
このほど火星の赤道付近にある「ジェゼロ・クレーター」の2種類の岩石から、有機物のサインが発見された。
NASAの火星探査車「パーサヴィアランス(パーセバランス)」の分析によれば、それぞれの岩石に含まれる有機物は違う種類のものであるようだ。しかもそれらが水に関係するらしいこともわかっている。
生命に不可欠は有機物の発見は今回がはじめてではなく、2022年にも、パーサヴィアランスがジェゼロ・クレーターの「ワイルドキャット・リッジ」と呼ばれる場所の岩石から有機分子を検出している。
こうしたことから、火星には有機物が広く存在しており、それぞれ異なるプロセスによって形成されている可能性がうかがえるそうだ。
火星で生命に不可欠な有機物を探すミッション
「有機物」とは、炭素をもつ化合物のことで、これが作られるプロセスはいくつもある。だから有機物が見つかったとしても、そこに生命がいるとは限らない。だが、炭素が生命(少なくとも今知られている生命)にとって不可欠なものであることも確かだ。
だから、過去あるいは現在の火星に生命がいる可能性を探るうえで、有機物は重要な手がかりの1つとなる。
さらに岩石がそうした有機物をきちんと保存できるかどうかも大切なことだ。
もしもそのような岩石が火星にあるのなら、どこかの時点で生命が誕生していたか、それどころか今現在そこに生命がいる可能性すらある。
NASAの火星探査車「パーサヴィアランス(パーセバランス)」が、ジェゼロ・クレーターの中で有機物を探しているのはそうした理由からだ。

岩石によって有機物の種類が違うことが判明
今回の調査でパーセバランスは「SHERLOC」という分析機器で、「マーズ岩」と「セイタ層」に有機物の存在を示すサインがないかどうか調査した。その結果、有機物のサインが検出されただけでなく、それぞれの岩に重要な違いがあることもわかった。
有機物サインの数・種類・鉱物との関連性に特徴があり、それぞれの岩に含まれる有機物は同じものではないようなのだ。

その有機物が具体的に何なのか、はっきりと特定されていないが、どちらの岩のものも水の働きによるものであるらしい。
つまりは生命が存在するうえでもう1つ重要な条件である水が関係しているということだ。ちなみにジェゼロ・クレーターは、大昔には湖だったと考えられているところだ。

パーセバランスの火星探索はまだまだ続く
パーセバランスはすでに移動しており、今後さらに貴重なデータを送り届けてくれることだろう。次のステップは、新しい調査地でいろいろな種類の岩石を比べてみること。これによって、火星の地質学的な歴史とそこに存在する有機分子についてもっと詳しいことがわかってくるはずだ。
また仮に火星において有機物がごくありふれたものだとすれば、将来的に火星から持ち帰られる火星のサンプルの中にもそれが含まれている可能性が高いということでもある。
もしそうであれば、科学者たちはいずれ有機物を直接研究するチャンスに恵まれるはずだ。
この研究は『Nature』(2023年7月12日付)に掲載された。
References:Scientists Detect Intriguing New Signals of Organic Molecules on Mars : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo
あわせて読みたい





コメント
1. 匿名処理班
火星の生物が発見されるといいな〜
2. 匿名処理班
地球外生物の痕跡は火星で見つかり、最初の地球外生物の発見は土星か木星の衛星で見つかると思っている。
自分が生きているうちに生命の痕跡だけでも発見してほしい。
3. 匿名処理班
分析器の名前が「シャーロック」とはシャレが効いてるなぁ。