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インフルエンザが他のウイルスと合体し、感染力を強化した「ハイブリッドウイルス」が誕生していたことを初確認

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(著) (編集)

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 ウイルスは変異するだけではない。合体して新たな能力を獲得することもあるという事実が新たに確認された。

 『Nature Microbiology』(2022年10月24日付)に掲載された研究によると、「A型インフルエンザウイルス」と「RSウイルス」が合体して、さらに感染力をアップさせることがわかったそうだ。

 RSウイルスは、気道の感染を引き起こす一般的な伝染性ウイルスで、呼吸器合胞体ウイルスと呼ばれるものだ。

 ウイルス同士が競争することはよく知られているが、合体した「ハイブリッド・ウイルス」が見つかったのは初めてであるとのこと。まったく種類の違うウイルスが互いに団結して、新しい力を身につけるという新事実である。

2つの異なる科が合体したハイブリッド・ウイルスを初確認

 この研究の最終著者である、英国MRC・グラスゴー大学ウイルス研究所のパブロ・ムルシア氏は、こう語る。

この種のハイブリッド・ウイルスが記述されたのは初めてです。科がまったく違うウイルス同士が、ゲノムと外部タンパク質を結合させるという、新しいタイプのウイルス病原体です

 まるでヤモリの足(RSウイルスが足、A型インフルエンザウイルスが指)のような合体ウイルスは、細胞に感染したウイルス同士の相互作用を調べてきるときに発見されたという。

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「A型インフルエンザウイルス」と「RSウイルス」が合体した姿。どこかヤモリの足を思わせる / image credit:Haney et al., Nature Microbiology, 2022

 実験としてヒト肺細胞をRSウイルスとA型インフルエンザウイルス(以下、A型)に接触させたあと、両ウイルス粒子が合体したものと思われる糸状構造(フィラメント)が発見されたのだ。

 A型は、この合体によって感染力を強化することができる。RSウイルスの表面にあるタンパク質をちらつかせることで、免疫系を回避できるようになるからだ。

 さらに、インフルエンザ受容体を持たない細胞にも感染できるようになる。気道のさらに奥の肺まで移動するので、より症状が重くなる恐れもある。

 一方、RSウイルスにとって合体にそれほどメリットはないかもしれない。A型のおかげで、複製能力が大きく低下してしまうからだ。

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両方のタンパク質を含む糸状の構造(フィラメント) / image credit:Haney et al., Nature Microbiology, 2022

ウイルスの基本ルールを揺るがす発見

 ハイブリッド・ウイルスの振る舞いは、あくまで実験環境で観察されたもので、ずっと複雑な本物の呼吸器官でどうなるのか確かなことはわからない。

 それでもなお、合体によってA型の適応度が高まることから、こうしたほかのウイルスの能力を奪う仕組みが、ウイルス性肺炎に関係している可能性はあるとのことだ。

 英リーズ大学のウイルス学者スティーブン・グリフィン博士は、第三者の立場から、「RSウイルスは、季節性インフルエンザよりも肺の奥に潜り込む傾向があります。感染が下方に広まるほど重症化しやすいのです」と説明する。

 RSウイルスは環境中では比較的弱いウイルスだが、成人で免疫不全の有る場合や乳幼児では劇症化し気管支炎・肺炎などの原因になることもある。日本では、11月から1月にかけて冬期の流行が多く報告されている。

 もしそのままに放置しておけば、ウイルスはどんどん合体していくかもしれない。だからこそ、複数のウイルスへの感染は避けるべきなのだそうだ。

 また今回の研究チームは、こうした結果は「ウイルスの集合を左右する基本的なルールについて疑問を投げかけるもの」と論文で述べている。

 研究の主執筆者ジョアン・ヘイニー氏によると、「呼吸器系ウイルスは、身体の同じ部位を狙うウイルス群の一部」なのだという。

 個々のウイルスの全体像を解明するために、複数のウイルスがどのように作用して感染症を引き起こしているのか理解する必要があるとのことだ。

References:New Hybrid Virus Discovered as Flu And RSV Fuse Into Single Pathogen : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. 何かを獲得すると、何かを失ったりするんだけどね

    • +1
  2. ウィルスでもこうやって多様性を獲得できるんだな
    環境の変化で変異するとは知ってたけど、異種との接触でも変異するとは

    • +1
  3. 一細胞より劣る構造のゴミみたいな存在であろうと生き残ることや増殖することに必死とかマジ気持ち悪いんだけど
    なんでタンパク質由来の生命や生命らしきものってこんなに必死なの?誰か教えて

    • -6
    1. ※5
      生きるって素晴らしい

      生きるって美しい

      愛こそがこの世のすべて

      だから必死に生きるのだよ

      • +1
    2. ※5
      「寄生して増える」
      に特化してるからかな。
      寄生虫にはまだ色々プロセスという物があり、中間宿主とか最終宿主とかあるわけだけど、こいつらは自己の複製を他の生き物の細胞で行う訳だから、それだけに特化するために融合したりするのかも知れない。

      • +2
    3. ※5
      シンプルだからこそ、生命の本質に近い存在だとも言える

      • 評価
  4. 鳥インフルエンザが豚に入って、人との共通感染ウィルスと結合(?)して、人にもうつる(新型インフルエンザの誕生)と同じ変化なのか?
    もともとインフルエンザは変異しやすく結合しやすいのかな、この場合はおそらく人の身体の中で起きたのだろうけど。
    まあどっちにしろ新型ウィルス(人に感染できるようになった、あるいは強化された)には注意ってことだ。
    手洗い、うがいをしてジャングルやシベリアには行かない、ジビエやワイルドミートは十分加熱して食べるとかね。

    • +1
    1. ※9
      同じじゃないね。
      インフルエンザウィルスはゲノムが8本のRNAでできているから系統の違うインフルの重複感染で組み換えが起こる(有性生殖のようなもの)事によって鳥インフルxヒトインフルの超絶危険な新型ができるというのがあなたが言っていることの詳細。

      それに対してこの記事の例は、単にRSウィルスにインフルウィルス粒子がくっついているだけって感じ?これってインフルウィルスがたまたま居合わせたRSウィルスを乗り物として利用しているだけじゃないかな?
      元論文面倒なんでチラ見しかしてないけど、重複感染することによってインフルの複製速度は数倍〜10倍程度増加しているのに対し、RSウィルスの複製速度は1/100程度にまで減少している模様。完全合体してたらインフルと同じ複製速度になるはずだからね。

      • +1
      1. ※15
        やさしく教えてくれてありがとう
        最近はついていくのがやっとだよ
        徹夜明けだと特に

        ここは聞けば教えてくれる人が多くて助かるよ
        あなたのその中の一人です、感謝

        • +6
      2. >>15
        コロナと合体した日にゃ、それこそ「終わりの始まり」だ…と思ってたけど、必ずしもめっちゃ強力なウイルスになるわけじゃないって訳か。
        少し安心しました、ありがとう。

        • 評価
  5. 神様と融合したピッコロみたいなものでそれでもコロナフリーザに及ばないのかな

    • 評価
  6. 4回目ワクチン打ってきたところやねん
    本当にええ加減にせえや……

    • +1
  7. ウィルスさん本気で人間殲滅に来てるんと違う?

    • +1
  8. はえー。
    コピーミスだけじゃなく、ウイルス同士で合体すんのかw
    でも、寄生者のみで合体しても強力な寄生生命体ができるだけでそれの受け入れ先なくないか?w
    基本的に宿主と共に生きていくのが本来の姿なのに、わざわざ自分の宿主を56しにかかるとか、アタオカの極みじゃね?
    人間に例えると、地球にあたりかまわず原爆落としまくって人間すら住めなくする的な。
    どうかしてる。

    • 評価
  9. 次から次へと…
    まぁ、地球が人間にだけ都合よく出来てる訳ないよね。

    • +1
  10. マスクと消毒でほぼ完封できたじゃん

    • 評価
  11. コロナ初期の頃もそうだったけどなんでみんな大げさに捉えちゃうんだろうね
    くれぐれも誇張して広めたりしないで欲しいな

    • 評価
  12. 人為的に作ってばらまこうと考えるヤツとか国とか現れませんように。

    • 評価

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