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歴史を覆す発見。アジアのヒト族は110万年も前から高度な道具を使っていた

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(著) (編集)

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image credit:IVPP
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 中国での新たな発見は先史時代の流れを書き換える可能性があるという。東アジアにいたヒト族の先祖は、これまで考えられているよりも30万年も早くから高度な道具を使っていたというのだ。

 人類の祖先の発展を理解する一番いい方法は、彼らが使用していた道具に着目することだ。道具の構造や使用法がより高度化されていく様子は、ホモサピエンスの先祖の進化をはっきり示していて、道具の種類を見れば先史時代に彼らが何をしていたかがわかる。

 過去についての解明が進むごとに、ヒト族の発展や道具作りの進化についての認識はたえず更新されていく。

 今回の新たな発見もまた、およそ110万年前にさかのぼるこれら進んだ道具の発見は、先史時代の流れを書き換える可能性がある。

古代の道具製作方法、「モード1」と「モード2」

 旧石器時代の打製石器道具は「モード1」と「モード2」に分類される。モード1は打撃によって石片をはがすシンプルなものが中心で、モード2は、それにくわえて石器の形状を整えるための加工技術が施されているものだ。

 モード1の道具は、初めて発見されたタンザニア、オルドゥヴァイ渓谷の名にちなんで「オルドワン」と名づけられた。

 この道具は表面に簡単に加工が施されたシンプルな丸石の道具で、旧石器時代の200万~170万年前に使われていたことがわかっている。

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モード1「オルドワン」は、少なくとも290万年前にさかのぼる原始的な道具だ / image credit:Jose-Manuel Benito Alvarez / Public Domain

 対照的にモード2の道具は同じ旧石器時代のものでも、少なくともふたつ以上の面に同じ加工が施されていて、モード1よりも全体的に洗練されている。

 およそ150万年前にはモード1と併用されていた証拠が見つかっている。いずれの道具もホモ・サピエンスが登場する前の時代につくられたものだ。

考えられているより早く東アジアに到達していた可能性

 中国科学院脊椎動物古生物学・古人類学研究所(IVPP)のペイ・シューウェン教授と、スペイン国立研究委員会(ISIC)歴史研究所のイグナシオ・デ・ラ・トレ教授率いる共同チームは今回、この発中国のニヘワン盆地でモード2の石器道具を発見した。

 モード2の道具を使っていたヒト族の先祖は、およそ80万年前に東アジアに到達したとこれまで考えられていた。

 しかし、今回の発見によって110万年前にはモード2の道具を作っており、彼らは30万年も早くから存在していたことがうかがえる。

 これにより、ヒト族が地球上でどのように広まっていったのか、これまでの理解を書き換える可能性が出てきた。

 最初にやってきた彼らは、単独の孤立した入植者ではなかった。

 遺跡から見つかった証拠によると、組織化された剥離技術や標準的な製作工程を使って、斧など道具の刃を作っていたことがうかがえ、モード2の道具を製作する産業全体が確立されていたことがわかる。製作途中で失敗した道具が捨てられた可能性もある。

 彼らは熟練した道具職人で、学んだ技術を駆使して効果的な道具を大量に製造、再生産した。

 これまで考えられていたよりもずっと早くに東アジアで高度な道具を作っていたという事実は、この地域での先史時代に関する私たちの理解全体を再評価する必要があることを意味する。

 この発見はまた、現場での道具製作プロセスにおいて、大きな石の塊を砕いた〝コア〟をどのようなステップで仕上げていったかがわかる中途半端なものも含まれていたことを示している。

 これらコアの製作には5つの個別工程がはっきりしていて、それを経て鋭い刃に加工されていった。

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現場で発見された道具の痕跡から、モード2の道具の製作準備を段階別に追ったもの / image credit: IVPP

 当時はその地域全体で、単純なモード1の道具の製作を支えていただけだと考えられていた。新たに出てきた今回の証拠は、この地域全体が再評価されるべきで、モード2の道具製作現場がほかにもっとあるかもしれないことを意味していると、研究著者たちは主張している。

 これはどういうことなのだろうか?

 道具の生産量と高度な製作プロセスは、これがこの地域で孤立した稀有な道具であることを否定する。

 東アジアの人類の祖先がここにやってきた正確な時期や、彼らの道具製作に関する理解全体を根本的に考え直さなくてはならないだろう。

 この研究は『National Academy of Sciences』誌(2024年3月4日)に掲載された。

References:Redefining Human History: Scientists Uncover Advanced 1.1 Million-Year-Old Tools in China / Did Hominids in Asia Use Advanced Tools Much Earlier than Thought? | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 9件

コメントを書く

  1. >ホモサピエンスの先祖の進化をはっきり示していて、道具の種類を見れば先史時代に彼らが何をしていたかがわかる。

    100万年以上前のアジアだとホモサピの先祖では無いよね。
    ホモエレクトスとかの祖先になるんじゃないかな。

    ひょっとしたらネアンみたいにホモサピと混血して
    現生人類の中に血が残ってる可能性もあるかもだけど。

    • +3
  2. どれだけ遺跡などを調査して過去を伺い知れたとしても
    現生人類が当時の様子を直接目で見たわけではない以上
    まだまだ知らないことで満ち溢れているのだなぁと

    • +6
  3. 文明が始まるはるか以前、猿が樹の実を石で割っていたのが道具として打製石器になっていく過程は人類が道具を作り使う人となっていく様そのもの。
    猿と人の違いは、火の利用も大事だけど道具作りも大事なのよ。

    参考
    現代の打製石器作り名人
    https://www.youtube.com/shorts/fMp6HDosojQ

    • +1
  4. 斧を知っている私にとって、初めて斧を作った人の気持ちは計り知れない。

    • +3
  5. ネアンデルタール人すら存在してない時代か……

    • +3
  6. でも、不思議なのは削れた石がいつ削ったのかってどうやってわかるのかな?

    • +1
    1. >>13
      石器の場合は石器そのものではなく
      埋まってる地層から年代を推測するのが普通だね。
      なので「ゴッドハンド」みたいな捏造も可能になってしまう。

      • +2
  7. 打製石器の後に磨製石器ってものも出てくるんですけどね。
    現代では磨製石器でナイフ作る職人さんいるけど、その人も昔の人どうやってたんだかwとか笑うくらい手間かかるみたいね。現代の道具を使っても大変らしい。

    • +2

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