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天の川銀河に広がる巨大な波動、星々を揺り動かす宇宙規模の現象

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(著)

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天の川銀河の構造を描いたイラスト。約130億年前に誕生した棒渦巻銀河で、数千億個の恒星が存在している。この画像を大きなサイズで見る
天の川の構造を描いたイラスト  / Image credit:ESA/Gaia/DPAC, S. Payne-Wardenaar CC BY-SA 3.0 IGO
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 天の川銀河は、我々が暮らす地球のある太陽系を含む、直径およそ10万光年の巨大な円盤状の銀河だ。無数の恒星やガス、塵が重力のもとで渦巻いている。

 その銀河に、これまで知られていなかった「巨大な波動」が広がっていることが、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のガイア宇宙望遠鏡の観測によって明らかになった。

 この波動は銀河の中心から外側へと伝わり、星々を上下に揺り動かしながら広がっているという。

 恒星の運動を詳しく解析する中で浮かび上がったこの謎の波動現象に、科学者たちは強い関心を寄せている。

天の川銀河の内部で大きな波動が広がっていた

 私たちの住む天の川銀河は、円盤状の構造を持ち、中心には「銀河バルジ」と呼ばれる膨らみがあり、その周囲を何本もの渦巻き腕が取り囲んでいる。

 太陽系はその中にある小規模な渦状腕の1つ「オリオン腕」に位置している。外縁部はわずかに湾曲しており、銀河全体は重力のバランスでダイナミックに回転している。

 2025年、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)がガイア宇宙望遠鏡の最新データをもとに分析を行ったところ、天の川銀河では星々やガス、塵が大規模な波動運動に巻き込まれていることが明らかになった。

 2万個以上の若い恒星の位置と運動を精密に解析した結果、これらの星々が銀河の中心から外側に向かって、半径方向および垂直方向に系統的な動きをしていることが判明した。

 まるで銀河の中を波動が伝わり、星々が上下に揺れながら漂っているかのような様子だ。この波動は中心からおよそ3万〜6万5000光年にわたって広がっており、天の川銀河の半分近くを覆っている。

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ESAのガイア宇宙望遠鏡の観測により、天の川銀河の中心から外側に向かって広がる巨大な波動の存在が明らかになった。この画像は銀河を横から見た視点で、赤い部分では星が銀河円盤より上に、青い部分では下に分布していることを示している。白い矢印は波動に乗った星々の動きを示しており、運動のピーク(矢印)と実際の位置のゆがみ(赤・青の領域)とが、わずかにずれているのが見てとれる。 / Image credit:ESA/Gaia/DPAC, S. Payne-Wardenaar, E. Poggio et al (2025)

波動の起源は矮小銀河を飲み込んだから?

 この波動はなぜ生じたのか?研究チームは、いくつかの仮説を挙げている。

 そのひとつが、かつて天の川銀河が「矮小銀河」を取り込んだ、あるいは近くを通過されたことによって引き起こされたという説だ。

 矮小銀河とは、天の川銀河のような大型の銀河に比べて非常に小規模な銀河で、星の数も質量も桁違いに少ない。

 天の川銀河の周囲にはこうした矮小銀河がいくつも存在しており、過去にもいくつかを重力的に取り込んできたと考えられている。

 このような衝突や接近の際には、天の川銀河内部の重力バランスが乱れ、星々が波動状に運動する現象が発生するとシミュレーションでも示されている。

 もし今回の波動がその名残であるとすれば、私たちの銀河は、かつて別の銀河を“飲み込んだ”記憶をいまもなおその内部に刻んでいるということになる。

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天の川銀河の中心から外側へ広がる巨大な波動。この図はその予想外の波動を示したもので、ガイアが作成した銀河全体の俯瞰図の上に、数千個の明るい恒星の位置が重ねて表示されている。 / Image credit:SA/Gaia/DPAC, S. Payne-Wardenaar, E. Poggio et al (2025)

ラドクリフ波との関連は?

 もうひとつ検討されたのが、「ラドクリフ波(Radcliffe Wave)」との関係である。

 ラドクリフ波とは、太陽系から約500光年の距離に存在する星間ガスの巨大な帯状構造で、オリオン腕の中に広がっている。全長は約9000光年におよび、2019年に発見された比較的新しい構造だ。

 このラドクリフ波もまた、波のような形状を持ち、星の形成が活発な領域とされている。

 だが研究チームによれば、今回観測された波動とはスケールも位置も大きく異なっている。

 ラドクリフ波が天の川銀河のごく一部に見られる現象であるのに対し、今回の波動は銀河の中心から広範囲に及ぶ大規模な構造であり、両者に直接の関係はないとみられている。

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約130億年前に誕生したとされる天の川銀河の構造を描いたイメージ図。中心に棒状の構造を持つ「棒渦巻銀河」に分類され、数千億個の恒星が存在している。

天の川銀河は見えない波動で満ちている

 ガイア宇宙望遠鏡は、恒星の位置と運動を三次元的に極めて高精度で測定できる画期的な装置であり、2013年から2025年まで観測を行ってきた。

 その成果は天文学における常識を塗り替え、天の川銀河の構造や進化の解明に大きく貢献している。

 今回明らかになった波動現象は、私たちの銀河系は、内部で巨大な波動が巡り、絶えず変化と運動を繰り返しているダイナミックな天体であることを示している。

 天の川銀河は、見えないエネルギーのうねりに包まれた、まだまだ未知の存在だなのだ。

 この研究成果は『Astronomy & Astrophysics』誌(2025年7月14日付)に掲載された。

References: Aanda / Eurekalert

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この記事へのコメント 10件

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  1. とりあえず今自分の顔が宇宙猫になってる事だけは分かった

    • -1
  2. マゼラン雲みたいなのが過去にぶつかったのか。星々の密度は大した事ないから意外と無難に混ざったかもしれないけどその宙域に知的生命体がいたら夜空がすごいことになってただろうな。

    • 評価
  3. 宇宙はいわゆるエーテルで満たされているからだよ。
    エーテルを通じて波動が伝わってるだけ。さざなみと同じ。
    エーテルというから似非科学と皆はいうが、普通に暗黒物質、あるいは真空力(空間を形成している基礎エネルギー)と言えばいい。
    そうだと仮定すれば、ほとんどの宇宙の謎は解けてしまうのに、なぜか頑なにこうした論を退けようとする勢力があるよね。

    • -6
  4. 水面に水滴落としたみたいに波紋が広がってるのか
    銀河規模の波紋とか凄まじいな

    吸血鬼が実在しない理由はこれか

    • -1
  5. とてつもなくでかくて絶対に歪まない硬い板に天体が貼り付いているわけじゃないんだから多少の揺らぎはあるだろうし、でかい天体が揺らげば付近の天体も重力で影響を受ける
    そんな感じの話なんじゃないかな

    • 評価
  6. 宇宙の見えない観測出来ない質量のひとつダークエネルギー?

    • 評価
  7. こんなにマクロな銀河でも池の水面に小石投げて波紋が立つみたいな現象が起きてんのね

    • +2

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