
この発見物は、ベオグラードが、ローマ帝国の入植地である古代都市、シンギドゥヌムとして知られていた時代にさかのぼるものだ。
今回、地下駐車場の建設に着手しようとしたところ、予期せぬ歴史的発見に繋がったそうで、これまで、周辺では3世紀と4世紀の古代ローマ時代の墓が14基見つかっている。
セルビアの首都で次々と発見される古代ローマの遺跡
今回、首都ベオグラードの中心部に地下駐車場を建設しようとしたところ、驚くべき古代遺跡の発見がもたらされた。そこで工事を延期し、先に本格的な発掘調査が開始された。ベオグラード市立博物館の考古学者、ミロラド・イグニャトヴィッチ氏によると、これまで3世紀から4世紀にかけての古代ローマ時代の墓が14基見つかっているという。
墓のうち2つは、長方形の基部に、レンガで作られたアーチ型の丸天井があった。もう2つは、レンガで長方形の棺の形に積まれて作られていた。さらに、ローマ時代にもっともゴージャスな埋葬と考えられていた、4つの石棺も発見されている。

40年前にも、近くでローマ時代の墓が発掘されているが、近年、このエリアでの遺跡発見が相次いでいる。
ナチス・ドイツが当時のユーゴスラビアを侵略、占領していた第二次大戦末期の、連合軍による爆撃の遺構が初めて見つかり、17〜18世紀のオスマントルコの入植地跡も発見されている。
それに加えて、数週間前からローマ時代の墓が次々と現れ始めたのだ。「私たちの期待が、現実のものとなったのです」イグニャトヴィッチ氏は言う。

ローマ時代の古代都市シンギドゥヌム
シンギドゥヌムは、ローマ軍がこの地にいた敵対部族を負かした後の西暦1世紀、最古のケルト人町跡地に建設されたという。その後、ドナウ川の南の国境、ローマの属州モエシアの主要な入植地のひとつとなった。
ダキア人、ダルダニア人、スコルディスキ人、その他の敵対部族である蛮族の侵略から、この場所と近隣の土地を守るため、少なくと2軍団のローマ兵士たちが、駐屯していた。
西暦117年から138年まで統治したハドリアヌス帝は、シンギドゥヌムを都市として認め、住民をローマ市民とした。363年から364年統治のヨヴィアヌス帝は、331年にこの町で生まれた。
その後、シンギドゥヌムはこの地域におけるローマキリスト教の中心地となり、一時期は、東ローマ帝国(ビザンティン帝国としても知られる)の一部だった。
だが、441年、フン族の侵略によって陥落、町は焼き払われ、住民は奴隷にされた。

古代ローマ時代の水道橋は驚きの発見
墓はこれまでにも見つかっていたが、まさか、ローマ時代の水道橋までが現れるとは発掘チームは思っていなかった。およそ60メートルの鉛のパイプが出土し、近くのローマ砦へ水を供給するため、2世紀に初期の水道橋を延長したものだと考えられるという。

ベオグラードにある、ローマ時代の墓のほとんどは、後に略奪されてしまったが、金のネックレスの一部や、ユニークなガラスのヘアピンなど、いくつかの遺物が残っている。これらは、ベオグラード市立博物館に展示される予定だという。

References:Arheolozi su kod Skupštine konačno naišli i na rimsku nekropolu i fenomenalne grobnice - Sve o arheologiji / Roman aqueduct and 'luxurious' burials unearthed during construction of underground parking garage in Serbia / written by konohazuku / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
歴史てんでダメなんだけど、あの辺りの支配と戦乱に満ちた国の一つなんだね。
2. 匿名処理班
「鉛のパイプ」って飲んだら中毒になりそう。
3. 匿名処理班
2000年後も民族闘争でゴタついてるとは当時のローマ人も思うまい。
4. 匿名処理班
日本の建築業界だと遺跡が出ても
工期の遅れを嫌って
見つからなかった事にして
遺跡壊して工事進めちゃうんだってね…
5. 匿名処理班
>>2
なるぞ
ローマが滅亡した原因の一つが鉛中毒だ
鉛は安価で加工しやすくさびにくいので好まれていたので、水道管だけじゃなくて食器や調理器具も鉛が多用されていた
有名なのはワイン用のゴブレットの内張り(酸っぱくなったワインが甘くておいしくなるから)
他にも白粉や美容クリーム、医薬品、変わったところではハゲ治療薬や精力剤にも鉛が添加されていた
6. 匿名処理班
>>5 一部のローマ人の人骨から鉛が検出されたみたいだね。