
ドライバーのスピード違反対策は世界各地で行われているが、簡単に減速をうながすにはどんな方法があるだろう?
フランスの小さな町ボーネにあるのはドライバーに錯覚を促すユニークな仕掛けだ。この町は危険なスピード違反防止のため道路に直接シンプルな工夫を取り入れた。
意外にも即効性が見られたという斬新な道路標示。だがやはり、どう見ても迷路のようで逆に迷いそうなその車線には、さまざまな意見が殺到している。
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フランスの町によるスピード違反を減らすアイデア
このほどユニークなスピード違反対策で一躍話題になったのは、フランス西部メーヌ=エ=ロワール県の自治区アンジェにある小さな町ボーネだ。人口わずか 1,700 人ほどのボーネの町は、いつも大渋滞に悩まされていた。住民の数は少ないが、町の中で2 つの県道が交わるボーネでは、毎日大量の車が道を通り過ぎるのだ。

image credit:JOSSELIN CLAIR
一日の通行量は約 2,300 台。町の人口を超える車が町の道路を通過する。目的地に急ぐドライバーは、交差点でもよく見えるよう設置した時速30キロ制限の標識もガン無視で、中には時速100キロで飛ばすドライバーもいたりする。
危険なドライバーに減速させる手はないものか、と困り果てていた町はある日、白線を重ねてわかりにくするという仕掛けを採用した。それが意外にも見事に機能してるという。
道路に曲がった白線を複数引くまぎらわしい仕掛け
町が採用したスピード違反防止の仕掛けは、見てのとおり道路に白線を複数引くというもの。フランスのニュースメディアLe Courrierより
ポイントは、対向車線をくっきり分けるまっすぐなセンターラインではなく、複数の白線が重なり合うよう引くこと。なのでどの線も曲がっている。😮 Ce nouvel amenagement routier a cree la surprise, voire l’incomprehensionhttps://t.co/Gdd6STbXnt
— Courrier de l'Ouest (@courrierouest) July 21, 2023
つまりドライバーにとっては、ふだんなにげに基準にしてる白線の境界がなく、あちこちに曲がる白線だらけということになる。
Le Courrierより現地の様子
運転する側からすれば、最高にまぎらわしい細工であり、走りにくさ倍増の妨害工作仕様だが、だからこそこの仕掛けがある道路は慎重に走らざるをえなくなる。
この対策によって視覚的な錯覚が生じたドライバーは自然と減速したり、道路標識や交通ルールといった他の情報に注意を払うというわけだ。
「無茶」「無意味」「なぜ」と非難が殺到
一方この風変わりな対策の写真がフランスのSNSで取り上げられたことを機に拡散すると、それを見た人のほとんどがしばし頭を悩ませた。
image credit:JOSSELIN CLAIR
「センターラインなしで走れなど無茶」というつっこみが相次ぎ「妙な白線を広場まで広げるのは無意味じゃないか」という声や「なぜ信号やロータリーを設けるとか普通の対策をしないのか?」と疑問を呈する声も上がった。
開発担当者の副市長がドライバーの速度は大幅に低下と公言
減速のためにドライバーを錯覚させる道路標示とはなかなかに斬新だが、実際の効果はどれほどのものなのだろう?この地域の道路開発責任者であるメーヌ=エ=ロワール県ロワール=オシオン市の副市長、グレゴワール・ジョーノー氏は「この白線を引いた当日からドライバーの速度が大幅に低下したデータが得られた」と述べている。
だが地元のコミュニティでは、効果は一時的なもので、ドライバーがこの仕掛けを理解すれば途端に以前と同じスピード違反が始まるだろうと予想する者もいるそうだ。
事故防止のため道路に錯覚を採用する例はカナダでも
てことで、詳細な効果のほどはあまり公表されてないようだが、車の走行をかく乱するような対策はやっぱり危険な気がしないでもない。見慣れない白線でドライバーの気が散ったり、センターラインを探そうとしてうっかり衝突なんてこともありそう。
ただ同様の目的で、道路に錯覚を採用する例は世界中にある。
たとえばカナダのバンクーバーでは、学校のそばで子どもの交通事故が多発する交差点でドライバーが減速するよう、路面にだまし絵を導入した。
その様子がこちら。カナダの公共安全団体 preventable が公開した、子どもの急な飛び出し防止のために導入しただまし絵の事例
You're Probably Not Expecting a Child to Run Out On the Road
そのだまし絵はドライバーが接近するにつれ、道路の真ん中でボールで遊んでいる女の子がいるような絵を表示する仕掛けで、地元の公共安全団体が独自のリスク評価により「この試みに安全かつ一定の効果がある」と報告している。

image credit:Traffic Safety Foundation Vancouver
このアイデアについても「ドライバーをだます意図」に非難の声もあるが、団体はこの絵に本物の子どもと見誤るほどリアルな「飛び出す」効果はなく、30m先からでも平面な絵があることがわかり、ドライバーを驚かせる効果もないとし、この交差点に適切な試みだと賛成しているそうだよ。References:odditycentral / cnetなど /written by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ネットで話題集めようとしていると大体が他が既にやったネタになっちゃうんだよね
2. 匿名処理班
白線が交わっているところに殺意を感じるんですが?
3.
4. 匿名処理班
カナダの公共安全団体が公開した、子どもの急な飛び出し防止ってのはこれ違うだろ。
子供が急に飛び出しても車側が減速してるから事故になりにくいってだけで。
この絵に驚いて別の事故を誘発したら責任取れるんかよ?
子供側が車道に飛び出す事をしなくなるような策はないのか。
馬鹿なガキが肝試し感覚で車道に飛び出る遊びしてるくらいやぞ。
横断歩道でない所で急に飛び出した子供を避けられずはねても罪には問わないし賠償請求も認めない、くらいすればいいのに。
子供の安全は親が死ぬ気で教育すべきことだわ。
5. 匿名処理班
「錯覚」って書いてあるから、フランスの方も最初はカナダの例みたいに、走行中のドライバーから見ると、対向車との衝突リスクは低いけど速度は下げたくなる錯視でも仕掛けてあるのかと思ったら、単に視認性を下げてるだけなのか。
カナダは頭良いけど、フランスの方は非難も出るだろうというか、もし正面衝突事故が起きたら責任の所在が曖昧になりかねない気がする。
6.
7. 匿名処理班
落下物で死亡事故起きたら終わりやな
ただ事故が起きてないだけでバンプ設置くらいの方が数倍良い
8. 匿名処理班
私が事故ったのはこの線のせいです!
9.
10. 匿名処理班
信号機作ったら?
11. 匿名処理班
子供の絵を書くやつは、そのうち絵だと思って子供を跳ねる例が出そうだな。
12. 匿名処理班
こういうのが必要になるほど悪質なドライバーが多いって事なんだろね
乱暴な運転のドライバーが数多くいるのは世界どこでも同じなんだねぇ
13. 匿名処理班
線がなんにも描いていない広い路面と、線がめちゃくちゃに描いてある広い路面、
どちらも意味は持たないけども、これで人の行動が変わるのは面白い。
14. 匿名処理班
>>4
少なくとも日本では路上に障害物を見つけたら停車または減速するって決まりだから、絵に驚いて事故る人なんていないよね?あと一人歩きの子供がいるときは徐行か一時停止して通行を妨げちゃ駄目なんだから、クルマ側が気をつければいい話。免許持ってるならもちろん知ってるだろうが念のためね。
15. 匿名処理班
自動運転系の機能は効かなそうだね
16. 匿名処理班
自動運転車確実に事故るなこれ…
17. 匿名処理班
ポールを設置して車一台しか通れない場所を何カ所か作るってどうだろ
18. 匿名処理班
他所でリスクをとって実験してくれてるんだから、結果を待ちましょうよ。実際に交通事故が減るかどうかが全てでしょ。
19. 匿名処理班
日本のドライバーも大概だけどな。コンビニショートカットとか当たり前のようにやるし。
オレンジライン割って逆走してでも追い抜きするのもいるじゃん。
結論、頭のおかしいドライバーはどの国にも必ずいる。そんで脳みその悪さは治らん。
20. 匿名処理班
将来的にはフロントガラスにARで飛び出す子供を表示して、適切にブレーキを踏めたか記録される(保険料の計算に影響)とかになるのかな
21. 匿名処理班
車酔いしそうで逆に事故起こるのでは……。
22.
23. 匿名処理班
アミダくじ見たいで楽しそう
24. 匿名処理班
>>14
>路上に障害物を見つけたら停車または減速する
からこそ、視認した途端
「えっ、子供!?」と驚いて めいっぱい急ブレーキし、
後続車が追突、という事故パターンも有り得るかもよ…?
本物の子どもと見誤るほどリアルな絵じゃないと云うけど、
たそがれ時だったりしたら、どうだか。