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インフルエンザ感染を発症前に味で検知、天然ハーブ由来のガムが開発される

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(著)

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Photo by:iStock
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 インフルエンザのやっかいな点のひとつは、症状が出る前にすでに感染していることだ。潜伏期間は1日から3日ほどあり、自分でも気が付かないうちに、他者にウイルスを広めてしまっている可能性がある。

そんな無自覚の感染拡大を防ぐために、噛んで味を確かめることで、発症前のインフルエンザ感染を検知できるガムがドイツで開発された。

使用されているのは、香辛料の一種でハーブとしてよく知られる「タイム」に含まれる成分と同じ構造を持つ化合物だ。

感染している場合、このガムを噛むと、タイム特有のスパイシーな味と香りが口の中に突然広がる。逆に、感染していなければこの味は感じられないという。

 この研究成果は『ACS Central Science』誌(2025年10月1日付)に発表された

発症前の感染を見逃してしまう現在の検査キットの限界

 現在市販されているインフルエンザの簡易検査キットは、COVID-19の抗原検査と同様に自宅で簡単に使用でき、両方のウイルスを同時に調べられるタイプも登場している。

 しかしこうした検査キットは、発熱や咳などの症状が現れた後でなければ正しく反応しない。つまり、感染していても症状が出ていない段階では、検査では陰性となる可能性が高い。

 発症前の段階でウイルスを検出できる高感度の検査法も存在するが、それらは高価で、結果が出るまでに時間もかかるため、日常的な使用には向かない。

 特に感染の広がりを未然に防ぎたい医療や介護の現場では、もっと即時性と手軽さを兼ね備えた方法が求められている。

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インフルエンザウイルス Photo by:iStock

ガムを噛んで味を確認、発症前の手軽な検査が可能に

 そこで登場したのが、噛んでその味を確認するだけで、症状が出る前に感染しているかどうかを確かめることができるガムだ。

 ドイツのヴュルツブルク大学のロレンツ・マイネル教授らの研究チームでは、「ノイラミニダーゼ」というインフルエンザウイルスに含まれる酵素に注目した。

 この酵素は、H1N1型などの型名にある「N」の部分であり、ウイルスが細胞に感染する際に使われる。

 研究チームは、このノイラミニダーゼを用いて、タイムに含まれる香り成分「チモール(thymol)」と同じ構造を持つ化合物をガムに組み込んだ。

 チモールは、抗菌・抗真菌作用を持つフェノール系の香気成分で、うがい薬や歯磨き粉、食品添加物などにも使用されてきた実績がある。

 風味が強く、微量でも味覚として認識されやすいのが特徴だ。

 インフルエンザに感染していない場合、チモールはガム内部に封じ込められており、味はしない。

 しかし、感染している人がガムを噛むと、発症前でも、口腔内に存在するウイルスのネウラミニダーゼが活性化し、チモールの結合を切断し、成分が放出されることで、タイム特有の香りと味が舌に届く。これが、感染のサインとなる。

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© 2025 The Authors. Published by American Chemical Society CC-BY 4.0

感染者の唾液を使った実験で効果を確認

 研究チームは、インフルエンザに感染した患者から採取した唾液を使って実験を行ったところ、30分以内に味覚変化が起きることを確認した。

 これは、ウイルスのノイラミニダーゼ酵素が働いている唾液環境でチモールが放出されたことを示している。

 今後2年以内には、唾液ではなく、実際に人を対象とした臨床試験が開始される予定で、実用化に向けた準備が進められている。

 この技術は、感染リスクの高い医療機関や福祉施設、学校や職場などにおいて、日常的に使える早期検出ツールとしての活用が期待されている。

 検査キットで陰性と出たのに実は感染していた、なんてケースはよくあったが、このガムを噛むだけで、発症前の感染が発見できるのなら、感染拡大予防に大きな効果が期待できるかもしれない。

追記:2025/10/08:誤字を訂正して再送します。

References: ACS / Eurekalert

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この記事へのコメント 29件

コメントを書く

  1. この間テレビでやっていたんだけれど 今年は今、この時期にもうインフルエンザが出始めているんだってね また長期流行が始まったらしんどいな

    • +4
    1.  英語で thyme って書きます。 時間の方のタイムは time ですね。
       しかし、面白い発見からの発明になるといいな。 一日の終わりとか寝る前にかんで確認するって感じかなぁ。

      • +6
    2. スーパーに行くとスパイスコーナーに普通にあるよ
      雑に店の味になるからオススメ

      • +7
    3. 英民謡のスカボローフェアの歌詞にあるね>タイム

      • +3
  2. 素晴らしい発明だけど、コストはどうなんだろう?
    大量生産できるなら感染症対策の要として期待したいですね。

    • +5
  3. 味のしないガムを一日中噛み続けるのか

    • 評価
    1. 感染して口中にウイルスが出てくるまでに時間がかかるんだから
      朝に噛めば十分だろう

      • 評価
    2. 気が向いた時や予感がした時に噛むものじゃないかなw
      発症前のウイルスキャリアの状態って発症後よりも長いので時々噛むだけで当たる。

      • +16
  4. 牛丼がウマいと感じられなくなったら
    ほぼインフルエンザを発症している。

    • +5
  5. ウイルスのノイラミニダーゼ酵素があれば
    対応するノイラミニダーゼ基質を分解するわけだ
    それにチモール分子を結合させておけば
    チモール分子だけになってノイラミニダーゼ酵素があることがわかるということか
    インフルエンザウイルス以外の可能性もあるが
    口中にいる病原体である可能性は大なので
    外出を避けたりマスクをしたりするべきなのは変わらないな

    • +12
  6. >症状が出る前にすでに感染していること
    当たり前だろww 感染前に症状が出る病気なんかあるかよ。

    • -15
    1. 恋の病は症状出るぞ
      ある意味インフルエンザよりもたちが悪いが、感染したところで
      どうでもいいや(適当)

      • +6
    2. 感染してから症状が出るまでの間にチェックしたいんやで…

      • +21
  7. 😎言動や行動が、社会的に影響力を持ち始めたら

    • 評価
  8. イグ・ノーベル賞候補かもw

    自分の場合はビールの味に違和感がある時に体調変化を自覚するので、原理としては同じなんだろう

    • +1
  9. ハーブ・スパイスとして売ってるタイムを齧っても同じことが起こるなら齧ってみたいな

    • 評価
  10. 出勤したらタイムカード押す前にガムな!
    …ってなるのかな?

    • +3
    1. 出勤中にウイルスをバラまいてどうするんだよ

      • +2
    1. タイムの香気だそうなので鼻のほうが重要だよ
      味というのは臭いとの複合なので鼻もダメになっている可能性が大で
      ガス漏れに気が付かないというほうが心配だね

      • +2
  11. 最後の一文、「感染拡大に大きな効果が期待できるかもしれない」じゃだめでしょ

    • -2
  12. 課題は味がするかしないかの判断が自己申告に頼るしかないって点かな
    仕事を休むために味がすると言ったり、遊びに行きたいから味がしないと言ったり…

    • +4
  13. 人間のインフルより鳥インフル対策を何とか
    してほしいなぁ。
    この物価高、もし卵の値段が爆上がりしたら
    国民の栄養摂取に致命的、飲食店も倒産が
    増えるだろうしなぁ。ハゲも増える、、、

    • 評価
    1. 鳥インフルより人間のインフルの方が経済への悪影響が少ないと思ってる発想が謎
      人間のインフルを舐めすぎでは?

      • 評価
  14. 鼻の奥に綿棒突っ込むより遥かに楽そうだから早く出回ってほしいもんだ

    • 評価

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