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AIが老化を予防する新たなアンチエイジング薬候補をたった5分で発見

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(著) (編集)

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 新しい薬を作るのは、お金も時間もかかる大変な作業だ。だが今後は、AIが新薬開発を大幅にスピードアップしてくれるかもしれない。

 それを証明するかのように、エディンバラ大学のバネッサ・スメール=バレート氏らは、AIを駆使することで、ほんの5分で老化を予防する新たなアンチエイジング薬の候補を探し出すことに成功したという。

 最終的に絞り込まれたものは、ゾンビ細胞を退治することで体の老化を防いでくれる「老化細胞除去薬」としてとても有望であるそうだ。ゾンビ細胞に関しては本文で説明する。

老化を広めるゾンビ細胞

 私たちの体を老化させる原因の1つが、「ゾンビ細胞」と呼ばれるものだ。

 この細胞は生きてはいるが、それ以上細胞分裂する力を失っている。

 細胞分裂する力を失っていることは、悪いことばかりではない。

 老化した細胞はDNAに傷がついていることがある。だから分裂しないことで、そうした古びたDNAがそれ以上広まらないようにする。

 とはいえゾンビだ。当然、悪さもするのである。困ったことにこの細胞は、周囲の細胞を老化させようとするのだ。まるでゾンビが新しく仲間を作るかのように。

 だから紫外線や化学物質によるダメージなどで、体の中にゾンビ細胞が蓄積すると、糖尿病・変形性関節症・がんといったさまざまな病気を引き起こすようになる。

 だからこそ、こうしたゾンビの群れを退治してくれる薬には、アンチエイジング効果があるのである(なお人間の脳には、死後に活発になる本物のゾンビ細胞もある)。

 そうしたゾンビ細胞を殺すアンチエイジング薬のことを「老化細胞除去薬(セノリティクス)」という。理想的には、ゾンビ細胞を速やかに退治しつつ、健康な細胞にはなんの影響もない、そんな薬がいい。

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photo by iStock

AIが老化細胞除去薬の候補を5分で特定

 スメール=バレート氏によると、これまでのところおよそ80種の老化細胞除去薬が見つかっているが、人間で試されたのはたった2種類だけだという。

 安全かつ効果的な老化細胞除去薬がもっとたくさん見つかればいいが、そもそも新薬の開発は膨大な資金と10~20年もの歳月がかかる大変な作業だ。

 そこでスメール=バレート氏らは、AIで老化細胞除去薬の開発をスピードアップできないかと考えた。

 そのためにまず、AIにすでに知られている”老化細胞除去薬”と”普通の薬”のデータを与えてみた。ここから、この2種の薬の違いを学習させるのが狙いだ。

 もしもAIがゾンビ細胞を倒す薬の成分(分子)の特徴を見分けられるのならば、初めて目にした成分でも、それが老化細胞除去薬として効果があるかどうか予測できるはずだ。

 今回の実験では、いくつかのテストを経て選び出された一番性能のいいAIモデルに、4340個の分子を見せている。

 するとAIはたった5分で21個の候補を挙げてきた。

 同じことを手作業でやろうとしたら、数週間の集中作業と薬の購入費用900万円のほか、実験機材の購入費用やそれを準備する手間がかかっただろうという。

 AIが挙げた新薬候補が本当に有効なら、新薬開発は大幅にスピードアップしたことになる。

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3種の有望な老化防止薬候補を発見

 こうして絞り込まれた分子の実力を実験で試してみると、21種のうち3種類(オレアンドリン、ペリプロシン、ギンクゲチン)は本当に有望であることがわかったという。

 その3つの分子は、老化細胞を除去しつつ、それでいて健康な細胞にはほとんど影響がないのだ。

 さらなる実験では、一番有望なのはオレアンドリンであることも突き止められている。

 こうしたAIの威力は素晴らしく、質のいいデータがあれば、新薬開発のプロセスを一気に加速してくれる可能性を秘めているとのこと。

 スメール=バレート氏らは今、AIが見つけた3つのアンチエイジング薬候補を人間の肺組織で試しているところだ。2年以内を目処に、次の成果を報告したいとのことだ。

 この論文は『Nature Communications』に掲載された。

追記:(2023/07/14)本文を一部訂正して再送します。

References:Discovery of senolytics using machine learning | Nature Communications / AI finds drugs that could fight ageing and age-related diseasesokaimoo / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 25件

コメントを書く

  1. 災難に逢う時節には、災難に逢うがよく候。 死ぬ時節には、死ぬがよく候。
    是(これ)はこれ災難をのがるる妙法にて候。

    • -1
  2. これはAIの仕事じゃないね

    あらかじめ方法が分かっているのだから単純なプログラムだ

    ブラックボックスのAIよりもプログラムのほうが、きめ細かい分析ができる

    • -6
    1. >>2
      専門家はAIとはいわず機械学習という事が多いけど
      これはXGBoostという機械学習のアルゴリズムだね
      Deep Learningとは違うけどDLがAIならXGBoostもAIと言っていいんじゃないかな
      DLもプログラムだけどね

      • +3
    2. >>2
      こういう、誤った知識を断定口調で発言してしまう素人の方が現れてしまうの悲しい

      • +3
  3. オレアンドリン(oleandrin)調べてみたら夾竹桃に含まれる強心配糖体の毒だって書いてあったんだけどどうなんだろ
    希釈して使用するのかな
    細胞レベルでは若返り効果があっても代謝の際に毒性を発揮するなら使い方が難しそう

    • +1
    1. >>3
      強力な毒成分らしいね。
      食べると色んな中毒症状出るらしい。
      素人が簡単に手を出せるものじゃないね💦

      • 評価
    2. >>3
      致死量は青酸カリを大きく上回り、即効性も高く症状は1時間以内…
      びっくりしたわ

      • +3
    3. >>3
      水にも致死量があるとかトマトを3トン食うとしぬとかいろんなコピペがあるし、適量なら薬になるんじゃないかな

      • -2
    4. >>3
      キョウチクトウ自体が、野でキャンプなどの時には要注意が常識の危険植物だったはず
      確かフランスあたりで、切った枝を使ってバーベキューをした若者が全員死亡した事件もあったと記憶してる

      成分自体はジゴキシン様の心筋収縮を強力に促進するものだから、希釈しても体内で一定以上の濃度に達したら致死性が出ると思う
      こういう情報を鵜呑みにして下手に摂取したり人に盛ったりする奴が出てこないことを祈るよ

      • +1
  4. すげーな
    問題は安全性の確認と長期的な影響か
    老化防止とか歌いながら5年後にタヒぬとかじゃ話にならんし

    • +2
  5. 唯の自然な仕組みにゾンビ細胞とか悪意満々の名前付けんなや

    • 評価
  6. これ色んな薬に応用できたら良いね
    患者が少なくて開発費用の回収が見込めないので治療薬の研究が進んでいない難病とかあるし、時間も費用も労力も短縮できるなら多くの人が救われる

    • +1
    1. >>10
      残念ながら、この方式は症例が少ない病気には適用が難しいんじゃないか?
      学習させるべきサンプルが絶対的な量においても変化量においても少ないということだから

      • 評価
  7. >健康な細胞にはほとんど影響がない
    心筋細胞みたいに、分裂しないような子もゾンビ扱いで大ダメージにならなければええんやけど

    • 評価
  8. 夾竹桃はかつて枝を箸の替わりに利用して死亡した例もあるだって???!!!!

    • +2
  9. 肺組織で試しているんだ? アンチエイジングだから肌組織と思っていた。

    • 評価
  10. まちがってゾンビになったらどうするの?

    • 評価
  11. DG細胞の力で蘇ったグレート・ウォンだぁ!!

    • 評価
  12. 死ぬまで人様のお世話にならずに自分の身の回りのことを自分で出来るようにしてくれる薬だといいなー

    • +2
  13. コロナの薬も見つけてくれないかな。
    パンデミック初期にコロナウィルスの立体構造からワクチンの構造を見つけたってやってたけど、その後は何も伝わってこない。

    まぁ、理屈ではわかっても実現、実用化は難しいのかな。

    • 評価

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