メインコンテンツにスキップ

船が座礁し、2か月間海を漂流した男性と犬が奇跡の救出。生魚と雨水で命をつないでいた

記事の本文にスキップ

33件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 広い海原で座礁し、数か月間救助がない状況でも生き延びられたとしたら、それは運とサバイバル技術が奇跡を導いたといえるだろう。

 オーストラリアの船乗り、ティム・シャドックさんは、3か月前にメキシコを出航したが、数週間後に嵐で座礁し、その後2か月間、犬と共に太平洋を漂流していた。

 7月に偶然マグロ漁船を監視していたヘリコプターによって発見され、シャドックさんと犬は奇跡的に救出された。

 シャドックさんは髭が伸び痩せ細っていたが、生魚と雨水で命を繋いでいたことを明かした。

Australian sailor ‘so grateful’ for rescue after three months adrift off Mexico with dog

異国で出会った犬と共に航海中、船が座礁

 オーストラリア・シドニー出身のティム・シャドックさん(51歳)は、1人で船に乗って旅をしている途中、メキシコで犬と出会った。

 ベラと名付けられたそのメス犬は、シャドックさんから離れようとしなかったという。ベラに家族を見つけようとしたシャドックさんだが、ベラは彼が船に乗るたびについてくる。

 そこで彼はそのままベラを乗せ、4月にメキシコのラパスを出航し、5000km以上離れたフランス領ポリネシアに到達しようとしていた。

 ところが、航海開始から数週間後、嵐に見舞われ、船が座礁した。

この画像を大きなサイズで見る

漂流生活2か月後、奇跡的に救出される

 電子機器と通信システムが損傷したため、シャドックさんは助けを求める連絡をすることができず、ベラと共に太平洋を漂流していた。

 それから2か月後の7月12日、メキシコを出航してから実に3か月後に、奇跡が起こった。

 メキシコのマグロ船「マーシャ・デリア」を監視していたヘリコプターが、シャドックさんとベラが乗っている船を発見したのだ。

 ついに、漁船団グルポマールの社員たちに救助されたシャドックさんは、痩せ細って髭が伸びていたが、船の上で立ち上がることもでき、救助隊の質問に答える気力はまだ残されていた。

 しかし、食糧も不足していて危険な状態にあったため、メキシコのマナジージョ市に搬送される前に、乗組員が食事と水分補給、そして治療を提供した。

この画像を大きなサイズで見る

サバイバル技術を活かして生魚と雨水でしのいでいた

 太平洋の大海原で犬と漂い続けていたシャドックさんは、生魚を食べ、雨水を飲み、小さな船の天蓋の下で太陽を避けて、これまで生き延びてきたという。

 釣り道具やサバイバル用品を船に積んでいたことが、命を繋ぐ結果になったと思われる。

 海洋サバイバルの専門家マイク・ティプトンさんは、このように話している。

シャドックさんの持久力は運とサバイバル技術の組み合わせによるものです。

また、彼は日中の暑い時には自分の身を守る必要があることも知っています。なぜなら、脱水症状の危険にさらされているときに一番避けたいのは、発汗することだからです。

シャドックさんは、気候と立地のおかげで新鮮な水の供給を確保できたのでしょう。

このような長い航海は、歴史を振り返ると暖かい環境の太平洋で行われることが多いです。万が一座礁した場合、寒い環境だと生き延びる確率はより低くなるからです。

とはいえ、シャドックさんが助かったのは奇跡で、「干し草の山の中の針」を見つけたようなものです。

人々はこの船がいかに小さいか、そして太平洋がいかに広大であるかを理解する必要があります。 遭難者が見つかる可能性は、かなり低いです。

さらに、窮地をシェアするベラがいたことが、違いをもたらしたかもしれません。

座礁となると、その日その日を懸命に生きる必要があり、試練を乗り越え、諦めないためには、非常に前向きな精神的態度を持たなければなりません。夜の海の暗さを想像してみてください。

何が起こるかわからない長期航海には、計画を立てて水と食料を十分配給することが、生き延びる秘訣なのです。

漂流中は相棒のベラが大きな慰めになっていた

 友人の話によると、シドニーのIT業界で働いていたシャドックさんは、その後退職し、新たな挑戦を探していたそうだ。

 大腸がんを克服したこともあり、旅に出て航海を決意したのだろう。旅の途中のメキシコで出会ったベラは、シャドックさんのよき仲間となっていたようだ。

この画像を大きなサイズで見る
image credit: youtube

 太平洋で漂流していた数か月の間も、ベラはシャドックさんの大きな励みになっていたことで、生き延びる気持ちを持つことができたのかもしれない。

 後のメディア取材で、シャドックさんはベラの存在にとても救われたと語っている。

ベラとの別れを余儀なくされる

 しかし救助後、シャドックさんとベラは別れることを余儀なくされた。

 健康状態を完全に回復させるために、シャドックさんは家族の待つオーストラリアへ帰ることになったのだ。

私は、ベラとメキシコで出会ったとき、ベラのために飼い主を見つけようとしました。でも、ベラは何度も私の側を離れることを拒否しました。

私を飼い主に選んでくれたベラに応じて、一緒に旅を続けようと思いました。(シャドックさん)

 漁船の乗組員が救助に近付いたときも、ベラはボートから離れようとしなかったそうだ。

 ともに窮地を乗り越えた仲間であるにもかかわらず、ベラと離れ離れになってしまうことはシャドックさんにとってもベラにとっても辛い。

この画像を大きなサイズで見る

 だが、国外のペットをオーストラリアに持ち込むために必要な手続きは複雑かつ厳格で、かなりの費用がかかる。シャドックさんはベラと別れる決断を強いられたのだろう。

 犬は「承認国」からの入国を完全に許可される前に、ワクチン接種やマイクロチップの装着、検疫での隔離期間を受けなければならない。

 残念ながら、メキシコはオーストラリアへのペット輸入が承認されている国のリストに載っていないため、ベラを連れて行くのはより一層の困難を伴うことになるのだ。

ベラはすぐにメキシコの漁船乗組員に引き取られる

 結果、ベラはメキシコに戻ったマグロ漁船の乗組員ヘナロ・ロザレスさんに引き取られたという。

 シャドックさんはベラを大切にしてくれることを条件に、ロザレスさんに引き渡したようだ。

 ボート乗組員たちは、すぐにベラを気に入り、「素晴らしい」と評した。また、口々に「この犬は私よりもずっと勇敢だ、それは確かだ」とベラを称賛した。

この画像を大きなサイズで見る

 シャドックさんは、疲れた表情だったが、救助されたことに大きな感謝の言葉を口にし、このように語った。

ベラは美しく、特別な犬です。ベラが生きていることにただ感謝しています。

私を救助してくれた船長や漁業会社の人たちには、感謝してもしきれません。私は今生きていますが、本当に生き延びることができるとは思っていませんでした。

しばらくの間、健康状態がかなり悪かったので辛かったです。 かなり空腹だったし、嵐を乗り越えられるとは思いませんでした。

漂流中は、何かを修理して時間を過ごし、「ただ水の中を楽しむ」ために海に入って前向きに過ごしました。

海にいるのは本当に楽しかったし、外にいるのも楽しかった。だが、状況が厳しいときはただ生き残ることだけを考えなければならない。

そして救われると、再び生きたいと思えるようになる。救助されたことに、とても感謝しています。

今は、とても気分がいいです。頑張ったと自分でも思います。

Aussie sailor and his dog have been rescued after months lost at sea | 9 News Australia

 シャドックさんを診断した医師によると、厳しい試練の中にいたにもかかわらず、彼の健康状態は良好だそうだ。

 とはいえ、究極の状況にあったシャドックさんは、ゆっくりと正常な状態に戻る必要があり、数か月は経過観察をしながら、必要に応じてさらなる治療を受ける予定だということだ。

 ちなみに、シャドックさんを発見した漁業会社でグルポマー社のアントニオ・スアレス社長は、同社での船団を近代化していて、同船は最小で50年以上経過しているため、これがマリア・デリア号の最後の航海になる可能性があると述べた。

 もしそうなら、それは「人命を救った船としての、素晴らしいお別れになるだろう」と、スアレス氏は語っている。

References:‘Very well’: Doctor’s update on Aussie sailor after months stranded at sea/ written by Scarlet / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 33件

コメントを書く

    1. >>1
      救出される役ならマット・デイモンの右に出る者はいない

      • 評価
  1. なんだろう
    シャドックさんとベラの温かくも壮絶で少し物悲しい結末と、彼らを救助した船の有終の美を感じさせる終わり方が一本の映画を見てるみたい
    不思議な余韻の残る記事

    • +27
  2. 魚を生身で食べる事で生物ビタミンを接種出来たんだろうな
    焼いたり干したりするとビタミン不足で壊血病となり命を落とす。
    犬もご主人とよく頑張った、奇跡だね。

    • +20
    1. >>3 子供のころ見た、未来少年コナンで似たシーンがあったのよね。なるほどコナンが生き延びたのはそういうわけだったのね。ありがとう。

      • 評価
    2. >>3
      生魚を食べるなんて…!て思ったけどよく考えたらただの刺し身だった。全然いけるw

      • +4
      1. >>28
        サバイバルキットに醤油を入れておこう

        • +1
  3. ベラとの出会いから救助船のことまで
    脚色ナシで映画化できるわ
    あとは元気になって、メキシコまでベラに会いに行こう♪

    • +16
  4. おっさん一人ならなにも思わないのに旅先で出会った犬とというだけでもう号泣

    • +12
  5. オーストラリアも日本と同じ有数の狂犬病のない国だし、独自の生態系を守ってる国だからなぁ。特に検疫は厳しいんだろうね
    これがメキシコの人だったら話は違ってたのかな

    • +3
  6. オーストラリアの人ならメキシコの犬は連れて帰れないよなあと思ったらやっぱりそうだったか
    大切にしてくれるといいな

    • +14
    1. >>7

      自分は指定地域じゃない国から、動物を輸送する方法も値段も大体わかるので、この方が犬を置いいったのは非常に残念です
      多少たいへんではありますが普通にできるし、無理ってほどのことでもないので
      (そもそも自分でメキシコから犬を連れ出してしまうときに最終的に自国に連れて帰れるかどうかその時点でスマホで調べればすぐにわかっていた上での行為だったはず)

      ここに書かれている以上のとてつもなく困難な個人的事情がこの男性にあったならしかたなかったのかもわかりませんが、この記事内容だけなら残念過ぎます

      • -3
      1. >>32
        出航前から飼ってくれる人を探してるし
        もともと自国に連れて帰るつもりはなく
        寄港地でいい飼い主を探すつもりだったと思うよ

        本人は痩せてもベラが瘦せてない
        ちゃんと大切にされてたよ

        • +5
        1. >>33
          記事と動画に情報があることについては全て目を通し、その上での意見ですので、そこにあることを改めてお書きになられても意見は変わらないです
          連れて帰るつもりもない犬を船に乗せたの?というところから正直、不信感を持っています

          もちろん船でお互い仲良くしてたでしょうからこそ、ベラはこの危機的な状況で一緒に過ごした相手と引き離されて連れていかれるときも座り込んで拒否してるのを動画で見ると胸が痛みました
          犬には言葉で詳しく理解し納得できるように説明できないからこそかわいそうと思います
          元捨て犬ならまた捨てられたと思ったでしょう

          記事には「かなりの費用がかかる。シャドックさんはベラと別れる決断を強いられたのだろう。」と想像で書いてるのも気になるところです
          正直、「本当にそれだけの理由で?何か月か飼ってまた手放すの?」と感じてしまいました

          元野良犬だろうと「飼うなら最後まで」が多くの人に共通の倫理観であってほしいのです(犬にとっては陸上の家で飼われるのも海上の船の中でも共に過ごした状態です)

          • -5
  7. 小さなヨットにも積める
    海水淡水化装置みたいなものは無いのだろうか?

    • +5
    1. >>8
      そういう装置は荒波で真っ先に壊れるし修理も難しい。
      サバイバルで有名なビニールシート式蒸留法とか
      古典的でアナログな方が超長期戦には強い。

      • +6
    2. >>8
      救命ボート用の蒸留装置はあるようだ。「大西洋漂流76日間」で見た。

      • +1
  8. おじさん一人なら耐えられなかったあろうなあ
    救出の希望が見えない海での漂流は体より先に心が弱るだろうし
    全部丸く収まってよかった

    • +9
  9. イーパブとか乗せてなかったのかしら

    • 評価
  10. アニサキスで胃やられなくてよかったな

    • +10
  11. 感動する話だと映画化いう人いるけど、そんな簡単に作れないよね

    • +4
    1. >>13
      映画は無理だろうな。良くても世界まる見えか世界仰天ニュースくらいだろうな。

      • 評価
    2. >>13
      この手の映画はたくさんある
      CGに大金を掛け大津波とか巨大タコとか水中映像とか特化してないと無理だな

      • -2
  12. シャドックさんは生魚と雨水だけど、ベラは何食べていたのだろう?犬も生魚イケるのかな。

    • 評価
    1. >>15
      犬は雑食だからなんでもいけるよ。
      というか本来なら人間以外は肉も魚も生で食べるしかないわけで。

      • +6
  13. ベラの分の食糧も確保しなければならないからよけい大変だったろうけどそれ以上に彼女の存在に助けられてたんだろうね。船員たちがベラを最後まで大事にしてくれることを願います。

    • +6
  14. 自分一人でも生きるの大変だったろうに犬も2か月ちゃんと生かしたのすごいと思う
    痩せてらしたし食べ物が余分にあったわけではないはずだから、助かるかどうかもわからない中で自分が十分に食べるよりも分けて1人と1匹で生きることを選んだんだろうなあ
    誰にでもできる事じゃないわ

    • +7
  15. >ベラは美しく、特別な犬です。ベラが生きていることにただ感謝しています。
    シャドックさんの運が良くて助かったのか、ベラの運が良くて助かったのか?
    ベラの運が良くて助かった可能性もあるから、ゲン担ぎの船員がベラを引き取ったという事なのかも知れないよね。

    • +1
  16. こういう極限状況じゃ気力の有無が生死を分けるだろうから、ベラがいなければ本当に命が危なかったと思う
    ベラも無事に飼い主が決まってよかった

    • +4
  17. これは映画化確定
    犬と引き離されるラストが絶妙に今どきだわ
    救助されただけでもハッピーエンドだけど
    なんとか融通効かせてほしいなぁ

    • 評価
  18. 灯も見えない夜の海を1人で漂うなんて一晩でも無理だわ
    犬が一緒でどれだけ救われただろう

    • +8
  19. あそこまでシャドックさんに付いて行こうとしていたくらいだから、ベラもオーストラリアへ戻してほしい。難しいのは承知してるけど

    • 評価
  20. シャドックさんもベラも、無事に助かって良かった…!離れ離れになってとても心苦しいだろうけど、両方とも末永く幸せに過ごしてほしい。

    • +2

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

動物・鳥類

動物・鳥類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動画

動画についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。