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魚も鏡に映った姿を自分であると認識できることを再確認(鏡像認知)

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(著) (編集)

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 これまで、鏡に映った自分を自分と認識できる「鏡像認知」は、人間・チンパンジー・オランウータン・イルカ、カササギ、ブタなど、限られた動物でしか確認されていなかった。

 このような認知能力は、「自己認識」ができるサインでもある。2018年、ホンソメワケベラという魚も鏡像認知ができるという研究結果が発表されたが、実験結果に疑問を抱く声も上がっていた。

 そこで、大阪市立大学大学院理学研究科の幸田正典教授らが、その追加実験を行ったところ、ホンソメワケベラの鏡像認知は決定的であることがわかったという。

魚の鏡像認知にまつわる論争

 幸田教授らが海外と共同研究で、最初にホンソメワケベラの鏡像認知を報告したのは2018年のことだ。

 スズキ目のホンソメワケベラは、優れた視力で、他の魚についている寄生虫を発見してそれを食べることから、掃除屋とも呼ばれている。

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photo by iStock

 当時の研究では、インクで喉(直接見えない部分)に印をつけたホンソメワケベラの前に鏡を置いたところ、彼らが喉を水槽にこすりつけて、印を剥がそうとするかのような行動をとると報告されている。

 これは「マークテスト」という実験で、鏡に映った印を目にして、それを確認したり、剥がそうとしたりすれば、その動物が鏡の自分を自分と認識している証拠とされる。

 ところがその後、この研究に対してユトレヒト大学のフランス・デ・ワール氏などから反論が出た。

 喉をこすりつけたホンソメワケベラはたったの4匹だけだったし、喉につけられた印がかゆみや痛みとなってホンソメワケベラにそのような行動をとらせた可能性があるというのだ。

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photo by iStock

ホンソメワケベラの鏡像認知を再確認するための追加実験

 そこで今回『PLOS Biology』(2022年2月17日付)に掲載された研究では、そうした反論を踏まえて、ホンソメワケベラの鏡像認知が再確認された。

 まず観察対象が少ないという批判を受けて、今回は18匹のホンソメワケベラでマークテストが行われた。

 さらに印の付け方にも工夫がされている。インクを皮膚の1ミリ下に注入するグループと、より体への刺激が強くなる3ミリ下に注入するグループとに魚を分けたのだ。

 皮膚の3ミリ下にインクを注入されたホンソメワケベラは、鏡の有無にかかわらず、喉をこするような仕草を見せたという。一方、1ミリ下にインクを注入されたホンソメワケベラで喉をこすりつけたのは、鏡を見せられたグループだけだった。

 このことから、ホンソメワケベラは喉に痛みやかゆみなどの刺激を感じるからではなく、鏡に映った印を目で見てそれを取ろうとしていただろうことがうかがえる。

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image credit:

image credit:Masanori Kohda
 ホンソメワケベラは、他の魚の体についた寄生虫を食べる”掃除屋”として知られる魚だ。最初の実験では、茶色のインクで寄生虫に似せた印がつけられていた。

 試しに、緑と青のインクで寄生虫に似ていない印をつけるという実験も行われている。すると、このときは鏡があっても喉をこすりつける仕草を見せなかったという。

 このことも、ホンソメワケベラが鏡に映る自分を見て、自分の体に寄生虫らしきものがついていることに気がついた、すなわち鏡像認知をしているだろうことを裏付けているという。

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image credit:大阪市立大学プレリリース

自己認識ができる動物はたくさんいる?

 ホンソメワケベラの鏡像認知や自己認識についてこれまで懐疑的だったデ・ワール教授だが、この結果を受けて「かなり説得力がある」と、『Vice』誌でコメントしている。

 同教授によると、自己認識は無か有かという二者択一のものではなく、程度の問題と考えるべきなのだという。

 それまで完全にゼロの状態だったのに、人間など一部の動物に突然自意識が芽生えるというのは、進化論的にも合理的ではないのだそうだ。

 実際、今回の実験は、自己認知のような高度な認知能力が人間だけのものではないことを如実に物語っている。

私たちは知的な動物がどのくらいいるのか正確には知りません。そのくせ、人間を神がこの世で作った最高の知的生命体であるとみなしています。ですが、それは誤解です

と幸田教授は語る。

 分かっているようで、案外私たちは動物のことを分かっていない。彼らについてもっと知るために、幸田教授は今後もホンソメワケベラの自己認知についてさらに研究を続ける予定であるそうだ。

References:Scientists persevere to show self-awareness i | EurekAlert! / 大阪市立大学 / written by hiroching / edited by parumo

 私の中では猫の中にも鏡像認知できる個体がいると考えているのだがどうだろう?

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この記事へのコメント 14件

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  1. うちのベタはちょくちょく鏡でフレアリングさせてるけど、全く自分とは認識しそうにない…

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  2. フグとかも水槽のガラス越しにこっちを認識してたりするしね、水の生き物は想像以上に目が良いのかも

    • 評価
  3. 掃除魚であることが、視覚的認知能力を高めた要因かもしれない。
    鏡像認知は飼育下のみなのか、自然界でも確認できる現象なのか、その辺が興味深い。
    飼育下のみでの現象なら、後天的に習得した能力ということになる。

    • +3
  4. 寄生虫の色だけ見分けられたってことは、「口元にご飯粒がくっ付いてる!」って感じだったのかな。

    • +1
  5. 猫は間違いなくできるよね
    猫を抱っこした飼い主の顔を猫に加工したチャレンジで、猫が慌てて飼い主の顔を見上げて確認したり、スマホと飼い主の顔を何度も見比べたりしてたのでも明らか

    • +4
  6. ここには書いてないけど、「寄生虫のように見えるマーク」というのはこのテストにおいて新しい視点だそうで、例えば今まで反応がなかった動物でもこうした関心を示すようなマークであれば、もしかしたら反応するかもしれない、とのこと。例えば大きな吸血バエの見た目のシールとかだったら飛び跳ねて驚くかもしれない。あの猫のように。

    • +2
    1. ※6
      ゴリラが鏡像認知に関してはあまり成績が芳しくないのもそのあたりが原因かな?
      神経質な性格といわれるし、むしろ鑑に映った姿をみて「こんな恐ろしい姿をしたものが俺であるはずがない」とか思っていたりするのかな

      • 評価
  7. 犬はこれができないから肉を水中に落とすんだよなw

    • +2
  8. ニセクロスジギンポではどうでしょうか?!

    • 評価
  9. 私が子供の頃、鏡に映った自分に、『誰コイツ?』って警戒してた記憶がある
    私より賢いってことですか?

    • +3
    1. >>10
      もしや鏡に映った姿が、

      本体のアナタと違う表情や動きをしたのでは?

      • +1
  10. 猫は…どうかな
    無視力が高いからやばそうなものとか関わりたくないものは無視するし、
    もちろんその場にいて良い人のことも無視するので
    あそこ時々猫映るよなー、関わらんでおこう的な反応の気がする
    この実験みたいにバレないようにゴミとかつけて、鏡を参考にして排除できたら
    鏡を活用してることになるのかもしれないけど、猫はからだが柔らかいから直接見れないところないもんなぁ

    • 評価
  11. ホンソメワケベラ、ペア以外の複数飼育は喧嘩激しいのでNGですが、飼育自体容易な方なので、興味があれば是非。海外産だとピンク色の亜種もいたりします。
    人影を見るなりすぐ寄ってくるような人懐っこさがあるから可愛い。

    • 評価

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