
841とタグ付けされた5歳のメスのラッコは、サーファーに近付いては、サーフボードをかじったり、無理やり奪おうとするのだ。
このラッコの母親は孤児だったところを保護され、海洋野生動物病院で出産した。841はその後モントレーベイ水族館に移され、その後野生に戻されたのだが、その1年後から問題行動が始まったという。
攻撃性がどんどんエスカレートしているため、野生動物当局が保護して水族館に戻そうとしているのだが、逃げ回って捕まらないのだそうだ。
サーファーのサーフボードを奪おうとするラッコ
7月10日、カリフォルニア州魚類野生生物局とモントレーベイ水族館は、メディア向けの声明で、公共の安全上のリスクが増大しているため、野生生物の専門家が、メスで5歳のラッコ”841”を捕獲し、水族館で飼育することを試みると発表した。ここ最近、サーファーのサーフボードを無理やり奪おうとする行為は目に余るものがあり、人間に危害をもたらす可能性があるからだ。
ツイッターに投稿された動画では、841 がサンタクルーズの海岸沖で、サーフィンボードに乗っていた若い男性から力ずくでボードを引き剥がす様子が捉えられている。
ラッコの画像を撮影した写真家マーク・ウッドワードさんは、「それは、サーフボードを巡るまさにレスリングの試合のようだ」と語っている。An amazing video!
— Native Santa Cruz (@NativeSantaCruz) July 10, 2023
This video of the sea otter attacking a surfboard yesterday was shared me and is being posted with the photographers permission. The video must remain in this tweet to be shared. This is a dangerous sea otter, avoid it if at all possible! pic.twitter.com/N7qPMFVRrt
ラッコは、かわいい姿と相反して、強力な顎と鋭い歯を持っていて、その両方がアサリ、カニ、ウニ、ムール貝、その他の無脊椎動物を砕くのに役立つ。
ここ数週間、841とサーファーとのやり取りを撮影しているウッドワードさんは、メディアの取材でこのように話している。
ラッコにボードを奪われた結果、ボードは損傷を受けました。あるサーファーは、ラッコの攻撃的な態度にびっくりしてボードを海に置き去り、岸まで泳いで戻ってきました。また、ウッドワードさんは、サーファーに攻撃的ではない時の841の写真もシェアしている。
ラッコはとても可愛くておとなしいように見えますが、こんなことがあるとちょっと怖いですね。
Otter 841 as seen this evening acting like a normal otter. There were no surfers in the water, so she was content eating and lounging in the water pic.twitter.com/Vw7QdRai8O
— Native Santa Cruz (@NativeSantaCruz) July 14, 2023
今晩観察されたラッコ841 は、通常のラッコのように行動しています。 海にはサーファーがいなかったので、彼女は水の中で食事をしたりくつろいだりして満足していました。こうしている姿は、やはりかわいいラッコのように見える。
地元警察では11日にFacebookで、「サンタクルーズではラッコとサーファーの接触事故が4件発生している。この地域の攻撃的なラッコがサーフボードに噛みついたりひっかいたり、よじ登ったりしている」と投稿し、注意を促した。
標識には、「この地域には攻撃的なラッコがいます。海へ出る行為は自己責任となります」と書かれている。
飼育下の母親から生まれ、水族館を経て野生に戻されたラッコ841
実は、カリフォルニア沖でサーフボードを奪う841の姿が捉えられるのは、今回が初めてのことではない。野生のラッコは通常、人間を怖がり、避けようとするが、時にスイマーやカヤッカー、海水浴客に近づくことが知られている。
そうした状況が発生する原因としては、メスのラッコが妊娠中に経験するホルモンの変化、または人間がメスのラッコに餌を与えたり、近づこうとしたりして鈍感になることが考えられている。
だが今回、注目を集めている841の場合は少し異なるようだ。
ラッコ生物学者のコリーン・ヤングさんによると、841はサンタクルーズの海洋野生動物獣医ケア研究センターで飼育されていた母親”723”のもとに生まれたという。
723は小さいころに親を失い孤児となってしまったところを、捕獲され施設で飼育されていた。
母親はセンターで、841を離乳するまで世話したが、以降841はモントレーベイ水族館に移送され、母親は長期ケアのため施設に移送されたそうだ。
水族館では、飼育員らは841が人間に慣れたり、人間に肯定的な感情をもたないよう、841に近づくときは、いつもポンチョとマスクの後ろに隠れるなどして細心の注意を払いながら世話をした。野生に戻した時に生きていけるようにするためだ。
そしてその試みは成功したと、当時は思われていた。
841を海に戻した後、監視を続けたところ、彼女は自然環境に順調に適応していると思われたが、約1年後、海でラッコが人間に近づいているという報告を聞き始めた。このラッコは841であることを確認。
その行動はどんどんエスカレートし、サーファーやカヤッカーといった海のスポーツを楽しむ人々に、攻撃的な態度を取るようになっていった。
Santa Cruz's surfing sea otter is still enjoying her freedom in the ocean! Wildlife officials have been unable to catch her so far. They used a surfboard as bait, but the savvy sea otter didn't fall for it. 🦦
— Amy Larson (@AmyLarson25) July 13, 2023
Photos by @NativeSantaCruz
Full story: https://t.co/iP6uzK9rJw pic.twitter.com/jRwqlbNN0c
当局が841の捕獲を試みるも逃亡を続ける
カリフォルニア州魚類野生生物局(CDFW)の担当者らは、サーファーを怖がらせ、サーファーのボードを盗もうとさえする好戦的なラッコが841だと知り、困惑と不安を抱えている。このままでは、海洋動物と人間の間で、より深刻な衝突が起こってしまう。
米国魚類野生生物局(USFWS)は、841の憂慮すべき異常な行動を認識して懸念を強めたため、海洋生物の捕獲を承認したと、声明で発表した。
公共の安全のリスクが高まっているため、ラッコの捕獲と扱いについて訓練を受けたCDFWとモントレーベイ水族館のチームを派遣し、841を捕獲して移転することを試みている。同省は、841が捕獲されたら、モントレーベイ水族館で検査され、当局がラッコの長期の住み家を探すと述べている。
このラッコの行動は非常に珍しいものだ。841の行動の正確な原因は不明だが、メスのミナミラッコ(カリフォルニアラッコ)の攻撃的な行動は、一般的にホルモンの急増と関連している可能性がある。しかし、CDFWの専門家が知る限り、海水浴客や海水浴客は841に餌を与えていない。
または、人間から餌を与えられたことが原因である可能性もある。
何度も捕獲を試みる当局だが、841はそれを悟ったかのように、何度も捕獲から逃れている。現在もなお逃走中だ。
It was being very aggressive and took bites out of a few boards. This has become a dangerous situation for both surfers and the sea otter! 2/4 pic.twitter.com/JjYrXdHW8v
— Native Santa Cruz (@NativeSantaCruz) July 10, 2023
人間に危害を加えた場合、安楽死させられる可能性も
野生生物の専門家らは、841を水族館に戻すことができるまで、サンタクルーズの飼育員らに警戒を怠らず、ラッコにスペースを与えるよう呼びかけている。万が一、841(または他のラッコ)が人間を噛んだ場合、カリフォルニア州の野生生物当局は、その動物を安楽死させなければならないそうだ。
だが、841の種でもあるミナミラッコ(カリフォルニアラッコ)は、1700年代から1800年代の毛皮貿易で絶滅寸前まで捕獲された後、個体数が激減し、その後ようやく復活した。
現在、ゴールデンステート沖の太平洋海域には、推定3,000 頭の絶滅危惧種が生息しているが、こうした背景があるだけに、誰もが「ラッコの安楽死」という最悪な状況だけは避けたいというのが正直なところのようだ。
今回、841による負傷者は報告されていないと警察は述べているが、カヤッカーやサーファーなどに対し、ラッコに近づかないよう勧告している。
サーファーらにも、ラッコが一方的に近付いてきた場合も、関わらないようにと注意喚起を促している。
References:A Surfboard-Snatching Sea Otter Is Vexing Wildlife Officials in California/ written by Scarlet / edited by parumoIn light of the recent sea otter encounters, it happened again today, I thought I’d again share this article from @KTVU as it was one of the most in depth articles written about this https://t.co/IhAKs3NSxB
— Native Santa Cruz (@NativeSantaCruz) July 10, 2023
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コメント
1. 匿名処理班
子アザラシだと可愛いけどラッコだと強奪なんか?
2. 匿名処理班
ライフ オブ 3.14159265358979323846…
3. 匿名処理班
ほんと人間て傲慢よな
4. 匿名処理班
ルパ●もビックリ!
まさかの指名手配犯!
5. 匿名処理班
数字で呼んでるところにB級SFホラーみを感じる
6. 匿名処理班
わざわざ水族館で暮らしてたのを野生に放つってやらん方が良いと思うが…
外国の野生で暮らすのが絶対幸せみたいな価値観は理解できんわ
7. 匿名処理班
ラッコ注意の貼り紙がかわいすぎる笑
ラッコ用の板切れを持参してもやっぱりボードがいいのかな?
8. 匿名処理班
危害を加えるなら捕獲も仕方ないのかもしれないが、飼育下に戻ってストレスすごくないかなあ。。。
葛西のペンギンみたく、群れに帰るのならともかく。
そういえばあのペンギン、どうやってつかまえたんだろう?
9. 匿名処理班
まあ人間が野生動物の住処に進出し過ぎだわ
人口はもっと都市に集積してなるべく土地は自然に返すべき
10. 匿名処理班
だめだ… こいつは「まな板」の便利さを覚えちまった
11. 匿名処理班
怪我してたところを保護して、治療後に野生に返すとかならともかく
飼育下で生まれた個体を野生に放すというのはハードル高そう。
無理に放す必要あったんだろうかと思ってしまう。
12. 匿名処理班
ここ数日前にアザラシかアシカの孤児がサーファーと一緒に遊び回ってる記事みたけどちがう奴か
13. 匿名処理班
兄さん、ここを誰のシマやと思とんねん(# ゚Д゚)ゴルァ
14. 匿名処理班
なんか、人間の機嫌を損ねたから安楽死!ってのも悲しい話だなぁ
15.
16.
17. 匿名処理班
>>9
日本でも野生の熊や鹿や猪や猿などが人里に降りてくる騒ぎになるけど
ソーラーパネルや風力発電の建設のために容赦なく森林伐採を進めた結果
餌も住処も奪われて人里に降りてこざるを得なくなってる可能性は大いにありそう
18. 匿名処理班
安楽死させるなら日本に輸出してくれ…
19. 匿名処理班
ウニとかホタテとかモリモリ食って被害がすごいみたいな話もあるし
可愛い見た目に反して意外と厄介さんだな
20. 匿名処理班
ボード齧っちゃうから攻撃的って言葉になっちゃうんだろうけど本人は遊んでるだけのつもりかもね
安楽死なんて嫌すぎるから捕まえるまでサーファーは近寄らない様にして欲しい
21. 匿名処理班
人慣れしているから難しいんだねぇ、捕獲要員の人達もサーフボードで行くしか
22. 匿名処理班
熱くてイライラしてるとか
人間慣れしてるから持ち物に攻撃してるとか
飼育下で生まれたんで何らかの病気に抵抗がなくて罹患して攻撃的になってるとか
23. 匿名処理班
人間を恐れるか否かが境目な気がする
飼育下でもないのに人間に近付いて好きに行動するとこうなるとか?
遊んでる可能性もあるけど本当に攻撃してくるのだとしたら人間を敵と見なしてる事になる
その場合は飼育中か放逐する過程で何かあったのかもね
24. 匿名処理班
>>5
たくさんの海獣を面倒見るから
名前を付けてられないのよ…
25. 匿名処理班
ラッコの上着が来〜るよ
ラッコの上着が来〜るよ
26.
27. 匿名処理班
多分ラッコは遊びのつもりなんだろうな
28. 匿名処理班
>>14
人間に危害を加えたら、だから猛獣化したらだね
今の状態は何かの拍子に「サーフボードを失った人間は去る」と学習した結果なのかも
「噛み付いたら」にならないように祈るしかない
29. 匿名処理班
>>17
人里に下りてくる野生動物が最近増えてるのは
森を切り開いたからと言うより保護によって
動物の個体数そのものが増えたり、
猟師の減少等で人を恐れなくなったりしてるのが大きい。
太陽光発電やら風力発電やらで伐採される範囲なんて
拡大造林期と比べたらものの数ではないし
出没する動物の増加はそうした施設が無い地域でも起きてる。
30.
31. 匿名処理班
かまって欲しいんでしょ。
32. 匿名処理班
>>6
そんな価値観は無いです
33. 匿名処理班
iPhoneを叩き割るラッコ
サーフボードを横取りするラッコ
次は?
34. 匿名処理班
>>11
おー里のぉや〜ま〜に捨てましょかぁ〜?いーえいえ、それはかわいそう〜
って唱歌があったのを思い出した
お里の海であっても捨てたも同然だと思う
35. 匿名処理班
サーフボードを奪ってどうしたいんだろう?
有効利用しているわけではなさそうだし
>>9
かつての支配者恐竜に返そうか?
その前は植物だし、さらに前は生物はいなかったな
それとも、地球は元々存在しなかったのだから消滅させて宇宙に還そうか?
36. 匿名処理班
>>29
野生動物同士話ができるんだと思う
それで「人間て意外とちっこいぞ」「どんくさいしあほだぞ」って
口コミでドンドン広まってるのだ
37. 匿名処理班
>>または、人間から餌を与えられたことが原因である可能性もある
この様に野生動物に餌を与える事は互いの不幸にしか繋がらない
「私だけは許されるんだーい」
ってな軽い気持ちで餌を与えるから本来あるべき距離が近くなり事故が起こる
結果として捕獲殺処分の可能性が出てきた事も餌を与えた人間の責
38. 匿名処理班
案外、水族館に帰りたくてやってるのかもよ
39. 匿名処理班
>>5
母ラッコを723(ナツミ)、問題の子ラッコを841(ヤヨイ)と読めるから日本人か日本通の人がつけたのかと勘ぐってしまったわ
40. 匿名処理班
『野生に返す』は聞こえが良いですが、実際には飼育断念である場合が多いです
哺乳類の場合、飼育個体を野生に返しても多くの場合は生き残れません
日本に移入したアライグマやハクビシンのように生態系ニッチのライバルが存在しない場合は成功することもありますが、海棲哺乳類はライバルが存在するので、シャチなど生態系ピラミッドの頂点付近でないと生存は絶望的です
41. 匿名処理班
えー…人間よわない?
42. 匿名処理班
>>17
山の動物が人里に降りてくる問題はここ数十年ずっと起きていることで、
近年の風力発電やソーラーパネルのせいで増えているわけではない
>>29も言っているように、いま発電のために切り開かれている範囲などたかだ知れてる
43. 匿名処理班
>>41
道具無しではヨワヨワだよ
44. 匿名処理班
>>19
姿が愛らしいエゾシマリスも北海道の農家からしてみれば
作物を食い荒らす害獣という面もあるからね。
(百姓貴族で荒川弘氏が触れていた)
45. 匿名処理班
野生の動物が下りてきて田畑を荒らすのは
別に昨今始まった事じゃなく農業を人間が始めてから
ずーっと野生の動物の襲撃との闘いは続いてるだけよ
じゃあなんで野生の動物が人間の田畑を荒らすかというと
人間が作る作物は栄養豊富で美味いからなんだわ
そこらに落ちてるドングリや葉っぱなんぞよりな
そんな美味しい物がまとまって植わってるんだから
食いに来るのは当然だと知り合いのクマが言ってたわ
46. 匿名処理班
ラッコも割と群れで暮らすから1頭だとストレス堪ってる可能性
水族館等に戻してあげるのが良さそうね
47.