を持った奴隷を殺さず看病しなければならないと定めたティベリウスの後なので
    割とましな境遇だったんじゃないですかね
    ローマ建国以来最高度の戦争の天才だったのに戦争が嫌いだったり
    血の流れる剣闘士試合が嫌いだったり妙な皇帝ではありましたが

    • +4

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