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火星は小惑星のサンドバッグだった。ほぼ毎日のように隕石が衝突していることが明らかに

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(著) (編集)

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 NASAの火星探査機「インサイト」が検出した地震の分析によれば、火星にはこれまでの想定より、はるかに小惑星による隕石が衝突しているという。

 新たな2本の研究によると、火星ではバスケットボールよりも大きな隕石が年に280~360個衝突しているという。

 それによって誕生するクレーターは8mほどだが、ときにはサッカー場に匹敵する大穴が形成されることもある。

 こうした衝突頻度は従来の想定の2~10倍だ。この新事実は、これまで推定されてきた惑星の地表の年齢に修正を迫る可能性もあるという。

火星の地震の揺れから隕石の衝突を推定

 今回の新事実は、2022年12月、4年間にわたるミッションを終え、永遠の眠りについたNASAの火星探査機「インサイト」が集めた4年分の地震(火震)データを分析した2本の研究によって明らかになったものだ

 火星の地震「火震」がインサイトから初めて報告されたのは2019年のこと。これを検出しインサイトの勇姿は軌道上から確かめることができる

 少し想像すればわかるだろうが、火星で生じた揺れだけから、隕石の衝突によるものかどうかを見分けるのは簡単なことではない。

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地表のインサイトのイメージ。機体の前に置かれているのが地震計/Image credit: NASA/JPL–Caltech

上空画像から火震と同時に形成されたクレーターを探す

 そこでアメリカ、ブラウン大学のイングリッド・ドーバー氏らの研究チームは、火星を周回しているNASAの「マーズ・リコネッサンス・オービター」が上空から撮影した画像もあわせて手がかりにし、火震と同時に形成されたクレーターを探すことにした。

 そして特定されたのが、8つの隕石の衝突とそれによるクレーターだ。

 そのうち6つは、エリシウム平原にあるインサイトの周辺で起きたもの。

 あとの2つは、97日の間隔をあけて発生したより大きな衝突で、サッカー場に匹敵する大きさの大穴を開けたという。これはこれまで火星で検出された衝突では最大のものとなる。

 こうした分析からは、火星に落下する隕石は、従来の想定の2~10倍も多いだろうことが明らかになっている。

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これらの真新しいクレーターの衝撃は、インサイトの地震計によって検出された。その誕生は、マーズ・リコネッサンス・オービターの画像によっても裏付けられている/Image credit: NASA/JPL–Caltech/University of Arizona

火星には毎年280~360個隕石が衝突している

 もう1本の研究は、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのナタリア・ヴォイチカ氏らによるもの。

 こちらは、インサイトの火震データを使っているが、先ほどの研究とはまた少し違った方法で隕石の衝突を推定。

 その結果、バスケットボールほどの隕石が毎年280~360個衝突しているだろうことを明らかにした。それぞれの衝突が作り出すクレーターは直径8mを超える。

 2本の研究はそれぞれ別の方法で隕石の衝突率を推定しているが、その結論はどちらも概ね一致している。つまり、その推定値がかなり信頼できるものだろうということだ。

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NASAのインサイトの火震計で検出された隕石衝突跡を、NASAのマーズ・リコネッサンス・オービターが高解像度画像科学実験(HiRISE)カメラを使って撮影した画像 / image credit:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona

地表の年齢推定モデルに修正を迫る

 地震から隕石の衝突を推測するアプローチは、惑星の研究者にとってはとても重要なものだ。なぜなら、それが太陽系惑星の地表の年齢を知る鍵だからだ。

 ある惑星の表面がいつ頃形成されたかは、クレーターの数から推定される。その表面にクレーターがたくさんあればそれだけ古いと考えられるし、きれいなら新しいということになる。

 例えば、地球を回る月の場合、この衛星と同じくらい古い高地はクレーターででこぼこだが、それより10億年若い”海”はクレーターが少ない。

 だがこうしたクレーターの数から正確な年代を割り出すには、それを作り出す隕石がどのくらいの頻度で衝突しているのか正しく把握していることが前提となる。

 それを知るために、軌道上から撮影された地表の画像を比べて、新たなクレーターが出現していないかどうか調べられてきた。だが、これはとても効率の悪いやり方だ。

 一方、地震データから衝突を検出する今回のようなアプローチは、それよりずっとスムーズに新しいクレーターを探し出すことができる。

 その結果、火星に隕石が衝突する頻度は、これまでの想定よりもずっと高いだろうことが明らかになった。それは火星の表面の一部は、従来の推定よりもずっと若い可能性があることを示唆している。

地震データを使って、火星に隕石が衝突する頻度と、その衝突によって地表がどのように変化するかをよりよく理解することができます。

それによって、火星の地質学的歴史と進化の時系列をつなぎ合わせられるようになります(ヴォイチカ氏)

 そしてこの”隕石時計”は、火星だけのものではない。同じことが、太陽系のほかの惑星に言えるからだ。

 今回の結果は、太陽系にあるほかの惑星の地表の年齢についても再考を迫る可能性があるという。

 ドーバー氏らの研究は『Science Advances』(2024年6月28日付)に、ヴォイチカ氏らの研究は『Nature Astronomy』(2024年6月28日付)に掲載された。

References:Mars is an asteroid punching bag, NASA data reveals | Space / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 14件

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  1. 火星に基地作って直撃されたら終わりじゃん

    • +7
  2. 大気の無い惑星で人類が生存する一つの問題になりそうね

    • +16
  3. そしたら長い目で見れば火星はどんどん大きくなるのか?
    質量が増えて行くよな
    隕石を取り込んで取り込んで

    • +2
    1. >>3
      でも火星誕生から45億年ほど常に晒されていたのに…と考えるとさほどでもないよね
      あと地球でも大気の膜に反射されない限りは、大気層で燃え尽きるけど、
      燃えカス(質量)が地表に降り注ぐので条件としてはほぼ同じ

      • +5
  4. バスケットボールサイズの隕石だと
    地球ではそもそも地表まで到達しないだろうけど
    火星は大気バリアが薄いから届いちゃうのか。

    • +3
  5. 大気圧は地球の100分の1程度だから、大気との摩擦で燃え尽きることなく、ダイレクトに地表に衝突するんだろうな。それよりも謎のモノリスや人面岩は無事だろうか?

    • +2
  6. おっかねえな
    昔は地球とよく似た星説あるけど
    おおかた大気で燃え尽きるにしてもこの説が正しければ隕石が多くね?

    • 評価
    1. >>10
      質量がはるかにデカい木星は地球の数千倍の隕石を食らっているらしい
      木星や火星が顔面ガードしてくれてなかったら、地球にはもっと多くの隕石が常に降り注ぎ、火星と同じく表層の水分が宇宙に放出されて知的生命体が誕生しない星になっていたんだろうね

      • +1
    1. >>11
      そこは左手は添えるだけ だろw

      • 評価
  7. 日本人でもちょっと火星で暮らすのは大変そうだ

    • 評価

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