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AIと外骨格の連携でロボットスーツの性能が飛躍的にアップ、超人化がはかどる

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(著) (編集)

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 外骨格ロボットスーツにシミュレーション学習したAIを搭載することで、人間の動きをより適切にアシストすることが証明されたそうだ。

 その学習済みAI制御装置を搭載したロボットスーツを着用した人は、歩く・走る・階段の上り下りといった動作をより楽に行えるようになる。

 『Nature』(2024年6月12日付)に掲載された研究では、AIロボットスーツのおかげで動作に必要なエネルギーが最大4分の1も少なくなったと報告している。

 まるでSFに登場するような技術がいよいよ現実のものになろうとしているのだ。

少ないエネルギーで楽に動ける外骨格ロボットスーツ

 「エクソスケルトン(外骨格)」とも呼ばれるロボットスーツの目的は、人間がより楽に動けるようにすることだ。より素早く走ったり、より重いものを持ったりするなど、機械の力で人体の動きをアシストするのだ。

 だが現時点のロボットスーツはそこまで万能なものではない。着用する人がどのような体をしており、どのような活動をするのか、あらかじめセッティングしておかなければならない。しかもそのためのテストが時間も労力もかかる大変なものなのだ。

 今回の研究チームが提唱するのは、学習済みのAIを搭載した制御装置で、そんな面倒なテストを省いてしまおうというアプローチだ。

 エンブリー・リドル航空大学のルオ・シュジェン博士は、「この新しい制御装置は、人間によるテストなど行なわずとも、歩く・走る・階段を昇るといった動作にスムーズで継続的なトルクアシストを与えることができます」と話す。

 人間がロボットスーツを着用して行う面倒なテストの代わりに、このアプローチではGPU上でたった1回だけシミュレーションを実行する。

 それだけで、AIがロボットスーツを着た人をどのようにアシストするべきなのか学習してくれる。

 それだけ聞くと簡単なことに思えるが、AI自体はちっとも簡単ではない。それは相互につながり合った3つの多層構造ニューラルネットワークで、何百万世代にわたるロボットスーツのシミュレーションを通じて進化を遂げたものなのだ。

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今回使用されたのは歩行アシスト用のロボットスーツ。これに学習済みAIを組み合わせることで、面倒なセッティングを行わずとも、動作が楽になることが証明された/Credit: Nature, Luo et al., Figure 2

SF世界が現実に。人間のパフォーマンスを大幅にアップ

 実際にこの”シミュレーション学習”を行ったAI制御装置を歩行アシスト用のロボットスーツに組み込んだところ、着用者は確かに楽に動けるようになったそうだ。

 もっと具体的に言うと、歩行・走る・階段の昇降といった動作に必要なエネルギー消費量が、それぞれ平均24.3%・13.1%・15.4%減少したのだ。

 ノースカロライナ州立大学のスー・ハオ博士は、「この研究は本質的にSFを現実のものにしています。人間はさまざまな作業をより少ないエネルギーで行えるようになるのです」と説明する。

 どんなに高性能なコンピューターがあっても、シミュレーションは物理世界そのものではない。だからシミュレーションの結果と現実とには差異が生じがちだ。

 だが今回のAIのシミュレーション学習は、その差異を乗り越え、物理的なテストがなくても人間のパフォーマンスを大幅に上げられることを示している。

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AI制御装置について議論する研究チーム/Credit: Embry-Riddle/David Massey

 このアプローチはロボットスーツの普及を後押しし、体に問題がない人はもちろん、体が不自由な人の暮らしをもより快適なものにしてくれるかもしれない。

 研究チームは今後、脳卒中・変形性関節症・脳性麻痺・手足の切断といった障害のある人々でも使えるロボットスーツの開発に取り組んでいく予定であるそうだ。

References:Experiment-free exoskeleton assistance via learning in simulation | Nature / AI and Exoskeletons Team Up to Transform Human Performance on Earth and in Space / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 16件

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  1. これに限らずロボットスーツは以前からTVなどでも紹介されるけど、現場で使われているのをあまり聞かない
    なぜだろう?

    • 評価
    1. >>1
      コストじゃないですかね
      その辺度外視してでも実用されそうな現場ってひょっとして戦場なのでは

      • 評価
    2. >>脳卒中・変形性関節症・脳性麻痺・手足の切断といった障害のある人々でも使えるロボットスーツの開発

      自分は半身麻痺のリハビリに使用したけど、アシストの出力は理学療法士がつど設定してたんよ。これがAI制御で自動的に設定されるなら画期的なこと。
      アシスト出力からどの部位の麻痺がひどいかとかどこを鍛えれば良いかとか診断してくれれば、その後のリハビリ計画も効率的なものになるんじゃないかな。

      >>1
      医療現場でリハビリ用には使用されている。
      正しい数字は覚えてないけど、某メーカのロボットスーツは治験を含めてこの5年で700人くらいは使用されているはず。

      • +6
    3. >>1
      幸いにして世話にならずに済んでいるからではないかと。 >>10 のおっしゃるように価格という要素はあるけど必要なところ、たとえば病院などでは使用されているところもあります。 私も直接目にしたことはないですが、以前すんでいたところの近所の病院では使用されていると知り合いに教わりました。

      この辺を見てみるといいかも
      ttps://www.cyberdyne.jp/products/HAL/index.html

      • +3
  2. でもね、肥満が進んでいるアメリカ人は特にカロリーを消費するように運動した方が良いと思いますが、いかがでしょうか?

    • 評価
    1. >>3
      肥満だと普通に運動すると体を壊してしまうこともあるので
      無理がないように体をサポートしつつ運動できるようにしたほうがいい

      • +6
  3. 技術が発達しても電気がなかったら終わる気がする。

    • 評価
  4. 兵隊が再び重い鎧を着る事が復活しそうだな

    • 評価
  5. ロボットスーツは良いけど装着者の体温調節は?
    案外最重要事項だと思う。

    • 評価
  6. 現場の介護する人は無茶苦茶重労働

    介護スーツは現実に深刻に求められている

    早くまともなアシストスーツが出てほしい

    • +6
  7. こうしたテクノロジの発展系の一つに高齢化による生活弱者の技術的介護があると思う。
    そんなふうに考えてると老いに対しても夢が広がります。

    • +3
  8. ほうアーマード・マッスルスーツですか・・・
    先日のインド・ヴィーラバドラ寺院の「吊り柱」といい、こりゃもうスプリガンの世界ですね

    • +1
  9. 未来は肉体労働が子供たちに人気の職業になりそう

    • 評価
  10. こういうパワードスーツにはなぜか足の指の関節が無い(曲がらない)のが多い。特殊な歩き方を覚える必要があるのも普及に至らない欠点だと思う。後、可動時間が短いんだよね。

    • 評価

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