メインコンテンツにスキップ

魚も怠けるとお仕置きされる。体罰で群れの社会秩序を維持する魚たち

記事の本文にスキップ

12件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 人間社会でも怠けたり、サボったりするとなんらかの罰が与えられることがあるが、魚の世界も同様のようだ。しかもそれは体罰だった。

 大阪公立大学大学院のチームによると、ある種の魚は仕事をサボった子守係の魚(ベビーシッター)に体罰を与えることで、しっかり働くよう促すのだという。

 人間社会では協力をうながしたり、秩序を維持するために昔から罰が利用されてきが、じつは魚もまた同じであることを明らかにしている。

 このことは「協力行動の進化」と「それを維持する仕組み」との間にあるギャップを埋める新たな発見であるという。

サボっている仲間に罰を与える魚

 集団生活を営む人間社会では、協力をうながし、秩序を保つために、大昔から様々な罰が用いられてきた。

 だが社会を作って暮らす生き物は人間だけではない。もし、そうした社会的な生き物もまた協力や秩序を求めるとすれば、一体どうやっているのだろうか?

 その答えを求めて、大阪都市大大学院博士課程の学生、日高諒氏らは、「サボリ(Neolamprologus savoryi)」という社会的な魚に注目した。

 サボリの面白いところは、直接の親だけが子育てをするのではなく、「ヘルパー」と呼ばれるベビーシッターもまた子守に参加することだ。

 サボリの群れは1匹のオスと複数のメスで形成され、メスはそれぞれの縄張りを持つ。そうしたメスたちは、自分の縄張りに最大4匹ほどのヘルパーを囲って、子育てを手伝わさせる。

 研究チームがこうしたサボリの子育てをきちんと管理された状況で観察したところ、親は怠けているヘルパーがいると物理的な攻撃をすることが判明した。すなわち体罰を与えるのだ。

 こうした体罰を受けたヘルパーは、その後子守りをサボらないようになる。またそもそも体罰を受けないように、しっかり働くようになるヘルパーもいたという。

この画像を大きなサイズで見る
サボリは子育てをサボるベビーシッターに罰を与えて、しっかり働くよううながす/Credit: Osaka Metropolitan University

協力や社会秩序を維持するための進化

 これまでも罰を与える魚がいるらしいことは知られていたが、今回の研究でそれがようやく確かめられた。人間以外の動物も、罰を与えて群れの仲間の協力をうながすことが実証されたのだ。

 この研究は、罰が人間社会だけのものではなく、ほかの動物でも協力をうながし、社会的関係を維持する手段であることを明らかにしている。

 この事実は、協力行動の進化と、それを維持する仕組みとの間にあるギャップを埋めてくれる。

 またそれは動物たちの賢さにも光を当てている。

 複雑な社会をうまく機能させるために、魚もまた人間に負けないような高度な認知能力を発揮しているのだ。

 こうした発見は、魚だけでなく動物全般の賢さについて、そろそろ見直すべきタイミングであろうことを告げていると研究チームは述べている。

 この研究は『Animal Behaviour』(2024年4月6日付)に掲載された。

追記:(2024/06/26)タイトル・本文を一部訂正して再送します。

References:魚もサボると「罰」を受ける! 「罰」が魚の協力社会の維持に重要|大阪公立大学 / Study shows fish may use punishment to promote help from their offspring / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 12件

コメントを書く

  1. サボリなのにサボリは許さないとは・・・

    • +17
  2. シクリッドの仲間?子守というのは、石とかに生みつけた卵が死なないように水を吹きかけてやったり、外敵が来ないように見張ることを言うのかな

    • 評価
  3. 単独行動ではなく何らかの社会的行動をとる生物なら秩序は大事だからな

    • +2
  4. 体罰が必要ならその適切なやり方をガキのうちから教えとくべきだよな。暴力の痛みを知らないまま大人になると加減が分からないから余計に危険。もちろん魚の話だよ。

    • +1
    1. >>7
      そうよなぁ、理性をもった人間とかさらに危険だわ
      わかっててやるんだもん

      • +1
  5. ヘルパーみたいに自分の繁殖機会を捨てて他人の繁殖を手伝う場合、血縁かそうでなければ縄張りを引き継ぐとか交尾相手を得るとかの将来的なメリットがあるはず。その中で罰が進化するには相当な制約(認知力とか記憶力、資源の少なさ等)がありそう。シクリッドの世界っておもしろいね。

    • +1
    1. >>11
      サボリのヘルパーは主に、繁殖している父母の子(要は兄姉が弟妹の子守りをしている)らしい。

      ただ、血縁要因だけでなく、「労力を提供する代わりに、安全な住み処と餌を得る」というギブ・アンド・テイクの利害面も大きいっぽい(Pay-to-Stay仮説)。

      別の協同繁殖魚の例だと、縄張り外の捕食圧が強く、縄張り内に隠れ家になる貝殻が多い環境では、縄張りを出て行かず快適な実家に居残る独身の息子・娘の数が増えるそうな。

      • +1
      1. >>12
        ありがとう、よくわかった。
        となるとサボリも他種で見られるヘルパーの社会様式と同じよう。ヘルパーの進化は血縁、直接利益、そして懲罰によるコストの包括的な損得で動くんだね。利益がなければ出て行く選択肢もあるのはいいね。罰は言わば自分の労力を払ってでも相手にマイナスを与える戦略、悪意にも似た行動が協力の礎になっているのは本当に興味深くて恐ろしい。

        • +1
  6. こうして見ると人間ってやっぱり海から来たんだなって思う
    行動原理は大差ないよ

    • 評価
  7. 魚の子育てって面白いな。
    オスやメスの口の中で育てたり、あわを

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

水中生物

水中生物についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。