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アンティキティラ島の機械は太陰暦を追跡していたことを重力波研究者が突き止める

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(著) (編集)

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image credit:Joyofmuseums / WIKI commons CC BY-SA 4.0
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 宇宙で発生する「重力波」を研究する科学者が、世界最古と言われるアナログ式天文学コンピュータの新事実を発見したようだ。

 古代ギリシアで作られた「アンティキティラ島の機械」は、当時の技術レベルとしては驚くほど複雑かつ精巧な作りをしていることから、オーパーツにも数えられる遺物だ。

 この機械は天体の運行を知るために使われていたと考えられているが、重力波を分析するために使用される技法で調べてみたところ、アンティキティラ島の機械のパーツの1つは、「太陰暦」を追跡するためのものである可能性がきわめて高いことが明らかとなった。

世界最古のアナログコンピュータ「アンティキティラ島の機械」

 世界最古のアナログコンピュータと呼ばれる「アンティキティラ島の機械」は、1901年にエーゲ海のアンティキティラ島付近に沈んでいた難破船から発見された。

 靴箱ほどの大きさの機械には、複雑な歯車が組み込まれており、天体の運行を計算するために作られたものだと考えられている。

 これまでの調査では、紀元前3~1世紀頃に作られたらしいことが判明しているが、これに匹敵する工芸品はその後1000年も登場していないことから、オーパーツの1つにも数えられる謎の多い遺物だ。

 2020年、これについて1つ面白い特徴が明らかになっている。「カレンダーリング」と呼ばれる環状のパーツをX線で検査したところ、リングの下に一定間隔で穴が開けられていることが判明したのだ。

 もともと穴がいくつあったのかは、リングが破損しているため不明だ。だが当時の分析では、おそらく347~367個だったろうと推測されている。

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アンティキティラ島の機械の断片(表) / image credit:WIKI commons CC BY 2.5
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アンティキティラ島の機械の断片(裏) / image credit:WIKI commons CC BY 2.5

重力波の分析法から新事実が判明

 グラスコー大学の重力波の天文学者らが行った今回の研究では、2つの統計的分析法でこのカレンダーリングの穴の数に迫っている。

 それによると、穴は354個だった可能性が濃厚であるという。これは1年365日の太陽暦ではなく、「太陰暦」に対応する数だ。

 これを明らかにするために使用された1つ目の分析法は、「ベイズ分析」と呼ばれるもので、不完全なデータに基づく不確実性を確率的に定量化することができる。

 この方法で、現存する穴の位置とリングの6つの破片の配置から、このパーツにあっただろう穴の数を推定したところ、354個か355個のどちらかだろうことが示された。

 この結果は、宇宙に広がる「重力波」を測定するもう1つの分析法によっても裏付けられている。

 重力波は時空のゆがみが波紋のように広がる現象で、ブラックホールの合体などによって生じる。

 それを観測する重力波検出器「LIGO」は、キャッチした信号を「マルコフ連鎖モンテカルロ法によるネステッドサンプリング」によって分析するのだが、今回の研究ではこれが応用されたのだ。

 そしてこちらの分析でも、最初の分析と同様、半径77.1mmのリングの中にはやはり354個か355個の穴があった可能性が濃厚であることが示された。

 これまでの研究でも、カレンダーリングは太陰暦を表していただろうことが示されていたが、今回の2種類の分析によって、その信憑性がいっそう高まった形だ。

Antikythera Mechanism: The ancient ‘computer’ that simply shouldn’t exist – BBC REEL

太陰暦とは

 太陰暦とは月の満ち欠けの周期を基にした暦のことだ。 大の月 (30日) と小の月 (29日) とを設け、12ヵ月または 13ヵ月を1年とする。

 古代ギリシアでは、初め大と小の月を交互に繰返し2年に1回閏月 (30日) を設けたが、10年もたてば1ヵ月ほど季節が狂ってしまう。

 そこで紀元前6世紀頃、8年 (平均 2922日) に3回閏月をおく8年法、紀元前432年には 19年 (平均 6940日) に7回閏月をおくメトン法、紀元前334年には 76年 (平均2万 7759日) に28回閏月をおくカリポス法などが順次採用され、季節の狂いを少くするように考慮された。

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photo by Unsplash

宇宙でつながる現代人と古代ギリシア人

 この研究ではさらに、オーパーツとされる機械を作り出した当時の技術レベルの高さも明らかにしている。

 それぞれの穴はかなり正確に作られており、半径方向の平均的なばらつきはわずか0.028mmでしかなかったのだ。

 これほどの正確さで穴を開けるには、きわめて精密な測定技術と穴開け技法が必要だったはずだ。

2千年前の人々が天空を知るために使った機械を解明するために、今日の宇宙を知るために使われる技術が使われたというのは、美しい調和ですよね

 と、グラスゴー大学のグラハム・ウーン教授はプレスリリースで語っている。

 この研究は『Horological Journal』(2024年7月付)に掲載された。

References:University of Glasgow – University news – Gravitational wave researchers cast new light on Antikythera mechanism mystery / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 16件

コメントを書く

  1. アンティキラの機械はオーパーツ最後のフロンティア

    • +6
    1. >>1
      この言葉、有名な割に覚えにくいので
      アンチ(反)キティラー(キティちゃん好き).と覚えるといいと思うよ😺

      • 評価
  2. ペイズ分析っていくら説明されてもオカルトとしか思えないんだけど

    • 評価
    1. >>2
      人間の直感に反する予測も出てくるからね
      コンピューターが実現してこその統計手法だよ

      • +7
  3. 「ベイズ分析」・「マルコフ連鎖モンテカルロ法によるネステッドサンプリング」を使った分析とは、一般的な言葉で表現すると「見た目の印象から想像するに」ということ。

    • 評価
  4. ベイズ系の話って高度過ぎて文系の妄想としか感じられなくて困る
    自分含めて理解出来ない側の問題なんだけどさ

    • -2
  5. >世界最古のアナログコンピュータ「アンティキティラ島の機械」

    こういう表現されていることが多いが
    現実はアナログコンピュータじゃなくて
    ただの天球儀

    • -7
    1. >>7
      天球儀とは、球面上に恒星の天球上の位置を示した模型の事。いわば地球儀の宇宙版であり、機械を使う必要はない
      アンティキティラの機械は強いて言えば太陽系儀だが、一定の入力に対して複雑な機構による動きで解答を出力するというシステムとして見れば、アナログ式コンピュータと捉える方が相応しいと言える

      • +11
  6. こんなものを思い付く人は間違いなく天才だと思うけど
    そのアイディアを実現する職人の技術も凄まじい
    それを作れる人が誰もいなかったって理由でどれほどの
    革新的発想が妄想のまま終わってしまったんだろうか?

    • +9
  7. オリジナルは錆っさびな上に欠けてるから
    現物はどうか稼働したのかわからんのが残念

    • 評価
  8. 重力波関係なくて統計学の話だった。知ってた。後この人たちの本業割りかし暇なのか?それとも余暇の趣味でやってるのか?

    • -11
  9. そういえば、今、和暦(太陰暦 農耕のため)のずれを修正できる人がいないとか言ってたけど
    どうなった?

    • +1
  10. 横文字専門用語ばっかりで何がなにやらさっぱりだ。
    アンティキラ機械に関してはずいぶん前から天体観測系の機械で船の運航の役に立たせてたみたいな結論出てた様な気がするが追加で裏付け証拠でも出てきたって感じなんか?

    • 評価
  11. アンチティキラ…(´・ω・`)いや、アンティチキラ…アン…

    • -1
  12. これを作った天才は難破で亡くなり技術が1代で失われたのかもしれないなぁ
    もう1つ出てこないし

    • 評価

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