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超大質量ブラックホールの自転が史上初めて証明される

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(著) (編集)

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 ブラックホールが、自転していることを示す、直接的な証拠が史上初めて発見されたそうだ。

 そのブラックホールは、おとめ座の方角にある楕円銀河「M87」の中心にある。20年分の観測データから、そこから噴き出すジェットがコマの軸のように歳差運動をしていることが確認されたのだ。

 これによって、アインシュタインの一般相対性理論の正しさが、またも裏付けられることになった。

 日本の国立天文台や総合研究大学院大学など、国際チームによるその成果は『Nature』(2023年9月27日付)で報告されている。

ブラックホールは自転するのか?

 ブラックホールが自転しているだろうことは、かねてから予測されていたことだ。

 光ですら逃げられないブラックホールの重力に捕まった物質は、まるで渦のような円盤を描くようにして引き寄せられる(排水口に流れる水を想像すればいい)。

 やがてそうした物質は事象の地平面を超えて飲み込まれているが、すべてが重力の彼方に消えていくわけではない。じつは一部は吐き出され、超強力なジェットとなって噴出する。

 その噴出スピードは光速の99.9%。このジェットがなぜこのような膨大なエネルギーで噴出するのか確かなことは不明だ。

 だが一般相対性理論によるならば、もしもブラックホールが高速で自転しているのであれば、その磁場からそれだけのエネルギーを得ることもできると推測されている。

 もし本当にブラックホールが自転しているとすれば、その回転は誕生するときに勢いづいたと考えられている。

 フィギュアスケートの選手が腕を縮めてスピンを加速させるように、星が自分の重力で内側に崩壊することで、回転が加速したのだ。

 しかも、自転はだんだんと加速するだろうと考えられている。ブラックホールによって引き裂かれた星や、巨大な質量を持つ天体同士の衝突で生じた物質が落下してくることによる影響のせいだ。

 とは言っても、これまでブラックホールの自転を裏付ける直接の証拠は見つかっていなかった。それが今回ついに発見されたのだ。

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photo by iStock

「M87」の中心にある太陽の65億倍という怪物ブラックホール

 それはおとめ座の方角にある「M87銀河(メシエ87)」の中心にある超大質量ブラックホールで発見された。

 「M87*」と呼ばれるこの怪物のようなブラックホールは、太陽の65億倍もの巨大な質量で、銀河系全体をつなぎとめている。

 M87*はこれまででもっとも研究が進んでいるブラックホールでもあり、2019年には史上初めて撮影にも成功している。

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イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT/Event Horizon Telescope)が撮影した銀河M87中心の巨大ブラックホールシャドウ / image credit:EHT

ブラックホールが自転することを証明

 今回の研究チームは、世界にはり巡らされた電波望遠鏡ネットワークで、この超大質量ブラックホールを2000年から2022年にかけて観察。そのジェットがまるでメトロノームのように11年周期で揺れていることを突き止めた。

 この事実は、M87*の軸が、ちょうど回転するコマの軸のように、回転しながらゆっくりと揺れている(歳差運動)ことを物語っている。

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(上)EAVN等で撮影したM87ジェットの電波画像の例。2013年から2018年にかけて7ミリメートル帯の波長で撮影された多数の画像を、2年分ずつ平均して3つの画像にしている。各画像の中心部から伸びる矢印はジェットの噴出方向を表す。(下)2000年から2022年の間に測定されたジェットの噴出方向の時間変化。赤色の曲線は、測定結果と最もよく一致する11年周期の歳差運動のモデルを表す。 / image credit:Cui et al. (2023)

 これはアインシュタインの理論の正しさを裏付けるまた新たな証拠だ。

 それと同時に、どのような破壊的現象ならこのような高速回転を作り出せるのかなど、新たな謎も浮かび上がってくるとのことだ。

References:Precessing jet nozzle connecting to a spinning black hole in M87 | Nature / Scientists just proved that ‘monster’ black hole M87 is spinning — confirming Einstein’s relativity yet again | Live Science / Monitoring of radio galaxy M87 confirms black | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo

References: :Precessing jet nozzle connecting to a spinning black hole in M87 | Nature / Scientists just proved that 'monster' black hole M87 is spinning — confirming Einstein’s relativity yet again | Live Science / Monitoring of radio galaxy M87 confirms black | EurekAlert!

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この記事へのコメント 30件

コメントを書く

  1. 元々ウルトラマンの出身地はこのM87銀河の予定だったのに誤植でM78星雲になったんだよね

    • +7
  2. 一瞬ウルトラマンの故郷と勘違いしてしまった

    • +5
  3. 光って質量がないからあの速さなんだよね?
    その99.9%って同じく質量ないんか?

    • 評価
    1. >>4
      噴出される物質に質量があるから光速の99.9%しかでないのではと

      • 評価
  4. 現在の理論だとブラックホールの特異点は極限の1点にまで圧縮された存在だけど、そこからちゃんと自転の影響が外に伝わってるし、質量の大きさが事象の地平面として反映されてるのが感覚的には不思議。究極の1点に回転も何も、重いも何もあんのかと。そう考えるとブラックホールの情報パラドックスって全くのゼロではないよなと。

    • +3
    1. >>6
      点に回転なんてあるものかという直感は正しい
      専門家の間では回転してるブラックホールの特異点は点じゃなくてリング状になってると考えられてるよ

      • +1
    2. >>6
      相対性理論を無視したよくある勘違い
      外から見るとBHに落ちる物体は事象の地平面を通過するのに無限の時間がかかるよ
      最後の物体がBHに落ちて、BHになる直前か直後が、外からでは観察できないよ
      だから、外から見るとBHは玉ねぎ状になっているはず、という論文がある

      さらに言えば、外から見るとBHは存在しないように見えるかもしれない

      • 評価
  5. 降着円盤は自転軸の傾きによってぐにゃぐにゃ波打ってるのかな?

    • +4
  6. つまりW87星人のいう反プラズマエネルギーはブラックホールの可能性が微レ存と

    • 評価
  7. BHジェットの発生メカニズムは、アンペールの法則とBHの高速自転によって説明される。
    BHが物質を飲み込んでいるというのには強い疑問がある。
    降着円盤の鉄などの物資は全てプラズマ化して軽くなってる。
    それらは電気を持ってるわけだから、全て磁場ストリームに吸着するはず。
    そしてジェットとして放出されるが、ジェットからは水素とヘリウムしか観測されない。
    水素とヘリウムしか吸着しない電磁気力って何って話。

    • 評価
  8. 世界の片隅で俺も生きてるけど誰も観測してくれない

    • +1
  9. ブラックホールは「光すら脱出できない」というフレーズを冠して絶対性を強調されるのに、
    どうしてジェットが脱出できるのか、これを昔から矛盾に感じる
    ここを素人にも分かるように説明してくれ

    • +2
    1. >>11
      中に落ち込んだものが飛び出して来とるんやないで。

      • +4
    2. >>11
      脱出できないのはブラックホールに吸われてから。吸われる前なら逃げられる。

      • +3
    3. >>11
      そもそも光は質量を持たないのになぜ落ちるのかという疑問から始まる。
      これについては空間が歪んで巨大な凹みが発生することで、光が進む本来の直線の道が急カーブで下に降りる道へ変わってる。光は脱出できないというか単に用意された道に合わせて下へ進んでいるだけなんだよ。

      • 評価
    4. >>11
      みんなが書いているが膠着円盤の外側をうろついている奴が、吹き飛ばされているのがジェット何やで
      あと「ホーキング放射」を介してブラックホールに取り込まれた物質も外に飛ばされていたりする

      • +5
      1. >>20
        物質そのものじゃなくてエネルギーの放射ですな。
        まあ実際に放射するには宇宙がブラックホールより十分に冷えてからになるみたいですが。

        • +2
    5. >>11
      ブラックホールから十分遠ければ、落ちるのを免れて脱出できる。
      逆に落ちるほど近づいたら脱出不可能。この脱出不可能になる境目のことを「事象の地平線」と言う。
      (光すら脱出不可能であり、宇宙の情報は光を手がかりに記述されるので、そこを越えた先のことは現代物理学では記述も観測もできない、まさに「出来事の境目」という意味で「事象の地平線」と呼ばれる)

      落ちるのを免れた物質は、それでもブラックホールの強烈な重力に引っ張られてものすごく加速される。
      加速するけど落っこちはしないので、ブラックホールの境界面をかすめるような軌道を描いて外側に吹っ飛ばされる。スイングバイ航法と同じ原理。
      この加速されすぎて逆に吹っ飛ばされた物質が、プラズマジェット。加速されすぎて物質の形は崩壊してプラズマになってる。

      • +1
  10. 特異点自体がちゃんと質量を持って存在しているといっていいということだろうか
    説明しきれない存在と思っていたが

    • +1
  11. ブラックホールから観測される放射線は全て磁場の中からのもの
    これは物質が事象の地平面に入った証拠にならない
    一方でジェットは大量の物質を放出している

    • 評価
  12. またしても宇宙の謎は解き明かされ、そして新たな謎を呼ぶのであった!

    • 評価
  13. フィギュアスケートのスピンをブラックホールの自転と並べていいのかな?
    宇宙空間と地球上では…なんて素人は思う。

    11年周期なんて、太陽のなんかの周期と一緒じゃない?
    何かの法則があるのかしら?

    ド素人もワクワクするぅ。

    • 評価
    1. >>21
      角運動量保存の法則というのを調べてみると良い。
      エネルギー保存の法則と同じくらい、力学や物理学では基礎的かつ重要なこの世界のルールの一つ。

      • +2
  14. 事象の地平線は無いって研究もなかったか?

    • 評価
  15. 1970年代にロイ・カー博士が証明済みだと思い込んでた

    • 評価
  16. もしブラックホールが光速で自転したらなどうなるんだ?
    遠心力で釣り合って重力を持たない星になるのか??

    • 評価
  17. しかし調べてたがブラックホールの自転の速さはほぼ光速か・・・本当に反対の吐き出す速度によっては過去にも行けるかもしれんな。

    • 評価
  18. ブラックホールは、空間と空間を結ぶ脱腸みたいなものなのだ!
    ブラックホールができると空間は、バキュームされ直径2メートルの真っ黒い塊に圧縮される!
    (人間が一瞬で700メートル上空に飛び上がる程の吸引力だったと言われている)
    by長野県飯田市のニート

    • 評価

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