メインコンテンツにスキップ

天の川銀河の中心から無数に伸びる謎の糸。超大質量ブラックホールによって作られた可能性

記事の本文にスキップ

13件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 米ノースウェスタン大学の天体物理学者ファルハド・ユセフ・ザデ氏が銀河の中心を調べていたところ、糸状のものが無数に伸びていることを発見した。

 宇宙に糸状の構造「フィラメント」があることは以前から知られており、かつて中心から縦に垂れ下がるフィラメントが見つかっている。

 だが、今回のものは水平方向へ放射状に広がる珍しいものだったのだ。

 このフィラメントをたどると、天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール「いて座A*」の存在が浮かび上がってくる。これらの謎のフィラメントはブラックホールから作り出された可能性があるという。

天の川銀河の中心から無数に伸びる謎の糸、フィラメント

 今回、天の川の中心部で新たに発見されたフィラメント(ひも状の構造)は、これまで発見されてきたものとは異なっていた。

 今回のフィラメントは、南アフリカにあるMeerKAT電波望遠鏡の観測データから発見された。

 ユセフ・ザデ氏らがその縦長フィラメントを見やすくするためにデータを整理したところ、期せずして浮かび上がってきたのだ。

この画像を大きなサイズで見る
天の川銀河の中心で観測された無数のフィラメント状構造 / image credit:Farhad Yusef-Zadeh/Northwestern University

 宇宙のフィラメント自体は、目新しいものではなく、ユセフ・ザデ氏らは、1980年代にも銀河中心から垂れ下がる長さ150光年のひものような磁気構造を1000本も観察している。

 だが、それはこれまでとは違うものだった。数百ものフィラメントが、縦に垂れ下がるのではなく、銀河の面に対して水平に伸びてたのだ。

 それぞれの長さは5~10光年と短く、線というよりは点線を思わせるものだった。

 どのフィラメントも磁気を帯びているが、縦長のものが粒子を光速近くまで加速しているのに対し、横長のものは熱放射を出しているようだ。

 また縦長フィラメントが銀河の中心をかこむように平行に並んでいるのに対して、横長フィラメントは銀河中心の片側から放射状に広がっている。

 その根本は天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール「いて座A*」を向いており、これとの関連性をにおわせている。

この画像を大きなサイズで見る
横長フィラメントは超大質量ブラックホール「いて座A*」から放射状に広がっている / image credit:Farhad Yusef-Zadeh/Northwestern University

大質量ブラックホールによって作られた可能性

 いて座A*が貪欲に物質を飲み込むとき、周囲から噴出するジェットによって放射状の流出が生じる。横長フィラメントはこれによって作られたと考えられている。

 ブラックホールの巨大な重力は、その周囲にある物質を引き寄せ、飲み込んでしまう。

 だがそこに落下する物質すべてが事象の地平面の向こうに行ってしまうわけではない。その一部は、磁力線に沿って加速され、光速に近い超スピードのジェットとなって宇宙に放出される。

 そして今回の放射状に広がる横長フィラメントは、こうしていて座A*から流出する物質の圧力(ラム圧)によって形成された可能性があるという。

(ブラックホールの)数百万年前の活動である種の流出が生じました。これによって形成された違いないと考えています。おそらく流出した物質とその近くの物体との相互作用によってできたのでしょう(ユセフ・ザデ氏)

 横長フィラメントの範囲と位置からは、原因となった活動はおよそ600万年前に起きただろうことが推測されている。

この画像を大きなサイズで見る
いて座A*から噴出するジェットの流出によって形成されたと考えられている / image credit:Farhad Yusef-Zadeh/Northwestern University

謎に包まれた天の川銀河中心部

 天体観測技術が進歩するにつれて、天の川の中心ではこれまで知られていなかった構造が浮かび上がってきている。

 つまりは、そこで一体何が起きているのか、天文学者はまだ理解しきれていないということだ。

 ユセフ・ザデ氏も「私たちの仕事は決して完全ではありません」とそのことを認めている。だからこそ、これからも観測を続け、さらにくわしく分析を重ねる必要があるのだそうだ。

 この研究は『The Astrophysical Journal Letters』(2023年6月2日付)で発表された。

References:Hundreds of Mystery Structures Found at The Heart of The Milky Way : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1. フィラメント状の何が見つかったの?
    電波?ガンマ線?熱源?

    • -1
  2. フィラメントなんて聞くと日本人的には電球のアレしか思い浮かばなかったが抑々「糸」みたいな意味合いだったんだな

    • +2
  3. 宇宙はよくわからんけど
    天の川銀河の中心が宇宙の中心であり始まりと
    思ってええのんか?

    • -3
  4. フィラメントなんて言葉使ってるけど、太さは地球よりでかそうですなあ。5~10光年で短いというスケール感な。

    • +3
  5. 一気に大きな恒星を飲み込もうとした時に、中身がビュッっと出ちゃうような感じ?
    と勝手に妄想

    • 評価
    1. >>8
      ブラックホールも自転している(正確には角運動量を持っている)。
      そこにそこそこの質量を持つ天体が落ち込むと、その天体もBHほどではないにせよ、
      それなりのポテンシャルエネルギーとかの物理的パラメータを持ってるから
      全てが事象の地平面に落ちるわけではなくて一部はBHの重力から逃れられる。
      そしてその一部がBHの自転軸に例えた場合の赤道上でスイングバイの様に超加速されて、
      それらがほぼランダムなタイミングでまとまった量が水平方向に放射される。
      その放射物のひとかたまりは加速の際にそれぞれ一定の割合で同じベクトルを与えられるから、
      今回のように(自転するBHから見て)同じ二次元平面上に放射、すなわち糸状のジェットになって観測される。
      ってからくり。

      • +2
  6. ブラックホールに飲み込まれた天体の長く引き伸ばされた残骸かな

    • 評価
  7. ブラックホールには何も落ちない
    事象の地平面の手前に磁力ストリームがあって、重力崩壊してガス状になった天体は全てそこに吸着する
    重力より磁力の方が強いから
    磁力ストリームで熱せられた物質は光崩壊によって全て水素まで核分裂してジェットとして放出される
    放射状に広がる物質は、磁場ストリームで起きた爆発の影響で吹き飛ばされた膠着円盤の一部
    これらの物質はまだ核分裂は起きていないので、崩壊した天体の主成分が検出されやすい

    ブラックホールは全てを吸い込むと勘違いされがちだけど
    それは重力ブラックホールという理論上の振る舞いで、実際のブラックホールには磁力も存在する

    • 評価
  8. 天の川銀河で発見されたのは初めてだけど
    他の銀河ではよく発見されてる
    天の川銀河に属する伴銀河やマゼラン雲などは、宇宙ジェットが元になって作られたものとも考えられる
    伴銀河などには鉄などが少ない種族II恒星が多く軽元素比率が高い

    • 評価
  9. ブラックホールは宇宙のわたあめ製造機だったのか

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

画像

画像についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。