17億5000万年前に光合成が行われていたことが判明
  オーストラリア北部の砂漠で、17億5000万年前には地球上で「光合成」が行われていたことを示す、最古の直接的な証拠が発見されたそうだ。

 それは「シアノバクテリア(藍藻)」と考えられる化石に残されていた「チラコイド」という構造だ。それは葉緑体やシアノバクテリアの中にある区画で、まさに光合成の光化学反応が起きているところだ。

 つまり、その当時すでに光合成を行うシアノバクテリアが存在したということで、地球の生命がどのような経緯で繁栄してきたのかを理解する大切な手がかりとなる。

地球の生物にとって必要不可欠な光合成

 「光合成」とは、植物や藻類などが、太陽の光で水と二酸化炭素をグルコース(糖)と酸素に変換する働きのことだ。

 これは自然からの大きな恵であり、地球上にいるほとんどすべての生物が生きるために必要な土台となっている。

 私たちが食べものを口にしてエネルギーを補給できるのは、光合成で太陽エネルギーが化学エネルギーに変換され、デンプンなどの有機物として蓄えらえるおかげだ。

 さらに今が呼吸している酸素だって、そのほとんどは光合成によって作られたものだ。
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photo by Pixabay

最初の光合成はいつ起きたのか?

 だが地球の歴史を振り返れば、今のように豊富な酸素がない時代もあった。

 それが24億年ほど前、「大酸化事変(大酸化イベント)」と呼ばれる出来事があり、なぜだか地球の酸素が突然濃くなった。

 なぜ急に酸素が増え出したのか、はっきりとした原因はわからない。だが、有力な仮説によれば、光合成を行う生物が出現したことと関係しているという。

 では最初に光合成を行った生物は、いつ頃誕生したのだろうか?

 これまでに発見された、最古の光合成生物の”候補”は「Eoentophysalis belcherensis」という20億〜18億年前のシアノバクテリア(藍藻)で、酸素発生を伴う光合成を行う細菌の一群である。

 だが、そうした化石には必ずしも内部構造がそのまま残っているわけでもないので、それが本当に光合成をしていたかどうかは断言できない。
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Navifusa majensisの微化石/Demoulin et al., Nature, 2024

光合成の直接の証拠を発見

 そこでベルギー、リエージュ大学の研究チームは、シアノバクテリアの一種である「Navifusa majensis」の微化石を、さまざまな高性能な顕微鏡で覗き込み、その構造を探ってみた。

 すると、2つの化石層で発掘されたN. majensisの体内から「チラコイド膜」(チコライドを包む膜)が見つかったのだ。

 チコライドは葉緑体の中にある膜で囲まれた光合成を行う細胞内の構造体のことだ。
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透過電子顕微鏡で見たシアノバクテリアの一種「Navifusa majensis」。チコライドが測定された場所が黄色で示されている / image credit:Demoulin et al., Nature, 2024

 それらの化石は、10億1000万年前の「グラッシー・ベイ層」(カナダ)と17億5000万年前の「マクダーモット層」(オーストラリア)で発掘されたものだ。

 つまり、シアノバクテリアはすでに17億5000万年前には、光合成する力を進化させていたということになる。

 「N. majensisに保存されたチラコイドは、チラコイドを持つシアノバクテリアと持たないシアノバクテリアの分岐が、少なくとも17億5000万年より前であったことを示す直接的な証拠である」と論文には書かれている。

 それでもなお、光合成をする生物が大酸化事変より前にいたのかどうかは不明のままだ。その謎を解くには、さらに古い化石を発見して詳しく調べてみるよりない。

 この研究は『Nature』(2024年1月3日付)に掲載された。

References:Photosynthesis Evolved as Early as 1.75 Billion Years Ago, Microfossils Suggest | Sci.News / Scientists Just Discovered a 1.75 Billion-Year-Old Secret About The Origin of Life : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2024年01月09日 20:27
  • ID:XoxW1k.Y0 #

2000年頃の百科事典に、シアノバクテリアの光合成で酸素が増えて生命大絶滅を起こしたって書いてあったけど、あれはまだ仮説だったのか。

2

2. 匿名処理班

  • 2024年01月09日 20:46
  • ID:otvBCrko0 #

>生命の起源に関する秘密を発見

全く違う

光合成と生命の起源は関係がない

生命の起源とは光合成の機能を有しない初期のバクテリアのことだ

3

3. 匿名処理班

  • 2024年01月09日 23:39
  • ID:Wg6F4a960 #

>>2
初期のバクテリアが生きていくのに必要な物を作る元なんだから「起源に関する秘密」なら然程間違って無いと思うけど
このタイトルは一応「起源その物の話じゃないよ」って言ってる

4

4. 匿名処理班

  • 2024年01月10日 08:34
  • ID:VQh7pXN70 #

この前段階と考えられてる硫化水素還元古細菌の発生は更にその前となる訳だし、それらの前段階となる遺伝子構造の成立は当然もっと前となる。
この調子で遡ってたら地球の冥王代が終わって冷えた途端に生命発生したまで行くんじゃないかな。

原始のスープかき混ぜて凄まじい数の試行を繰り返す暇なく発生したとなると、答えは一つしかなくなるな。

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5. 匿名処理班

  • 2024年01月10日 10:36
  • ID:FvDfUOi70 #

>>3
>初期のバクテリアが生きていくのに必要な物を作る元なんだから
この認識が間違ってる。
酸素発生型光合成に頼らない生態系はいくらでもあるし、最初期の生命はそういうタイプと多くが考えている。

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6. 匿名処理班

  • 2024年01月10日 12:40
  • ID:QN8LVo4k0 #

まあ、植物の始祖みたいなものだよシアノバクテリアは。
ここからやがて膜に覆われた核を持った我々にとってなじみ深い真核生物が誕生していく。

7

7. 匿名処理班

  • 2024年02月09日 23:21
  • ID:r5YRZcRV0 #

>>2
どの段階の「生命」の起源についてのハナシか、の認識の違いでは?
そんなことを言い出すと初期のバクテリアすら生命の起源ではなくなり、生命のスープの中で化学合成されたRNAからいかにDNAとアミノ酸が生産されるまでに至るかの話になるかもよ

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